幼児のおやつの考え方|「第4の食事」としての量・タイミング・内容の目安
対象の目安: 1〜5歳ごろ

「おやつをあげすぎている気がする」「甘いものばかりで、ごはんを食べなくなった」。幼児のおやつは、多くの家庭が一度は迷うテーマです。大人にとってのおやつは楽しみの一品ですが、幼児にとっての間食は位置づけがまったく違います。胃が小さく1日3回の食事だけでは必要な量をとりきれないため、間食は「第4の食事(補食)」として、食事で足りない分を補う役割を持ちます。この記事では、量・タイミング・内容という3つの軸で、幼児の間食の考え方を公的資料をもとに整理しました。
年齢別の目安(早見表)
まずは全体像です。数字はあくまで目安で、体格・活動量・その日の食事量によって前後します。
| 年齢 | 回数の目安 | 量の目安 | 意識したいこと |
|---|---|---|---|
| 1〜2歳ごろ | 1日2回(午前・午後) | 1日100〜150kcal程度 | 1回量が少ないので補食の比重が大きい。時間を固定する |
| 3〜5歳ごろ | 1日1回(午後) | 1日200〜260kcal程度 | 3食がしっかり食べられれば午後1回に集約していく |
| 共通 | 時間を決めて規則的に | うち菓子・嗜好飲料は1日200kcalまでが目安 | 次の食事まで2〜3時間(最低でも2時間)あける。だらだら食べにしない |
調布市「幼児食の進め方」。「2歳までは午前と午後の2回、3歳を過ぎたら午後1回、おやつ(補食)でエネルギーや栄養、水分を補います」との記載を参照
なぜ幼児に間食が必要なのか
幼児期は、体が小さいわりに必要なエネルギーが多い時期です。東京都の資料では、体重1kgあたりに必要なエネルギーは30歳の母親が約38kcalなのに対し、3〜5歳児は約81kcalと説明されています。それでいて子どもの胃や腸は大人より小さく、機能も未熟です。一度にたくさん食べられないため、3回の食事だけでは必要な量に届かないことがあります。そこを埋めるのが間食です。
メモ
同じガイドでは、間食は「食事の一部」であり「1日3回の食事で、補えないエネルギーや栄養素を補う内容が望ましい」とされています。「おやつ=お菓子」ではなく「4回目の小さな食事」ととらえると、選ぶものも量も決めやすくなります。
量とタイミングをどう決めるか
- 1
回数を先に決める
1〜2歳ごろは午前と午後の2回、3歳を過ぎたら午後1回が目安です。園に通っている場合は園のおやつが1回分に相当するので、家では回数を足しすぎないようにします。 - 2
時刻を固定する
「10時と15時」のように時刻を決めます。欲しがるたびに出すと量が読めず、食事に響きます。 - 3
次の食事まで2〜3時間あける
おやつと食事の間隔は2〜3時間(最低でも2時間)あけると、次の食事を空腹で迎えられます。夕食の1時間前のおやつは「夕食が入らない」原因になりがちです。 - 4
器に取り分けて出す
袋や箱のまま渡さず、1回分をお皿に出します。量が目に見えることで、子ども自身も「これでおしまい」が分かりやすくなります。 - 5
食べ終わりを決める
10〜15分程度で切り上げ、「ごちそうさま」をします。だらだら食べにしないことが、むし歯予防にも食欲の維持にもつながります。
何を出すか。内容の考え方
間食は「食事で足りなかったものを足す時間」です。その日の食事をふりかえって、足りていないグループから選ぶと迷いません。
| 補いたいもの | おやつの例 |
|---|---|
| エネルギー・炭水化物 | 小さなおにぎり、サンドイッチ、蒸したさつまいも、とうもろこし |
| カルシウム・たんぱく質 | 牛乳、ヨーグルト、チーズ、きなこを使ったもの |
| ビタミン・食物繊維 | 季節の果物、蒸し野菜スティック、かぼちゃのおやき |
| 水分 | 水、麦茶 |
「幼児期の健やかな発育のための栄養・食生活支援ガイド」でも、間食の内容として「果物、野菜、牛乳・乳製品、穀類、いも、豆類など、食事でとりきれない栄養素を補えるもの」を選択できるよう配慮することが示されています。特別なレシピは不要で、朝の残りのおにぎりや蒸しておいたいもで十分です。
厚生労働省のe-ヘルスネットでも、成長期の子どもにとって間食は3度の食事でとりきれないエネルギーや栄養素を補う良い機会になり得るとされています。
ヒント
東京都の資料では「菓子パンは、主食ではなく、菓子である」と整理されています。パンなら食パンやロールパンにチーズを合わせるなど、主食+たんぱく質の組み合わせにすると補食らしくなります。
飲み物は水と麦茶を基本に
飲み物は見落とされがちですが、間食の一部です。ジュースや乳酸菌飲料は糖分が多く、飲むと満腹感が出て次の食事に響きます。基本は水か麦茶にして、ジュース類は「量と回数を決めて」の位置づけにしましょう。
注意
日本小児歯科学会は、哺乳びんにジュースやイオン飲料など糖分の多い飲み物を入れて飲ませたり、寝るときに哺乳びんで飲みながら眠ってしまうと、むし歯のリスクが高くなるとしています。また同学会は、これとは別のリスクとして、市販の清涼飲料(ジュース・炭酸飲料・スポーツ飲料など)は酸性のものが多く、水代わりに頻回に飲んだりマグなどで長時間飲んだりすると、酸が歯に接する時間が長くなり、歯が溶ける「酸蝕」が起きやすくなるとしています。なお、イオン飲料を水代わりに飲み続けた乳幼児のビタミンB1欠乏症は、まれではあるものの報告があり、注意喚起されています。体調不良時など必要な場面以外は、日常の水分は水・麦茶を基本にしましょう。
日本小児科学会サイト掲載資料「イオン飲料水の多飲によるビタミンB1欠乏症」(愛知医科大学小児科)。「頻度は稀」としつつ実態調査の結果が報告されている点を参照
むし歯には「量」より「回数」が関わる
甘いものを一切やめる必要はありません。むし歯は、歯の表面の細菌が糖分から酸をつくり、その酸が歯を溶かす(脱灰)ことで起こります。唾液には酸を中和し、溶けかけた歯を修復する(再石灰化)はたらきがあるため、食べる時間が空いていれば回復が追いつきます。ところが糖分の摂取が頻繁だと、この緩衝や再石灰化が間に合わなくなるとされています。つまり気をつけたいのは一度の量よりも、口の中に食べ物がある回数です。
むし歯を遠ざけるおやつの習慣
- 時間と回数を決めて、だらだら食べにしない
- 食べ終わったら水や麦茶で口の中をさっぱりさせる
- 寝る前の飲食は避ける(特に甘い飲み物)
- 1日1回はていねいに仕上げみがきをする
窒息・誤嚥を防ぐために
おやつの時間は、窒息・誤嚥(ごえん)が起こりやすい場面のひとつです。ここだけは目安ではなく「守りたいルール」として押さえてください。
注意
消費者庁は、豆やナッツ類など硬くてかみ砕く必要のある食品は5歳以下の子どもには食べさせないよう注意喚起しています。小さく砕いた場合でも、気管に入り込むと肺炎や気管支炎になるリスクがあります。また、ミニトマトやぶどうなど球状の食品を丸ごと食べさせると窒息するリスクがあります。節分の豆や、きょうだいが食べているナッツにも同じ注意が必要です。
消費者庁「食品による子どもの窒息・誤嚥(ごえん)事故に注意!」。硬い豆やナッツ類を5歳以下に食べさせないこと、球状の食品を丸ごと与えるリスクに関する記載を参照
こども家庭庁の「児童福祉施設等における食事の提供ガイド」では、誤嚥につながりやすい性質として「弾力があるもの」「なめらかなもの」「球状のもの」「粘着性が高いもの」「固いもの」が挙げられ、過去に事故が起きた食材として白玉風のだんご、丸のままのミニトマト、りんごなどが示されています。食事中に遊ぶ・泣く、歩きながら食べる、口に入れたまま会話をする、早食いといった状況も危険とされています。
おやつのときの安全ルール
- 硬い豆・ナッツ類は5歳以下には出さない
- ぶどう・ミニトマトは4等分するなど小さく切る
- 白玉・もち・飴・こんにゃくゼリーは避けるか年齢を待つ
- 必ず座って食べる。歩きながら・遊びながらは禁止
- 口に入れたまま話しかけたり、驚かせたりしない
- 食べているあいだは大人が同じ空間で見守る
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市販のお菓子との折り合い方
市販のお菓子を完全に避ける必要はありません。ガイドでも「市販菓子の与えすぎには注意をする」と、禁止ではなく量と頻度の問題として扱われています。選ぶときは次の3点を見ると判断しやすくなります。
- 食塩相当量と砂糖の量。塩味の強いスナックや、砂糖が主体の菓子は「毎日」にしない
- 食物アレルギーの表示。特定原材料等の表示欄を必ず確認する(消費者庁の食物アレルギー表示のページ)
- 形状と硬さ。硬い粒状のもの、丸くつるっとしたもの、口の中でばらけるものは幼児には向きません
ヒント
「補食を先、お菓子は少し」の順番にすると折り合いがつけやすくなります。例えばおにぎりと牛乳を出したあとに、小袋のビスケットを2枚。お菓子をゼロにするより現実的で、続けやすい方法です。
こんなときどうする
食事が入らないときは、まず「量」より「時刻」を見直します。夕食の2〜3時間前までに終えられているか、飲み物で満腹になっていないかを確認しましょう。ガイドでも、飲料は量が多かったり食前に与えたりすると食欲に影響するとされています。それでも食が細いときは、内容を甘いものから補食寄り(おにぎり・いも・乳製品)に切り替えてみてください。
こども家庭庁のガイドは、3歳以上児について「1日当たりで示される食事摂取基準の43%程度(昼食33%、おやつ10%)が妥当」とした先行研究の検討結果を、目標設定の考え方の一例として参考に紹介しています(一律に適用するものではないとされています)。数字はさておき、園のおやつがすでに1回分にあたることは変わりません。帰宅後にさらに欲しがるときは、夕食が遅いことが背景の場合も。夕食を少し早める、おにぎり半分など「夕食の先取り」にすると二重取りになりません。
交換条件やごほうびとしておやつを使うと短期的には効きますが、繰り返すうちに「お菓子がないと動かない」形になりやすくなります。おやつは「決まった時間に来るもの」として生活に組み込み、行動への声かけは「できたね」と認める言葉で返すほうが、長い目では扱いやすくなります。
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よくある質問
おやつは毎日あげないといけませんか?
手作りでないとだめですか?
おやつを欲しがって泣くときはどうすれば?
チョコレートやアイスは何歳から食べられますか?
節分の豆は何歳から大丈夫ですか?
おやつのあとに歯みがきは必要ですか?
まとめ・次の一歩
幼児のおやつは、我慢させるものでも、機嫌を取るためのものでもなく、1日3回では足りない分を補う「第4の食事」です。回数と時刻を決め、次の食事まで2〜3時間あけ、食事で足りないものを選ぶ。この3つが決まれば、市販のお菓子とも無理なく折り合いがつきます。
今日から見直せる5つ
- 回数を決める(1〜2歳は1日2回、3歳以降は1日1回が目安)
- 時刻を固定し、次の食事まで2〜3時間あける
- 袋のままではなく、1回分を器に取り分ける
- 飲み物は水・麦茶を基本にする
- 硬い豆やナッツは5歳以下には出さない。球状のものは切る
食が細い、体重の増えが気になる、アレルギーが心配といったときは、自己判断で食べられるものを狭めすぎず、かかりつけ医や園の栄養士・保健センターの管理栄養士に相談してみてください。日々の食事の献立に悩んだときは、野菜のとり入れ方をまとめた記事も参考になります。
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