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子どもの百日せき(百日咳)|2025年の記録的流行と2026年のいま、生後6か月未満の赤ちゃんを家族で守る予防接種・受診と登園の目安

対象の目安: 0〜6歳(とくに生後6か月未満の赤ちゃんのいる家庭)

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子どもの百日せき(百日咳)|2025年の記録的流行と2026年のいま、生後6か月未満の赤ちゃんを家族で守る予防接種・受診と登園の目安

「上の子の咳がなかなか止まらない。家には生まれたばかりの赤ちゃんがいるのに」。百日咳は、コンコンと続く激しい咳が特徴の細菌の感染症です。2025年には、すべての患者を届け出る仕組みになった2018年以降で最も多い報告数になりました。2026年は報告数こそ大きく減っていますが、毎週の報告はまだ続いています。年長児や大人では長引く咳で済むことが多い一方、ワクチンを受ける前の赤ちゃんがかかると重くなることがあるため、家族みんなで守るという考え方が大切になります。この記事では、国立健康危機管理研究機構(JIHS)、厚生労働省、日本小児科学会、こども家庭庁などの資料をもとに、流行の状況、症状の経過、予防接種、家庭での予防、受診と登園の目安を整理しました。診断や治療は医師が行います。気になる咳があるときは、自己判断せずかかりつけの小児科に相談してください。

百日咳はどんな病気か(経過の早見表)

百日咳は、百日咳菌という細菌による急性の気道感染症です。うつり方は、咳やくしゃみのしぶきを吸い込む飛沫感染と、手などを介した接触感染。JIHSは感染力が強いと説明しています。経過は大きく3つの時期に分かれます。

時期期間の目安主な様子
潜伏期間7〜10日程度症状はまだ出ていない
カタル期約2週間ふつうのかぜのような症状で始まり、しだいに咳の回数が増えて激しくなる
痙咳期(けいがいき)約2〜3週間短い咳が連続して出たあと、息を吸うときにヒューという笛のような音が出る発作をくり返す。吐いてしまうこともあり、夜間の発作が多い。熱はないか、あっても微熱程度
回復期2〜3週間ほどで発作が減る激しい発作はしだいに減るが、その後も時おり発作性の咳が出る。全経過はおよそ2〜3か月

経過の3期、潜伏期間、痙咳期の咳の特徴、嘔吐や夜間の発作、発熱はないか微熱程度であることは、JIHS「百日咳(詳細版)」(2018年1月29日改訂)と厚生労働省「百日咳」によります。感染経路と感染力が強いことはJIHS「百日咳の発生状況について」によります。

最初の1〜2週間は、ふつうのかぜとほとんど見分けがつきません。「かぜにしては咳がだんだん強くなる」「咳き込んだあとに吐く」「夜に何度も咳の発作で起きる」といった変化が、受診を考えるきっかけになります。

赤ちゃんは「咳が目立たない」ことがある

注意したいのは、月齢が低いほど症状が典型的ではないことです。JIHSは、乳児期早期では特徴的な咳がなく、息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ(顔色や唇が青紫になること)、けいれん、呼吸停止へ進むことがあるとしています。肺炎や脳症を合併することもあります。

注意

生後数か月の赤ちゃんでは、「咳がひどいかどうか」だけで判断しないでください。咳が少なくても、呼吸が止まる・顔色が悪くなる・ぐったりするといった様子があれば、すぐに受診や救急の対象になります。具体的な目安は「受診の目安」の節にまとめています。

年長児や大人は「長引く咳」だけのことも

一方で、ワクチンを受けたことのある年長児や大人がかかると、典型的な発作にならず、長引く咳だけで済むことがあります。JIHSは、成人の百日咳は軽症で見逃されやすいものの、菌を排出しているため、ワクチン未接種の新生児・乳児への感染源として注意が必要だとしています。こども家庭庁の保育所向けガイドラインも、年長児以降では咳の長引くかぜと思われることが少なくないと記しています。

長引く咳の原因は百日咳だけではありません。ぜん息やマイコプラズマ肺炎など、ほかの原因の整理は別記事にまとめています。

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乳児期早期の無呼吸発作・チアノーゼ・けいれん・呼吸停止と、成人は軽症で見逃されやすいが乳児への感染源として注意が必要であることはJIHS「百日咳(詳細版)」、乳児で肺炎や脳症を合併することがあることはJIHS「百日咳」、年長児以降で長引くかぜと思われることがあることはこども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」によります。

2025年の記録的な流行と2026年のいま

百日咳は2018年1月から、診断したすべての医師が届け出る「5類感染症の全数把握対象疾患」になりました。そこからの流れは次のとおりです。

  • 2018年は12,118例、2019年は16,847例の届出
  • 新型コロナウイルス感染症が流行した2020〜2023年は、年間3,000例未満
  • 2024年の後半から増え始め、2025年は第1〜44週だけで84,911例と、過去の年間届出数を大きく上回った
  • 2025年第52週(12月22日〜28日)の感染症週報に載った2025年の累積報告数は89,387例

2025年の届出で多かったのは10代で、届出基準を満たした83,793例のうち10〜19歳が52%、5〜9歳が24%でした。学校に通う年代が中心の流行でしたが、赤ちゃんの届出も増えています。重症化が心配される0〜5か月児の届出は2019年の1.9倍、6〜11か月児では3.7倍でした。

2018年・2019年の年間届出数、2020〜2023年が年間3,000例未満、2025年第1〜44週の84,911例は、JIHS「IASR Vol.47 No.551(2026年1月号)百日咳 2025年11月現在」によります。年齢群の割合と乳児の増加は同号「2025年における届出ガイドラインに則った国内百日咳の疫学のまとめ」(2025年11月5日時点)、89,387例は厚生労働省・JIHS「感染症週報(IDWR)」2025年第52週の累積報告数によります。累積報告数はその後の報告で修正されることがあります。

2026年の報告状況

2026年は、前年と比べると報告数が大きく減っています。執筆時点(2026年9月26日)で確認できた数値は次のとおりです。

集計その週の報告数その年の累積報告数
2026年第36週(8月31日〜9月6日)感染症週報46例4,273例
2026年第37週(9月7日〜13日)速報値57例4,338例
参考:2025年第36週(9月1日〜7日)感染症週報1,921例74,724例

2025年の同じ時期と比べると大幅に少ない一方、2026年の第36週までの累積は、2020〜2023年の年間届出数(いずれも3,000例未満)をすでに上回っています。第36週の報告46例のなかには0歳が1例、2〜4歳が5例含まれていました。「流行のピークは越えたが、身近な病気であることは変わらない」くらいに受け止めておくのがよさそうです。

2026年第36週の報告数・年齢群・累積報告数(9月9日集計分)は厚生労働省・JIHS「感染症週報(IDWR)」2026年第36週、第37週の数値はJIHS「IDWR速報データ(2026年第37週)」(全数把握疾患の都道府県別CSV、2026年9月24日掲載)、2025年第36週の数値は同週報2025年第36週によります。速報値は後日修正される場合があります。地域の状況は、お住まいの都道府県の感染症情報センターでも確認できます。

マクロライドが効きにくい百日咳菌(耐性菌)の話題

百日咳の治療では、マクロライド系と呼ばれる抗菌薬が第一選択とされてきました。ところが近年、この薬が効きにくい百日咳菌(マクロライド耐性百日咳菌)が問題になっています。

JIHSによると、国内では2018年に大阪府と東京都で1株ずつ見つかったあと、しばらく報告はありませんでしたが、2024年に患者が増え始めると検出の報告が相次ぎ、2025年4月時点で9都道府県から報告がありました。国内の流行の多くは、耐性菌と薬が効く菌が混ざった状態とされています。2026年1月号のIASRでは、愛媛県の2025年7〜8月の調査で、百日咳菌が見つかった66症例のうち86.4%が耐性型だったこと、富山県の調査で94症例の84.0%が耐性型と判明したことなどが報告されました。ただし富山県の報告は、調べた症例の大半が1つの医療機関からのもので県全体を代表しない可能性があるとし、全国の流行で耐性菌がどの程度影響しているかは現時点では不明としています。

日本小児科学会は2025年3月、国内での耐性菌の増加に注意が必要だとして、耐性菌が疑われる場合の代わりの薬についての考え方を示しました。そのうえで、代わりの薬には新生児や妊婦などに使えないものがあること、重症が疑われる場合は地域の小児感染症の専門家に相談することが望ましいことも記しています。どの薬を使うかは、年齢や検査結果、経過を見て医師が判断することです。

ヒント

家庭で気をつけたいのは、耐性かどうかを自分で気にすることより、次の3つです。

  • 家に残っている抗菌薬を自己判断で使わない。きょうだいや大人に処方された薬を赤ちゃんや他の家族に使わない
  • 処方された薬は、医師の指示どおりの量と期間でのむ。症状が軽くなっても自己判断でやめない
  • 薬をのんでも熱や咳の様子が変わらない、新しい症状が出たときは、主治医に伝えて改めて相談する

第一選択薬、国内の検出の経緯、2025年4月現在9都道府県、混合流行であることはJIHS「百日咳の発生状況について」、愛媛県・富山県の割合と全国への影響は現時点で不明であることはJIHS「IASR」2026年1月号の各報告によります。代替薬の考え方と使えない対象、専門家への相談は日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「百日咳患者数の増加およびマクロライド耐性株の分離頻度増加について」(2025年3月29日)によります。日本小児科医会は、薬剤耐性対策の見地から不要なマクロライド系・キノロン系抗菌薬の使用を抑えることを提言しています。

なぜ生後6か月未満の赤ちゃんを守りたいのか

JIHSは、百日咳は母親からの免疫が十分ではないため乳児期早期からかかる可能性があり、1歳以下の乳児、とくに生後6か月以下では命に関わる危険性も高いとしています。日本小児科学会も、ワクチン未接種か、3回の接種が済んでいない生後6か月未満の赤ちゃんで重症化しやすいと説明しています。

厚生労働省は、百日せきにかかった場合、一般に肺炎になる子が5%程度(月齢6か月以内では約12%)いるとされ、亡くなる子は一般に0.2%(月齢6か月以内では0.6%)といわれているとしています。数字を見ると不安になりますが、裏を返せば、ワクチンと家庭での予防、早めの受診で守れる部分が大きいということでもあります。

母親からの免疫が十分でないこと、生後6か月以下の危険性はJIHS「百日咳(詳細版)」、ワクチン未接種か3回接種未完了の6か月未満で重症化しやすいことは日本小児科学会(2025年3月29日)、肺炎と死亡の割合は厚生労働省「5種混合ワクチン」によります。

赤ちゃんへの感染源は「家族」が多い

2025年の届出のうち、感染経路がわかった13,222例をみると、きょうだいとの接触による感染が9,788例(74%)と最も多く、次いで母親1,604例(12%)、父親1,235例(9%)でした(重複あり)。家庭内での感染が大部分を占めていたということです。JIHSはあわせて、学校などでの感染をきっかけに家庭内で乳児へ広がった事例も示されているとし、6か月未満の子がいる家庭では家族内での感染に注意が必要だと述べています。

流行前の2019年の報告でも、生後6か月未満の届出は主に生後2か月以下のワクチン未接種の赤ちゃんで、感染源の多くは家族、とくに兄や姉だったとされています。

2025年の感染経路の内訳と、学校などでの曝露から家族内で乳児へ広がった事例、6か月未満児のいる世帯での注意はJIHS「IASR」2026年1月号「2025年における届出ガイドラインに則った国内百日咳の疫学のまとめ」(2025年第1〜44週)、2019年の報告は同号「百日咳の予防接種」によります。

「上の子は元気で熱もないのに、咳だけが2週間以上続いていて。まさか百日咳とは思わず、赤ちゃんのすぐそばで遊ばせていました」という声もあります。熱がなく元気そうでも、長引く咳の家族がいるときは早めに受診し、家に小さな赤ちゃんがいることを医師に伝えてください。
生後2か月の赤ちゃんと5歳児の保護者

予防接種で守る(5種混合と追加接種)

百日咳の予防で最も大切なのは、ワクチンです。2024年4月から、百日せきを含む定期接種には主に5種混合ワクチン(ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ・Hib)が使われています。厚生労働省は、ワクチン接種により百日せきにかかるリスクを80〜85%程度減らせると報告されているとしています。

時期ワクチン区分ポイント
生後2か月〜5種混合(初回3回)定期接種生後2〜7か月に至るまでを標準的な期間として、20日以上(標準的には20〜56日)あけて3回
初回終了から6か月以上あけて5種混合(追加1回)定期接種標準的には初回終了後6〜18か月の間隔で1回。おおむね1歳ごろ
小学校入学前の1年間(年長のころ)3種混合任意接種日本小児科学会が学童期の百日咳予防のために推奨
11〜12歳3種混合任意接種定期接種の2種混合(ジフテリア・破傷風)の代わりに受けることを日本小児科学会が推奨

5種混合の接種スケジュールと罹患リスクの低減効果は厚生労働省「5種混合ワクチン」によります。就学前と11〜12歳の3種混合(任意接種)の推奨は日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会(2025年3月29日)によります。JIHS「IASR」2026年1月号「百日咳の予防接種」も、同学会による就学前の1年間(5〜6歳)でのDPT追加接種の推奨を紹介しています。

なぜ追加接種がすすめられているのでしょうか。百日せきワクチンの効果は約4〜12年で弱まると見積もられています。2023年度の調査では、百日咳の毒素に対する抗体を持つ人の割合は生後0〜5か月で100%近くあったものの、その後は下がり、8歳、9歳、12歳、17歳では30%を下回っていました。現行の定期接種は1歳すぎの4回目で終わるため、小学生の年代で免疫が弱まり、そこで感染した子が家庭に持ち帰る、という流れが起こりえます。

ヒント

  • 生後2か月になったら、5種混合をできるだけ遅れずに始める。体調不良などで予定がずれたときは、かかりつけ医に相談して組み直す
  • 上の子の母子健康手帳で、5種混合(または4種混合など)の4回が済んでいるか確認する
  • 就学前や11〜12歳の3種混合は任意接種。費用や受けられる医療機関は、かかりつけの小児科や自治体に確認する

2025年には3種混合の希望者が急に増え、供給量を上回ったため、2025年5月から限定出荷の措置がとられたと予防接種推進専門協議会が報告しています。在庫の状況は時期や地域で変わるため、接種を考えるときは事前に医療機関に問い合わせるのが確実です。

ワクチンの免疫効果が約4〜12年で減弱すること、2023年度の抗体保有率はJIHS「IASR」2026年1月号「百日咳 2025年11月現在」によります。3種混合の需要急増と2025年5月からの限定出荷は、予防接種推進専門協議会「百日咳流行に伴うワクチン接種に関するお願い」(2025年5月21日)によります。執筆時点の供給状況は確認できていません。

0〜6歳の予防接種全体の流れは、こちらで整理しています。

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妊娠中の接種について(国内での位置づけ)

生まれてすぐの赤ちゃんは、生後2か月まで5種混合を受けられません。そこで海外では、妊娠後期の妊婦に百日せきを含むワクチンを接種し、胎盤を通して赤ちゃんに抗体を移す方法がとられています。

日本での位置づけは、次のように整理できます。

  • 海外で妊婦に使われる成人用のワクチン(Tdap)は、日本では承認されていない
  • 日本では、小児の定期接種として使われ、添付文書上妊婦への皮下接種も認められている3種混合(DTaP)の接種が考慮されている。日本小児科学会は妊娠27〜36週(国内の臨床研究は28週以降で実施)を接種時期として示している
  • 妊娠後期の接種で抗体が胎児に移ることは確認されているが、赤ちゃんの重症化を防ぐ効果は、まだ証明されていないと日本小児科学会・日本産科婦人科学会が明記している
  • 定期接種ではなく、希望する人が受ける任意の接種

メモ

妊娠中の接種を考える場合は、妊婦健診を受けている産婦人科で相談してください。受けるかどうかは、効果がまだ確かめられていない点も含めて、主治医と話し合って決めるものです。なお、赤ちゃんのRSウイルス感染症を防ぐための妊婦へのRSウイルスワクチンは、2026年度から定期接種になっています。

Tdapが国内未承認であること、DTaP(トリビック)の接種が考慮されていること、接種時期、抗体の移行は確認されているが乳児の重症化予防効果はまだ証明されていないことは、日本小児科学会「妊婦への接種が推奨または考慮されるワクチン」(2025年10月7日)および日本産科婦人科学会「乳児の百日咳予防を目的とした百日咳ワクチンの母子免疫と医療従事者への接種について」(2025年4月25日)によります。日本小児科医会は、妊娠27〜36週の妊婦へのDPT接種の助成などを提言しています(2025年5月20日)。妊婦へのRSウイルスワクチンが2026年度から定期接種になったことは、厚生労働省「RSウイルスワクチン」によります。

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家庭でできる予防(赤ちゃんのいる家庭で)

ワクチンに加えて、毎日の感染対策も効果があります。百日咳は飛沫と接触でうつるため、基本は手洗いと咳エチケットです。こども家庭庁の保育所向けガイドラインは、呼吸器症状のある年長児や大人は0歳児と接触しないようにすることを挙げています。家庭で完全に離れるのは難しいので、できる範囲の工夫を組み合わせましょう。

赤ちゃんを守るための家庭の工夫

  • 咳が出ている家族はマスクを着け、咳やくしゃみはティッシュや肘の内側で口と鼻を覆う
  • 帰宅したとき、赤ちゃんを抱っこする前、おむつ替えや授乳の前に、石けんで手を洗う
  • 咳の続く大人やきょうだいは、赤ちゃんの顔に近づく抱っこやほおずりをしばらく控え、ほかの家族に代わってもらう
  • きょうだいには「赤ちゃんに会う前は手を洗おうね」と、叱るのではなく一緒に習慣にする
  • 長引く咳の家族は早めに受診し、家に生後6か月未満の赤ちゃんがいることを医師に伝える
  • タオルの共用を避け、ドアノブやおもちゃなど手がよく触れる所をこまめに拭く
  • 上の子や大人の予防接種歴を母子健康手帳などで確認しておく

家族が百日咳と診断されたときは、同居している赤ちゃんのことも必ず医師に伝えてください。JIHSは、濃厚接触者に対して抗菌薬の予防的な投与が検討されることもあるとしています。必要かどうかは医師が判断するものなので、家にある薬を使うのではなく、受診して相談しましょう。

呼吸器症状のある年長児や成人は0歳児と接触しないようにすることは、こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」の百日咳の項によります。手洗いや咳エチケットが有効であること、濃厚接触者への予防投薬の検討はJIHS「百日咳」、近くに乳幼児や妊婦がいる場合に飛沫・接触感染の予防に注意し、咳が続く場合は受診することはJIHS「IDWR 2025年第22号」によります。

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受診の目安

百日咳は、症状だけではかぜなどと見分けにくく、多くは検査で確認します。検査は発症からの時期によって向いている方法が違うため、経過を医師に伝えることが大切です。次のような様子があれば、受診や救急を考えてください。

注意

すぐに119番を考える様子(とくに赤ちゃん)

  • 呼吸が止まる、息を止めているように見える時間がある
  • 顔色や唇の色が青紫になる
  • けいれんを起こした
  • ぐったりして呼びかけへの反応が鈍い

早めに小児科を受診したい様子

  • 生後6か月未満の赤ちゃんに咳が出始めた、咳き込むことが増えた
  • 連続して咳き込み、そのあと息を吸うときにヒューという音が出る
  • 咳き込んだあとに吐く、夜に咳の発作で何度も起きる
  • 母乳やミルクの飲みが悪くなった
  • 家族に百日咳と診断された人や、長引く咳の人がいる
  • かぜのあとに咳だけがだんだん強くなっている

厚生労働省は、咳が続く場合は医療機関の受診を検討し、受診を迷うときや夜間・休日には日本小児科学会の「こどもの救急(ONLINE-QQ)」を参照したり、子ども医療電話相談(#8000)に相談したりするよう案内しています。#8000は全国共通の番号で、お住まいの都道府県の窓口につながり、小児科医や看護師から対処や受診先のアドバイスを受けられます。

乳幼児で無呼吸発作・けいれん・呼吸停止に進展することがあること、咳が続く場合の受診と「こどもの救急」「#8000」の案内は、厚生労働省「百日せきにご注意ください」(2025年5月作成)によります。検査に適した時期があることはJIHS「IASR」2026年1月号、#8000の仕組みは厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)について」によります。119番を考える様子は、JIHSが乳児期早期にみられることがあるとする無呼吸発作・チアノーゼ・けいれん・呼吸停止をもとに編集部で整理したもので、迷うときはためらわず救急を呼んでください。

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登園・登校の目安

百日咳は、学校保健安全法で出席停止の期間が決められている「第二種の感染症」です。幼稚園や小学校では、学校保健安全法施行規則の次の基準が目安になります。

メモ

特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで(ただし、病状により学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めたときは、この限りでない)

保育所については、こども家庭庁のガイドラインが、百日咳を「医師が意見書を記入することが考えられる感染症」の一つに挙げています。感染しやすい期間は「抗菌薬を服用しない場合、咳出現後3週間を経過するまで」、登園のめやすは「特有の咳が消失していること又は適正な抗菌性物質製剤による5日間の治療が終了していること」です。意見書や登園届は一律に必要なものではなく、各保育所が地域の医療機関などと協議して取り扱いを決めることとされています。

注意したいのは、「5日間の治療が終わった」ことと「咳が止まった」ことは別だという点です。日本小児科学会は、耐性菌の可能性もあり、また治療への反応で菌が消えたかを判断することはできないとして、咳が続いている間はマスクなどの咳エチケットが必要だとしています。

  1. 1

    診断がついたら園・学校に伝える

    病名と、抗菌薬の治療を始めた日を伝えます。家に赤ちゃんやきょうだいがいれば、その園・学校にも様子を共有しておくと安心です。
  2. 2

    意見書などの書式を確認する

    必要かどうか、どの書式かは施設や自治体で異なります。早めに確認しておくと、再開の日に慌てずにすみます。
  3. 3

    主治医に再開してよいか確認する

    「特有の咳が消えたか」「5日間の治療が終わったか」を、処方どおりにのめたかも含めて主治医と確認します。
  4. 4

    咳が残る間は咳エチケットを続ける

    登園・登校を再開しても咳が残ることがあります。マスクや手洗いを本人と約束し、とくに赤ちゃんのいる家庭では家の中でも続けます。

出席停止の基準は学校保健安全法施行規則第18条・第19条、保育所の感染しやすい期間・登園のめやす・意見書の扱いはこども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版・2023年5月一部改訂)」、咳が続く間の咳エチケットと治療への反応で菌の消失を判断できないことは日本小児科学会(2025年3月29日)によります。運用は園・学校・自治体で異なります。

「抗菌薬は5日で終わったのに咳はまだ出ていて、登園させていいのか迷いました」という声もあります。基準は「咳が消える」か「適切な治療5日間の終了」のどちらかですが、判断に迷うときは主治医と園の両方に確認するのが確実です。
4歳児の保護者

よくある質問

5種混合を4回受けていれば、百日咳にはかからないのでしょうか?
厚生労働省は、ワクチン接種により百日せきにかかるリスクを80〜85%程度減らせると報告されているとしています。ただしワクチンの効果は約4〜12年で弱まると見積もられており、接種済みの子や大人がかかることもあります。その場合は典型的な症状にならず、軽く済むことが多いとされます。赤ちゃんを守るうえでも、定期接種を遅れずに受けることが基本です。
熱がないのに百日咳のことはありますか?
あります。JIHSは、痙咳期の発熱はないか、あっても微熱程度としています。熱がなくても、咳がだんだん強くなる、連続して咳き込んだあとヒューと息を吸う、咳き込んで吐くといった様子があれば、受診して相談してください。
家族が百日咳と診断されました。赤ちゃんにはどうすればいいですか?
診断した医師に、家に赤ちゃんがいることを必ず伝えてください。JIHSは、濃厚接触者には抗菌薬の予防的な投与が検討されることもあるとしています。必要かどうかは医師が判断するため、家にある薬を自己判断で使わないでください。家庭では咳エチケットと手洗いを徹底し、咳の出ている家族が赤ちゃんの顔に近づくことをしばらく控えましょう。
抗菌薬をのめば、咳はすぐに止まりますか?
すぐには止まらないことが多いです。日本小児科学会は、激しい咳が出る時期の抗菌薬は症状の改善は乏しいものの、ほかの人への感染を大きく減らすとしています。咳は回復期にも時おり出て、全経過は2〜3か月とされます。処方された薬は指示どおりにのみ、様子が気になるときは主治医に相談してください。
大人もかかりますか?
かかります。ワクチンを受けてから年数がたち、免疫が弱まった青年や大人の感染が広がっているとJIHSは説明しています。大人は軽症で長引く咳だけのことが多く見逃されやすい一方、赤ちゃんへの感染源になりうるため、咳が長く続くときは受診を考えてください。
妊娠中に百日咳のワクチンを受けたほうがいいですか?
日本では、妊娠後期の3種混合(DTaP)の接種が考慮されていますが、定期接種ではありません。日本小児科学会・日本産科婦人科学会は、胎児への抗体の移行は確認されているものの、赤ちゃんの重症化を防ぐ効果はまだ証明されていないとしています。受けるかどうかは、妊婦健診を受けている産婦人科で相談して決めてください。
就学前の3種混合は、いつ受ければいいですか?
日本小児科学会は、小学校入学前の1年間(年長のころ)に3種混合を受けることを推奨しています。定期接種ではなく任意接種のため、費用や受けられる医療機関は、かかりつけの小児科や自治体に確認してください。同じ時期にはMR(麻しん風しん)の第2期もあるので、あわせて予定を立てておくと忘れにくくなります。

まとめ

百日咳は、2025年に全数把握の開始以降で最多の流行となり、2026年も報告数は大きく減ったものの毎週の報告が続いています。年長児や大人では長引く咳で済むことが多い病気ですが、ワクチンを受ける前の赤ちゃんでは重くなることがあり、その感染源の多くは家族です。

百日咳から赤ちゃんを守るために押さえておきたいこと

  • かぜ症状から始まり、連続する咳の発作が続く。全経過はおよそ2〜3か月
  • 赤ちゃんは咳が目立たず、呼吸が止まる・顔色が悪いといった形で現れることがある
  • 2025年に感染経路がわかった例では、きょうだいや親からの家庭内感染が大部分
  • 生後2か月になったら5種混合を遅れずに。就学前と11〜12歳の3種混合は任意接種で日本小児科学会が推奨
  • 妊娠中の接種は国内では任意で、赤ちゃんの重症化予防効果はまだ証明されていない。産婦人科で相談
  • 咳の続く家族は受診し、家に赤ちゃんがいることを医師に伝える。家にある抗菌薬を自己判断で使わない
  • 呼吸が止まる・唇が青紫・けいれんはすぐ119番。迷うときは#8000やこどもの救急を
  • 登園・登校は「特有の咳が消える」か「適切な抗菌薬治療5日間の終了」が目安。咳が残る間は咳エチケットを

家族のだれかの咳が長引くと、赤ちゃんにうつさないかと心配が募ります。それでも、予防接種を予定どおり進めること、手洗いと咳エチケットを家族の習慣にすること、気になる咳は早めに受診することで、守れる部分はたくさんあります。いつもと様子が違うと感じたときは、遠慮なくかかりつけの小児科や相談窓口を頼ってください。

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出典・参考

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発達・健康

赤ちゃん・子どものRSウイルス感染症|症状・家庭ケアと受診の目安、近年の流行と妊婦ワクチン

2歳までにほぼ全員が一度は感染するRSウイルス感染症について、症状の経過、生後6か月以内で重症化しやすい理由、家庭でのケア、呼吸が速い・苦しそうなどの受診・救急の目安、近年の夏〜秋への流行前倒し、2026年度に始まった妊婦への定期接種まで、公的情報をもとに整理します。