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子どものナッツ(木の実類)アレルギー|カシューナッツ表示義務化など2026年の表示改正と、家庭・園・外出先での向き合い方

対象の目安: 1〜6歳ごろ

レナ・食事・離乳食担当
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子どものナッツ(木の実類)アレルギー|カシューナッツ表示義務化など2026年の表示改正と、家庭・園・外出先での向き合い方

くるみパンやナッツ入りのクッキー、ハロウィンのチョコレート菓子。秋は焼き菓子やパンを口にする場面が増え、ナッツが入った食べ物も身近になります。いっぽうで、子どもの食物アレルギーの原因として、くるみやカシューナッツなどの木の実類が近年大きく増えていることが、消費者庁の全国調査で分かっています。2026年4月には食品表示のルールが改正され、カシューナッツが表示義務のある「特定原材料」に、ピスタチオが表示を推奨する品目に加わりました。この記事では、消費者庁の調査報告と表示制度の資料、日本小児科学会雑誌の総説、日本アレルギー学会・日本小児アレルギー学会の情報をもとに、木の実類アレルギーの現状、表示の読み方、症状が出たときの対応、園や祖父母への伝え方を整理しました。怖がらせるための記事ではありません。気になることがあるときは、自己判断をせず、かかりつけの小児科やアレルギー専門医に相談してください。

木の実類アレルギー、いま何が起きているか

消費者庁は、おおむね3年ごとにアレルギーを専門とする医師の協力を得て「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」を行い、その結果をもとに表示の対象品目を見直しています。最新の報告は「令和6年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」(2024年9月)で、2023年(令和5年)の1年間に報告された症例を分析したものです。調査の対象は、食べてから60分以内に何らかの症状が出て医療機関を受診した人で、解析対象は6,033例でした。

その結果、原因食物を類別に見ると、鶏卵が26.7%で1位、木の実類が24.6%で2位でした。前回の2020年調査では木の実類は牛乳に次ぐ3位だったので、今回は牛乳を抜いたことになります。品目別では、鶏卵に次いでくるみが15.2%で2位となり、牛乳(13.4%)を上回りました。報告書は、くるみの割合が前回調査の7.6%から約2倍に増えたこと、カシューナッツも2.9%から4.6%に増えたことを示し、木の実類は2014年以降増加していると述べています。

順位原因食物(品目別)全体に占める割合
1鶏卵26.7%
2くるみ15.2%
3牛乳13.4%
4小麦8.1%
5落花生(ピーナッツ)7.0%
6いくら5.7%
7カシューナッツ4.6%

消費者庁「令和6年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」(2024年9月)の「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」(2023年調査・解析対象6,033例)によります。表は同報告書の品目別の上位7品目です。

年齢で原因食物は変わる

同じ報告書では、年齢のグループごとに原因食物の順位が大きく違うことも示されています。0歳では鶏卵・牛乳・小麦で9割以上を占めますが、1〜2歳ではくるみが2位に入り、3〜6歳ではくるみが1位になります。

年齢のグループ1位2位3位そのほか5%以上
0歳鶏卵(60.6%)牛乳(21.4%)小麦(13.6%)―
1〜2歳鶏卵(33.7%)くるみ(14.6%)牛乳(12.9%)いくら・落花生・小麦
3〜6歳くるみ(28.3%)落花生(12.0%)いくら(9.4%)鶏卵・牛乳・カシューナッツ(8.4%)

初めて症状が出た例(初発例)に限ると、3〜6歳ではくるみが34.5%、カシューナッツが9.2%で、あわせて半数近くを占めました。1〜2歳でも、くるみが19.6%、カシューナッツが6.5%です。報告書は、前回調査と比べて幼児期・学童期ともに、初発例に占めるくるみとカシューナッツの割合が大きく増えたとしています。

年齢群別の順位(表2)と初発例の割合(表3・考察)は、消費者庁「令和6年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」によります。

木の実類の中身と、重い症状の割合

木の実類1,484例の内訳は、くるみが61.7%で最も多く、カシューナッツ18.8%、マカダミアナッツ4.6%、ピスタチオ3.4%、アーモンド3.1%、ペカンナッツ2.4%、ヘーゼルナッツ1.8%と続きます。報告書は、くるみとペカンナッツ、カシューナッツとピスタチオには、それぞれ強い交差抗原性(ひとつにアレルギーがあると、よく似た別の食物にも反応しやすい性質)があることが知られていると述べています。

報告書は、5例以上でショック症状が出た品目について、即時型の症例に占めるショック症例の割合を示しています。最も高いのはマカダミアナッツ(18.8%)で、次いで小麦(15.7%)、ピスタチオ(14.0%)、カシューナッツ(13.3%)と続き、上位10品目のうち5品目が木の実類でした。結論では、マカダミアナッツ、ピスタチオ、カシューナッツなどはショック症状を呈する症例が多く、初めて食べるときのリスク回避や誤食予防の対策を速やかに講じる必要があるとしています。

メモ

落花生(ピーナッツ)は、名前に「ナッツ」とつきますが、表示制度でも全国調査でも木の実類とは別の品目として扱われています。落花生は以前から表示義務のある特定原材料です。「ナッツ」とひとまとめにせず、どの品目に反応するのかを医師と確認しておくと、表示を読むときにも迷いにくくなります。

木の実類の内訳(表1)、交差抗原性、ショック症例の割合(表6)と結論は、消費者庁「令和6年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」によります。落花生が木の実類と別の品目であることは、同報告書の分類と消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」(令和8年4月)の品目一覧によります。

日本小児科学会雑誌の総説(2026年)も、木の実類アレルギーで救急受診する患者は幼児期の発症が多く、その多くが生まれて初めてその木の実を食べたときに症状を起こしていて、重いアナフィラキシーもまれではないとし、予期しない初回摂取を防ぐ注意喚起が大切だとまとめています。

北村勝誠「木の実類アレルギー」日本小児科学会雑誌130巻3号(2026年)の抄録によります。

2026年の表示改正で何が変わったか

食物アレルギーの表示は、食品表示法にもとづく食品表示基準で決められています。容器包装された加工食品に表示が義務づけられている品目を「特定原材料」、表示が推奨されている品目を「特定原材料に準ずるもの」と呼びます。2026年4月1日現在の品目は次のとおりです。

区分品目
特定原材料(表示義務・9品目)えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
特定原材料に準ずるもの(表示推奨・20品目)アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

木の実類に関係する変更を時系列で並べると、次のようになります。

時期変更の内容
2019年9月アーモンドを特定原材料に準ずるもの(推奨)に追加
2023年3月くるみを特定原材料(義務)に追加。経過措置は2025年3月31日まで
2024年3月マカダミアナッツを特定原材料に準ずるもの(推奨)に追加(まつたけは削除)
2025年4月くるみの経過措置が終わり、表示が完全に義務化
2026年4月1日カシューナッツを特定原材料(義務)に移行。ピスタチオを特定原材料に準ずるもの(推奨)に追加
2028年3月31日カシューナッツの経過措置の期限(この日までに製造・加工・輸入された加工食品は、改正前の例による表示ができる)

品目一覧は消費者庁「アレルギー表示とは」(令和8年4月時点)と「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」(令和8年4月作成)、追加の経緯は消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」のお知らせ欄、くるみの経過措置は「食品表示基準の一部を改正する内閣府令」(令和5年3月9日内閣府令第15号)附則、カシューナッツの経過措置は同(令和8年4月1日内閣府令第34号)附則によります。

カシューナッツは「2年間の経過措置」に注意

消費者庁の2026年4月1日付の事務連絡は、全国実態調査の症例数などをふまえてカシューナッツを特定原材料に追加したこと、2年間の経過措置期間を設けたうえで、事業者にはできるだけ速やかに表示するよう指導を求めることを示しています。改正の内閣府令の附則では、2028年3月31日までに製造・加工・輸入された加工食品(業務用は同日までに販売されるもの)は、改正前の例によることができるとされています。

つまり2026年9月の今も、改正前のルールで表示された商品が店頭に残っている可能性があります。カシューナッツはもともと表示が推奨される品目でしたが、推奨は義務ではありませんでした。カシューナッツの除去が必要な子の場合、「(一部に〜を含む)」にカシューナッツがないことだけで判断せず、原材料名に「カシューナッツ」の文字がないかも確かめ、心配なときは製造者に問い合わせると安心です。

ピスタチオは「推奨」、くるみは「完全義務化」

ピスタチオは、全国実態調査で症例数が継続して相当数みられることから特定原材料に準ずるものに追加され、同じ事務連絡はカシューナッツとの交差反応性もふまえてできるだけ速やかに表示するよう事業者へ求めています。ただし表示は推奨で、義務ではありません。くるみは2025年3月31日で経過措置が終わり、2025年4月以降に製造された容器包装入りの加工食品には表示が義務づけられています。

カシューナッツの追加理由・2年間の経過措置・ピスタチオの追加理由とカシューナッツとの交差反応性は消費者庁「アレルゲンを含む食品に関する表示について」(令和8年4月1日事務連絡)、経過措置の期限は令和8年4月1日内閣府令第34号の附則、くるみの経過措置は令和5年3月9日内閣府令第15号の附則によります。

メモ

ペカンナッツ、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツなどは、2026年4月時点で特定原材料にも特定原材料に準ずるものにも入っていません。アレルギー表示として示されるとは限らないため、医師から除去を指示されているナッツがこれらに当たる場合は、原材料名の欄をよく読み、分からなければ製造者に問い合わせましょう。

表示の見方:どこを読み、何が表示されないのか

個別表示と一括表示

アレルギー表示には、原材料ごとに直後のかっこ内に書く「個別表示」と、原材料名の最後にまとめて書く「一括表示」があります。原則は個別表示で、一括表示は例外として認められています。

書き方表示の例読み方のポイント
個別表示…、ハム(卵・豚肉を含む)、マヨネーズ(卵・大豆を含む)、…どの原材料に何が入っているかが分かる
一括表示…、(一部に卵・豚肉・大豆・牛肉・さけ・さば・ゼラチンを含む)原材料名の欄の最後に、まとめて書かれる
代替表記・拡大表記「クルミ」「くるみパン」「ピーナッツバター」など同じものと分かる書き方なら、「〜を含む」が省かれることがある

消費者庁のハンドブックでは、くるみの代替表記として「クルミ」、拡大表記の例として「くるみパン」「くるみケーキ」が示されています。「くるみ」の文字が原材料名に出てくる場合、かっこ内で「くるみを含む」と繰り返されていないことがある点に注意しましょう。

個別表示と一括表示の例は消費者庁「アレルギー表示とは」(令和8年4月時点)、代替表記・拡大表記は「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」(令和8年4月作成)によります。

表示義務の対象外になるもの

消費者庁のハンドブックは、食物アレルギー表示の対象としていないものとして、次の3つを挙げています。

  • 容器包装に入れずに販売する食品(ばら売りや量り売りなど)
  • 設備を設けて飲食させる食品(飲食店で提供される食品、出前など)
  • 酒類

パン屋さんで袋に入れずに並んでいるパンや、量り売りの焼き菓子、店内で食べる料理は、アレルギー表示がなくても「入っていない」という意味にはなりません。なお、飲食店でも容器包装に入れた食品を販売する場合は表示が必要です。

コンタミネーションの注意喚起表示は「義務」ではない

原材料として使っていなくても、同じ製造ラインで作った別の製品から、ごく微量が混入(コンタミネーション)することがあります。消費者庁は、混入防止策を徹底しても可能性を排除できない場合に、「本品製造工場では○○を含む製品を生産しています。」のような注意喚起表示を推奨しています。あくまで推奨であり、義務ではありません。混入の頻度と量が少ない場合には表示の必要はないとされています。

また、「入っているかもしれません」「入っている場合があります」といった単なる可能性表示は認められていません。注意喚起表示がある商品を食べてよいかどうかは、子どもの症状の出方によって変わるため、医師に確認しておきましょう。

表示の対象としていないもの、意図しない混入への対応、注意喚起表示の例、可能性表示の禁止は、消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」(令和8年4月作成)によります。注意喚起表示の扱いを医師に確認することは編集部の提案です。

  1. 1

    原材料名の欄を最後まで読む

    個別表示なら各原材料のかっこ内、一括表示なら欄の最後の「(一部に〜を含む)」を確認します。「くるみパン」のような拡大表記にも目を通します。
  2. 2

    欄の外の注意書きも見る

    一括表示の枠の外に、注意喚起表示や「この食品は29品目のアレルゲンを対象範囲としています」のような対象範囲の説明が書かれていることがあります。
  3. 3

    同じ商品でも毎回確認する

    原材料や製造工場が変わることがあります。いつも買う商品でも、ときどき表示を見直す習慣をつけると安心です。
  4. 4

    分からなければ問い合わせる

    表示だけで判断できないときは、パッケージに書かれた製造者・販売者に問い合わせます。確認できないものは食べさせないのが確実です。

対象範囲の表示例は消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」(令和8年4月作成)によります。読む手順は編集部の整理です。

主な症状と、アナフィラキシーのサイン

日本アレルギー学会のアレルギーポータルによると、食物アレルギーの症状は皮膚、呼吸器、消化器などさまざまな臓器にあらわれ、およそ90%に皮膚症状、およそ30%に呼吸器症状や粘膜症状が認められます。複数の臓器に強い症状が同時に出る状態を「アナフィラキシー」といい、急速に進んで命に関わることもあります。血圧が下がって意識の低下や脱力を起こす場合は「アナフィラキシーショック」と呼ばれます。

部位主な症状の例
皮膚皮膚が赤くなる、じんましん、かゆみ、熱感、湿疹
粘膜目の充血、まぶたの腫れ、鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、口・唇・舌の違和感や腫れ
呼吸器のどの違和感やかゆみ、かすれ声、飲み込みにくい、咳、ゼーゼー・ヒューヒュー、胸の圧迫感、呼吸困難
消化器吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、血便
神経・循環器活気の低下、眠気、意識障害、失禁、血圧の低下、顔色が青白い

日本小児アレルギー学会は「一般向けエピペン®の適応」として、エピペンを処方されている患者でアナフィラキシーショックを疑う場合に、次の症状が一つでもあれば使用すべきだとしています。保育所向けのガイドラインのリーフレットでも、これらを「緊急性の高い症状」として、一つでも見られたら速やかにエピペンの使用や119番通報をするよう示しています。

分類緊急性の高い症状
消化器の症状繰り返し吐き続ける、持続する強い(がまんできない)おなかの痛み
呼吸器の症状のどや胸が締め付けられる、声がかすれる、犬が吠えるような咳、持続する強い咳込み、ゼーゼーする呼吸、息がしにくい
全身の症状唇や爪が青白い、脈を触れにくい・不規則、意識がもうろうとしている、ぐったりしている、尿や便を漏らす

症状の割合、部位ごとの症状の表、アナフィラキシーの説明は日本アレルギー学会「アレルギーポータル」の「食物アレルギー」「アナフィラキシー」、緊急性の高い症状の表は日本小児アレルギー学会「一般向けエピペン®の適応」(2013年7月)と、こども家庭庁「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」のリーフレットによります。

症状が出たときの対応

ナッツを含むものを食べたあとに様子がおかしいと感じたら、次の順で動きます。

  1. 1

    食べるのをやめさせ、口の中に残ったものを出す

    まだ口の中にあれば出させます。何を、どれくらい、何時ごろ食べたかを確認し、残りや包装があれば捨てずにとっておきます。
  2. 2

    緊急性の高い症状がないかを見る

    上の表の症状が一つでもあれば、ためらわず119番に通報します。エピペン(アドレナリン自己注射薬)などを処方されている場合は、主治医の指示どおりにすぐ使います。
  3. 3

    楽な姿勢にして、そばを離れない

    呼吸が苦しそうなときは、背中を支えて上半身を少し起こし、後ろにもたれる姿勢にします。返事がうつろでぐったりしているときは、足を少し上げた横向きの姿勢にします。吐きそうなときは顔を横に向けます。声をかけながら様子を見て、救急隊を待ちます。
  4. 4

    軽い症状でも受診し、食べたものを伝える

    じんましんが少し出ただけで落ち着いた場合でも、かかりつけ医に相談し、何をどれだけ食べたかを伝えます。症状が出た食べ物は、医師に相談するまで再び与えないようにします。
  5. 5

    受診すべきか迷うときは#8000

    夜間・休日に、症状を見て受診すべきか判断に迷うときは、子ども医療電話相談(#8000)で小児科医師や看護師に相談できます。

注意

アレルギーポータルは、エピペンやアドレナリン点鼻薬を持っている場合は、すぐに使用し、必ず救急車を呼んで医療機関を受診するよう案内しています。薬を使って症状が軽くなったように見えても、救急要請と受診は必要です。呼吸が苦しそう、ぐったりしているときは、迷わず119番を優先してください。

エピペン・アドレナリン点鼻薬の使用と救急要請、症状に応じた姿勢は日本アレルギー学会「アレルギーポータル」の「アナフィラキシー」(2026年4月9日更新)、緊急性の高い症状での119番通報はこども家庭庁「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」のリーフレット、#8000の内容は厚生労働省「子どもの症状は♯8000」によります。口の中のものを出す・食べた量を確認するといった手順は編集部の整理で、主治医から個別の指示がある場合はそちらを優先してください。

食物アレルギー全般の症状や受診の目安、診断の考え方は、離乳食期のアレルギーをまとめた記事でも整理しています。

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初めて食べさせるときの考え方

「いつから、どうやってナッツを食べさせればいいのか」は、迷いやすいところです。ここは家庭の自己判断で決めにくいテーマなので、公的な情報や学会の情報で確認できる範囲に絞ってお伝えします。

自己判断で除去しない・自己流で試さない

日本小児科学会雑誌の総説は、木の実類アレルギーを発症するリスク因子として、乳児期から続く湿疹や、ほかの食物アレルギーがあることを挙げています。そのうえで、特にリスクの高い子どもでは、血液検査(特異的IgE抗体価)などの評価にもとづいて食物経口負荷試験や慎重な自宅摂取を行い、不必要な除去を減らしつつ、必要なアレルゲン回避を指導することが、患者の利益につながると考えられるとしています。つまり、「怖いから全部避ける」でも「家で少しずつ試してみる」でもなく、医師の評価をもとに一人ひとりに合った方針を決めるという考え方です。

アレルギーポータルも、食物経口負荷試験は病院で十分な準備を整えて安全に行う必要があるとしています。ネットで見かけた方法をまねて、家庭で量を増やしながら食べさせる「自己流の負荷」は避けてください。

リスク因子と、ハイリスク児では評価にもとづき経口負荷試験や慎重な自宅摂取を行い不必要な除去を減らすという考え方は北村勝誠「木の実類アレルギー」(日本小児科学会雑誌130巻3号、2026年)の抄録、経口負荷試験を病院で準備を整えて行う必要があることは日本アレルギー学会「アレルギーポータル」の「食物アレルギー」によります。

こんなときは、食べさせる前に相談を

  • 乳児期から湿疹が続いている、または今も湿疹がある
  • 卵・牛乳・小麦・落花生など、ほかの食物でアレルギーがある、または疑われたことがある
  • くるみやカシューナッツで症状が出たことがあり、ほかのナッツをどうするか迷っている
  • きょうだいや家族にナッツ類のアレルギーがあり、心配が強い

このような場合は、かかりつけの小児科に相談し、必要に応じてアレルギー専門医を紹介してもらいましょう。交差抗原性のある組み合わせ(くるみとペカンナッツ、カシューナッツとピスタチオ)もあるため、「くるみがだめならほかのナッツも全部だめ」「カシューナッツは平気だからピスタチオも平気」と家庭で決めつけず、どこまで食べてよいかを医師と確認しておくと安心です。

心配がない子でも、初めては家で

特に心配な要素がない子でも、ナッツを使ったパンや焼き菓子を初めて食べるのは、外出先や園ではなく、大人がそばで様子を見られる家庭で、体調のよい日の日中にしておくと、万一のときに落ち着いて対応しやすくなります。保育所向けのガイドラインも、保育所で「初めて食べる」食物がないよう保護者と連携することを原則にしています。

保育所で初めて食べる食物がないよう保護者と連携する原則は、こども家庭庁「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」のリーフレットによります。家庭で体調のよい日中に、という提案は編集部の整理で、量や進め方を示すものではありません。

ナッツは窒息・誤嚥にも注意

アレルギーとは別に、ナッツそのものには窒息・誤嚥の危険もあります。消費者庁は、奥歯が生えそろわず、かみ砕く力や飲み込む力が十分ではない子どもが豆やナッツ類を食べると、のどや気管に詰まらせて窒息したり、肺炎を起こしたりするリスクがあるとして、「豆やナッツ類など、硬くてかみ砕く必要のある食品は5歳以下の子どもには食べさせないでください」と呼びかけています。小さく砕いた場合でも、気管に入り込むと肺炎や気管支炎になるリスクがあるとしています。

「アレルギーがないから、ナッツをそのまま食べても大丈夫」ではない、ということです。粒のままのナッツや、ナッツがごろっと入ったお菓子は、アレルギーの有無にかかわらず、5歳以下の子どもには出さないようにしましょう。

引用は消費者庁「食品による子どもの窒息・誤嚥(ごえん)事故に注意!―気管支炎や肺炎を起こすおそれも、硬い豆やナッツ類等は5歳以下の子どもには食べさせないで―」によります。

窒息を防ぐ食べ物の形や大きさ、詰まらせたときの応急手当は、別の記事で詳しくまとめています。

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秋に気をつけたい場面

秋は、ナッツが入った食べ物に出会う場面が増える季節です。次のような場面を思い浮かべておくと、うっかりを防ぎやすくなります。

場面気をつけたいこと家庭でできる工夫
パン屋さん・ベーカリー袋に入れずに並ぶパンは表示義務の対象外ナッツ除去が必要な子なら店員に確認し、分からなければ買わない
秋の焼き菓子・手作りおやつくるみやアーモンドを刻んで生地に混ぜることがある手作りのものをもらったら、材料を聞いてから食べさせる
ハロウィンのお菓子チョコ菓子やナッツ入りのお菓子が混ざりやすいもらったお菓子はその場で開けず、家で表示を確認してから
グラノーラ・シリアルナッツ類が入った商品がある買うときに原材料名を確認し、大人用と分けて保管する
祖父母宅・親戚の集まり大人のおつまみのナッツ、お土産のお菓子事前に「うちはナッツを控えている」と伝えておく

表の場面と工夫は編集部の整理です。ハロウィンのお菓子の選び方は、ハロウィンの記事でも触れています。

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園・祖父母・外食・お菓子の交換での伝え方

食物アレルギーのある子を守るには、家族以外の大人とも情報を共有することが欠かせません。

保育園・幼稚園には「生活管理指導表」

こども家庭庁が示す「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」では、食物アレルギーなどで保育所で特別な配慮が必要な場合、医師が記入する「生活管理指導表」にもとづく対応が必須とされています。生活管理指導表は、医師・保護者・保育所をつなぐ重要なコミュニケーションツールと位置づけられていて、医師の記入、保護者との面談、職員間の共通理解、対応の見直しという流れで活用されます。食事の提供では、安全を最優先した完全除去による対応が原則とされています。

幼稚園や幼保連携型認定こども園は、日本学校保健会の「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン(令和元年度改訂)」の対象で、こちらでは「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」が使われます。様式や手続きは園や自治体によって異なるので、入園前や診断を受けたときに園へ確認しましょう。

保育所の生活管理指導表と対応の原則は、こども家庭庁「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」の概要とリーフレット、幼稚園・幼保連携型認定こども園がガイドラインの対象であることは日本学校保健会「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン(令和元年度改訂)」によります。

ヒント

診断を受けたら、医師に何を・どこまで除去するのか、微量の混入や注意喚起表示のある食品はどうするか、症状が出たときに使う薬と使うタイミングを確認し、メモにして園と共有すると、伝え漏れを防げます。エピペンを処方されている場合は、園での保管場所や使う人についても事前に話し合っておきましょう。

祖父母・親戚には「具体的に」伝える

祖父母の世代では、木の実類のアレルギーがここまで増えていることを知らない人もいるかもしれません。「アレルギーがある」だけでなく、「くるみとカシューナッツがだめ。パンやクッキーに入っていることがある」「ナッツ入りかどうか分からないものは食べさせないで」「顔色が悪い、息が苦しそうなら119番」と、具体的に伝えるのがおすすめです。症状が出たときの連絡先や、薬の置き場所も共有しておきましょう。

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外食・中食では「責任者に確認」

消費者庁の消費者向けパンフレット「外食・中食を利用するときに気をつけること」(令和8年7月)は、お店が提供している食物アレルギー情報が常に正しく、常に最新である保証はないこと、確認は責任者など食物アレルギーに詳しい店員にすること、心配な点があるときは利用しないことも大切であることを挙げています。店によって対象とする品目の範囲が違う(9品目だけか、29品目か)ことにも注意が必要です。

消費者庁の消費者向けパンフレット「外食・中食を利用するときに気をつけること」(令和8年7月)によります。同パンフレットは消費者庁「外食・中食での食物アレルギーについて」のページに掲載されています。

子連れの外食そのもののコツは、別の記事にまとめています。

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お菓子の交換・おすそ分け

公園や習い事、イベントで、子ども同士がお菓子を分け合う場面もあります。食物アレルギーのある子には、「もらったお菓子は、家の人に見せてから食べる」と約束しておくと、本人も断りやすくなります。反対に、ほかの家の子にお菓子を渡すときは、個包装で原材料表示のあるものを選び、相手の保護者に一声かけてから渡すと、お互いに安心です。

困ったとき・迷ったとき

「保育園の友だちがくるみアレルギーだと聞いて、うちの子にはまだナッツを食べさせたことがないことに気づきました。このまま避けていていいのか、試したほうがいいのか分からなくて」という声もあります。
3歳児の保護者

粒のままのナッツは窒息の心配から5歳以下には出さないものなので、幼児がナッツを食べたことがないのは不思議なことではありません。ナッツ入りのパンやお菓子に出会ったときは、初めては家庭で、体調のよい日の日中にしておくと落ち着いて見守れます。湿疹が続いている、ほかの食物でアレルギーがあるなど気になる点があるときは、自己判断で試したり、逆に必要以上に避け続けたりせず、健診や受診の機会にかかりつけの小児科へ相談してみてください。どう進めるかは、その子の状態を見た医師と一緒に決めるのが近道です。

「くるみアレルギーと診断されてから、パン屋さんに行くのが怖くなってしまった」という声もあります。
4歳児の保護者

表示を読み、表示のないものは確認するという習慣がつくと、不安は少しずつ小さくなっていきます。どこまで食べてよいか、微量の混入をどう考えるかは子どもによって違うため、主治医に具体的に聞いておくと買い物の迷いが減ります。ひとりで抱え込まず、主治医や園の先生、自治体の保健センターを頼ってください。

よくある質問

ナッツ類のアレルギーは、何歳ごろに多いのですか?
消費者庁の全国実態調査(2023年調査)では、3〜6歳のグループでくるみが原因食物の1位(28.3%)、1〜2歳でも2位(14.6%)でした。初めて症状が出た例では、3〜6歳でくるみとカシューナッツをあわせて半数近くを占めています。日本小児科学会雑誌の総説も、木の実類アレルギーで救急受診する患者は幼児期の発症が多く、その多くは初めてその木の実を食べたときに症状を起こしているとしています。
2026年4月の改正で、何が変わりましたか?
カシューナッツが表示義務のある特定原材料に加わり、特定原材料は9品目になりました。ピスタチオは表示が推奨される特定原材料に準ずるものに加わり、こちらは20品目です。カシューナッツには経過措置があり、2028年3月31日までに製造・加工・輸入された加工食品は改正前の例による表示ができます。
くるみアレルギーです。ほかのナッツも全部やめたほうがいいですか?
家庭で一律に決めず、主治医に確認してください。消費者庁の調査報告は、くるみとペカンナッツ、カシューナッツとピスタチオにはそれぞれ強い交差抗原性があることが知られているとしています。どこまで除去が必要かは、症状の経過や検査をもとに医師が判断します。
「本品製造工場では○○を含む製品を生産しています」と書かれた商品は食べられますか?
これはコンタミネーション(意図しない混入)の注意喚起表示で、義務ではなく推奨されている表示です。食べてよいかは子どもの症状の出方によって変わるため、主治医に確認しておきましょう。注意喚起表示がないことが混入の可能性がないことを意味するわけではない点にも注意が必要です。
アレルギーがなければ、ナッツをそのまま食べさせてもいいですか?
アレルギーとは別に窒息・誤嚥の心配があります。消費者庁は、豆やナッツ類など硬くてかみ砕く必要のある食品は5歳以下の子どもには食べさせないよう呼びかけており、小さく砕いても気管に入ると肺炎や気管支炎になるリスクがあるとしています。
心配なので、家で少しずつナッツを食べさせて慣らしてもいいですか?
自己流で量を増やしていく方法は勧められません。食物経口負荷試験は病院で十分な準備を整えて行う必要があるとされています。湿疹が続いている、ほかの食物アレルギーがあるなど心配があるときは、かかりつけの小児科やアレルギー専門医に相談し、医師の評価にもとづいて方針を決めましょう。
夜にじんましんが出ました。救急車を呼ぶべきか迷います。
息がしにくい、ゼーゼーする、声がかすれる、繰り返し吐く、ぐったりしている、意識がもうろうとしているなど緊急性の高い症状が一つでもあれば119番に通報してください。エピペンを処方されていればすぐ使います。皮膚だけの軽い症状で判断に迷うときは、#8000(子ども医療電話相談)で相談できます。

まとめ

木の実類アレルギーは、幼児期に増えているアレルギーです。2026年4月の改正でカシューナッツが表示義務に加わり、表示の仕組みはより手厚くなりましたが、量り売りや外食など表示のない場面も残っていて、カシューナッツには2028年3月までの経過措置もあります。表示を正しく読み、分からないものは確認し、緊急時の動き方を決めておけば、秋のおいしいものも落ち着いて楽しめます。

ナッツ類アレルギーに備えるチェックリスト

  • 原材料名の欄を最後まで読み、個別表示・一括表示・拡大表記(くるみパンなど)を確認する
  • カシューナッツは2028年3月末まで経過措置がある。表示欄だけでなく原材料名もあわせて見る
  • 量り売り・店内の料理・手作りのお菓子は表示がない前提で、確認できなければ食べさせない
  • 粒のままのナッツは、アレルギーの有無にかかわらず5歳以下には出さない
  • 湿疹やほかの食物アレルギーがあるときは、ナッツを始める前にかかりつけ医に相談する
  • 自己判断での除去や、家庭での自己流の負荷はしない
  • 園には生活管理指導表などで医師の指示を共有し、祖父母にも具体的に伝える
  • 息苦しさ・ぐったりなど緊急性の高い症状は119番。エピペンがあればすぐ使う。迷うときは#8000

食物アレルギーの心配は、ひとりで抱えるほど大きく感じるものです。気になることがあれば、かかりつけの小児科やアレルギー専門医に早めに相談し、家族と園とで情報を共有しながら、その子に合った向き合い方を見つけていきましょう。幼児期のおやつ全体の考え方は、こちらの記事も参考になります。

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