赤ちゃんの鉄分補給|離乳食で意識したい食材と調理法
対象の目安: 生後6〜12か月ごろ


離乳食が中期に進んだころ、「鉄分は足りているの?」と気になり始める方は多いです。生後6か月前後は母乳・ミルクから受け継いだ貯蔵鉄が減ってくる時期とされており、離乳食で鉄を補う意識が大切になります。この記事では、鉄分を含む食材の種類と、毎日の調理に取り入れやすい使い方を具体的に解説します。
鉄分が不足しやすくなる時期と目安(早見表)#
赤ちゃんは生まれるときに母親から鉄を蓄えて生まれますが、生後6か月前後からその貯蔵分が少なくなってくるとされています。この時期以降、母乳だけでは必要量を補いにくくなるため、離乳食からの鉄補給が意識されるようになります。
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」より。母乳中の鉄濃度と乳児の貯蔵鉄の推移についての記載を参照
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、乳児(6〜11か月)の鉄の目安量(AI)として次の数値が示されています。
| 月齢 | 推奨量の目安(参考値) | 備考 |
|---|---|---|
| 0〜5か月 | 母乳・ミルクから補う時期 | この時期は母体から受け継いだ貯蔵鉄が主な供給源 |
| 6〜11か月 | 約5mg/日(目安量・AI) | 離乳食からの補給が重要になる時期 |
| 1〜2歳 | 約5mg/日(推定平均必要量をもとにした推奨量) | 幼児食でも継続して意識したい |
数値はあくまで目安であり、食欲や体調・個人差があります。成長曲線が順調であれば過度に心配しすぎる必要はありませんが、食材を選ぶときの参考にしてください。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より。乳児・幼児の鉄の食事摂取基準(AI・推奨量)を参照
鉄分を含む食材と離乳食での使い方#
鉄には動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄は体への吸収率が比較的高い点が特徴です。一方で非ヘム鉄でも、ビタミンCを多く含む食材と組み合わせることで吸収率を上げやすくなるとされています。
赤身魚(マグロ・カツオ)#
マグロ・カツオなどの赤身魚はヘム鉄を含み、離乳食中期(7〜8か月ごろ)から取り入れられます。まず少量から試し、アレルギー症状がないことを確認してから量を増やします。
- 1
新鮮な刺身用マグロを用意する
刺身用(生食用)のブロックを使うと衛生的に調理しやすいです。冷凍のものを使う場合は冷蔵庫でゆっくり解凍します。 - 2
ひとかけら(5〜10g程度)を加熱する
小鍋に少量の水かだし汁を入れ、ひとかけらのマグロを中火で加熱します。中まで完全に火が通ることを確認します。 - 3
月齢に合わせてつぶす・ほぐす
中期はすりつぶしてなめらかなペーストにします。後期(9〜11か月)は細かくほぐして、少し食感を残しても構いません。 - 4
だし汁・野菜と合わせる
かぼちゃや人参のペーストと混ぜると食べやすくなります。味が気になる場合は野菜だしを少量加えて調整します。
ヒント
離乳食で使うマグロ・カツオは、水銀含有量が懸念されることがあります。厚生労働省は妊婦に対して食べ方の注意を示していますが、乳幼児向けの具体的な摂取制限は示されていません。離乳食では少量を週に数回程度取り入れる範囲であれば過度に心配する必要はないとされていますが、気になる場合はかかりつけ医に相談してください。
鶏・豚レバー#
レバーはヘム鉄を豊富に含む食材として知られています。ただし、くさみが強いため下処理が必要です。また、ビタミンAも多く含まれるため、与えすぎには注意します。離乳食後期(9〜11か月ごろ)から少量ずつ取り入れるのが一般的です。
下処理の手順として、薄切りにしたレバーを牛乳か水に15〜30分ひたしてから流水で洗い、十分に加熱して完全に火を通します。月齢に合わせてペーストにするか、細かくほぐして与えます。
注意
レバーを与える場合は、十分な加熱(中心までしっかり火が通っていること)を必ず確認してください。生焼けのまま与えることは食中毒リスクのため避けます。また、鶏・豚レバーはビタミンAが豊富なため、週に1〜2回を上限の目安とする考え方があります。詳しくはかかりつけ医に相談してください。
卵黄#
卵黄には鉄のほかに多くの栄養素が含まれており、離乳食初期後半(5〜6か月ごろ)から少量ずつ試し始める食材の一つです。卵はアレルギーの特定原材料(7品目)の一つであるため、初めて与えるときは平日の午前中に、少量(スプーン1さじ程度)から始めます。
卵黄は固ゆで(沸騰後12〜15分程度加熱)にしてから与えます。白身は黄身よりアレルギーリスクが高いとされるため、卵白は離乳食中期以降に別途少量から試すのが一般的です。
消費者庁「食物アレルギーに関する情報」より。卵は特定原材料7品目の一つとして表示義務があり、初回提供には注意が必要
ほうれん草・小松菜#
葉物野菜に含まれる非ヘム鉄は植物性の鉄です。吸収率は動物性に比べて低いとされますが、ビタミンCと一緒に食べることで吸収が促されやすくなります。
ほうれん草・小松菜ともに、えぐみや硝酸塩(とくにほうれん草)を減らすために十分な下ゆで(たっぷりの湯で1〜2分)と水さらし(2〜3分)をしてから使います。初期から使えますが、最初はなめらかにすりつぶしてください。
ヒント
ほうれん草ペーストに、ビタミンCを多く含むサツマイモやトマトを少量混ぜると、非ヘム鉄の吸収を助けやすくなります。また、かぼちゃやじゃがいもと合わせると甘みが出て食べやすくなります。
豆腐・納豆#
豆腐や納豆にも植物性の鉄が含まれています。豆腐は離乳食初期から使える定番食材で、すりつぶしやすく調理の幅が広い点が特徴です。
納豆は離乳食後期(9〜11か月ごろ)から少量ずつ試し始めます。粘り気があるため、初めは細かく刻んで少量から。食物アレルギーのリスクは比較的低い食材とされますが、初めて与える際は他の食材と同様に1日1種・少量から進めます。
ビタミンCと組み合わせて吸収率を上げる工夫#
植物性の鉄(非ヘム鉄)はビタミンCとともに食べると吸収が促されやすいとされています。離乳食では次のような組み合わせが取り入れやすいです。
| 鉄を含む食材 | 合わせるとよいビタミンC食材 | 組み合わせの例 |
|---|---|---|
| ほうれん草 | トマト・じゃがいも・ブロッコリー | ほうれん草とトマトのペースト |
| 小松菜 | さつまいも・かぼちゃ | 小松菜とさつまいものポタージュ |
| 豆腐 | ブロッコリー・じゃがいも | 豆腐と野菜のあんかけ |
| 納豆 | トマト・かぼちゃ | 納豆と野菜のあえ物 |
加熱によってビタミンCはある程度失われますが、野菜を組み合わせること自体に栄養バランスを整える意味があるため、神経質になりすぎず食材の幅を広げる気持ちで取り入れてください。
食物アレルギーへの注意#
鉄を含む食材の中には、食物アレルギーの特定原材料(7品目)に含まれるものがあります。卵(卵黄・卵白)・小麦・乳製品などは初めて与えるときに注意が必要です。赤身魚(マグロ・カツオ)も魚介類アレルギーに関わる場合があります。
注意
初めての食材は必ず1日1種類・少量から。複数の新食材を同じ日に試すと、アレルギー症状が出たときに原因特定が難しくなります。初回は平日の午前中に与えて、その後2〜3時間は子どもの様子(皮膚・呼吸・機嫌)を観察してください。
アレルギーが疑われる症状(皮膚の発疹・じんましん・口周りの赤み・くしゃみ・嘔吐など)が現れた場合は、自己判断をせず必ずかかりつけ医を受診してください。
つまずき・困ったとき#
赤身魚のにおいが気になって食べない 野菜のペーストやおかゆに混ぜ込むことで、においが和らいで食べやすくなることがあります。かぼちゃや人参の甘みを合わせると特に取り入れやすいです。最初は数さじ分だけ混ぜてみるところから始めるのがおすすめです。
ほうれん草を食べてくれない えぐみの残り具合が食べにくさの原因になることがあります。下ゆでと水さらしを十分に行い、なめらかにすりつぶしてから、おかゆや豆腐に少量混ぜて与えてみてください。「混ぜる量を増やす」よりも「別の食材で試す」ほうがストレスなく進められることもあります。
鉄分が本当に足りているか分からない 食事の量や種類に迷いが出たときは、自治体の離乳食相談や小児科の栄養相談を遠慮なく活用してください。成長曲線が概ね順調に伸びていれば、多少食べる量にムラがあっても過度に心配しすぎる必要はありません。気になる症状(元気がない・顔色が悪いなど)がある場合は小児科を受診してください。
よくある質問#
鉄分はいつから意識すればいいですか?
母乳育児ですが鉄分は足りていますか?
育児用ミルク(粉ミルク)で鉄分は補えますか?
レバーは毎日与えてもいいですか?
ほうれん草の硝酸塩は気にすべきですか?
鉄不足かどうかはどうやって分かりますか?
まとめ#
生後6か月以降の離乳食で鉄分を意識することは、赤ちゃんの発育を支える上で大切な視点の一つです。難しく考えすぎず、まずは赤身魚・卵黄・葉物野菜を月齢に合わせて少しずつ取り入れてみるところから始めてみてください。
鉄分補給のための食材チェック
- 赤身魚(マグロ・カツオ)を中期以降に試した
- 卵黄を固ゆでにして少量ずつ与えた(初回は平日午前中に)
- ほうれん草・小松菜を十分に下ゆで・水さらしして使った
- 豆腐を初期から継続して取り入れている
- 植物性の鉄を使うときにビタミンCの多い野菜も組み合わせた
- 新しい食材は1日1種・少量から始めた
- 食べにくそうなときは野菜ペーストやおかゆに混ぜて工夫した
- 成長曲線で体重の伸びを定期的に確認している
「どのくらい食べれば大丈夫?」「本当に足りているか不安」と感じたときは、一人で抱え込まず自治体の栄養相談や小児科をぜひ活用してください。
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