子どもが噛む・叩く(他害)|1〜2歳になぜ起きる?関わり方のコツ
対象の目安: 1歳〜2歳半ごろ

「お友達を噛んでしまった」「思いどおりにいかないとすぐ手が出る」。1〜2歳ごろの噛みつき・叩くといった他害は、保護者にとって心配でつらいものです。けれど、この時期の多くは発達の途中でよく見られる姿でもあります。なぜ起きるのかを知ると、その場の対応も、繰り返さない工夫も、少し見通しが立ってきます。
なぜ1〜2歳は噛む・叩くの?
1〜2歳ごろは「自分でやりたい」「これがほしい」という自我が大きく育つ一方で、それを言葉で伝える力がまだ追いついていません。気持ちと言葉のあいだに差があるため、思いどおりにいかないもどかしさが、噛む・叩く・押すといった行動になって表れやすいのです。お友達とおもちゃや場所を取り合う場面で起きやすいのも、このためと考えられています。
きっかけはさまざまです。よくあるものを挙げます。
- ほしいもの・やりたいことが通らない(おもちゃの取り合いなど)
- うまく言葉にできない気持ちのもどかしさ
- 眠い・おなかがすいた・疲れているなど、体調やコンディション
- 場所が狭い・人やものが多すぎる・刺激が強いなどの環境
- かまってほしい、相手の反応を見たいといった気持ち
こうした姿の多くは、言葉が育って自分の気持ちを伝えられるようになるにつれ、少しずつ減っていくことが多いとされています。今の他害が、そのまま将来まで続くと決まっているわけではありません。
メモ
噛む・叩くがあるからといって、すぐに発達の問題と結びつくものではありません。一方で、関わり方を工夫しても頻度が高い状態が続く、年齢が上がっても減らない、ほかにも気になる点があるといった場合は、ひとりで抱えず相談先を頼ってよいサインです(後述)。
その場の対応(早見表)
他害が起きたときは、叱り方そのものより「安全に止める」「短く伝える」「気持ちを代弁する」の順番が役立ちます。1〜2歳は長い説明や叱責の記憶が続きにくいため、くどくど叱るより、短くはっきり、が基本です。
| 場面 | まず大人がすること |
|---|---|
| 噛む・叩こうとしている | 体や手をそっと止め、けがを防ぐ。相手と距離をとる |
| 噛んで(叩いて)しまった | 「だめ」「痛いよ」と短い言葉で伝える。長く叱り続けない |
| 子どもが興奮している | 「ほしかったね」「いやだったね」と気持ちを代弁する |
| 落ち着いてきたら | 「貸してって言おうね」など、別の伝え方を一緒に示す |
- 1
まず止めて安全を守る
手や体をそっと押さえ、噛む・叩くのを物理的に止めます。お友達が相手なら、まず距離をとってけがを防ぎます。 - 2
短い言葉で伝える
「噛んだら痛いよ」「叩くのはだめ」など、ひと言で。低めの落ち着いた声で十分です。長い説教は、この月齢では記憶に残りにくいとされます。 - 3
気持ちを代弁する
「これがほしかったんだね」「まだ遊びたかったね」と、本人が言葉にできなかった気持ちを言ってあげます。それだけで落ち着くことがあります。 - 4
別の方法を教える
落ち着いたら「貸してって言おうね」「いやなときは手をぱっておさえようね」など、噛む・叩くの代わりになる伝え方を具体的に示します。
ヒント
強く叱ったり、叩いて「痛さを分からせる」ことは逆効果になりやすいとされます。子どもは恐怖で一時的に止まっても、別の伝え方を学べません。落ち着いた短い対応のほうが、長い目で見て力になります。
繰り返さないための工夫
その場の対応と同じくらい大切なのが、起きる前の「先回り」です。他害は特定の場面で繰り返されやすいので、トリガー(きっかけ)を減らす環境づくりが効きます。
- おもちゃの数を多めにする・同じものを複数用意して、取り合いになりにくくする
- 狭い場所に大人数で密集させない。スペースに余裕をもたせる
- 眠い・空腹・疲れの時間帯を避ける。生活リズムを整える
- 取り合いになりそうな気配を早めに察して、間に入る・場面を切り替える
- 「噛む」「叩く」の代わりの伝え方(「かして」「やめて」の言葉やジェスチャー)を、ふだんから一緒に練習する
- うまく言葉や順番で関われた瞬間を「言えたね」「待てたね」と具体的に褒める
言葉がまだ出ない子には、手を差し出す・指さしするなど、ジェスチャーでの「かして」を教えるのも一つの方法です。伝える手段が増えるほど、噛む・叩くに頼る必要は減っていきます。
発達や関わりで気になることの相談先は、福祉医療機構(WAM NET)「成長、発達で気になることを相談したいとき」を参考にしています
噛まれた・された側へのケア
噛まれた・叩かれた相手(お友達やきょうだい、保護者自身)のケアも忘れずに。皮膚に傷や内出血ができることがあります。
- 噛み傷はまず流水で洗い、清潔にする。出血や腫れ、皮膚が破れている場合は、状態に応じて医療機関に相談する
- 「痛かったね」と気持ちを受け止め、安心させる
- お友達同士の場合は、相手の保護者や保育者にていねいに状況を共有する
注意
ヒトの噛み傷は、見た目が軽くても感染を起こすことがあります。皮膚が破れている・腫れてきた・痛みが強いといったときは自己判断せず、小児科や皮膚科などの医療機関に相談してください。
自分を責めなくて大丈夫
わが子が他害をすると、保護者は「しつけが足りない」「愛情不足かも」と自分を責めてしまいがちです。けれど、この時期の噛む・叩くの多くは、言葉と気持ちの発達のずれから生まれる、よくある姿です。あなたの愛情や努力の問題ではありません。
毎日その対応に向き合うのは、心身ともに消耗します。うまくいかない日があって当然です。つらいときは一人で抱え込まず、保育者や家族、相談窓口に気持ちを話してみてください。保護者が少し楽になることも、立派な「対応」の一つです。
相談の目安
多くは成長とともに落ち着いていきますが、次のようなときは、ひとりで抱えずに専門機関へ相談してよいタイミングです。安心のために早めに相談するのも、まったく問題ありません。
- 工夫しても他害の頻度が高い状態が続く
- 年齢が上がっても(3歳を過ぎても)なかなか減らない
- 言葉の遅れなど、他害以外にも発達で気になる点がある
- けがにつながることが多く、対応に困っている・保護者がつらい
相談先としては、市区町村の子育て相談窓口や保健センター、2024年4月から各地に設置が進む「こども家庭センター」、乳幼児健診の機会、かかりつけの小児科、地域の発達支援センターなどがあります。緊急時や子育てのつらさを話したいときは、児童相談所相談専用ダイヤル「0120-189-783」も利用できます。
「こども家庭センター」は、従来の子育て世代包括支援センターを引き継ぐ相談機関として、こども家庭庁が案内しています
よくある質問
噛む・叩くのは発達の問題のサインですか?
噛んだとき、強く叱ったほうが効きますか?
言葉がまだ出ないのですが、どう教えれば?
保育園でお友達を噛んでしまいました。どうすれば?
きょうだいや親をよく噛みます。やめさせるには?
いつごろ落ち着きますか?
まとめ
1〜2歳の噛む・叩くは、心が育つ途中で言葉がまだ追いつかないことから起きやすい、よくある姿です。「まず安全に止める・短く伝える・気持ちを代弁する」を軸に、起きる前の先回りと別の伝え方の練習を重ねていきましょう。自分を責めすぎず、つらいときは相談先を頼ってください。
噛む・叩くへの関わりチェック
- 起きそうな場面(取り合い・眠い時間)を先回りして減らす
- 起きたらまず安全に止め、短い言葉で伝える
- 「ほしかったね」と気持ちを代弁する
- 「かして」など別の伝え方を一緒に練習する
- うまく言えた・待てた瞬間を具体的に褒める
- 頻度が高い・続く・気になるときは自治体やかかりつけ医へ
噛む・叩くの背景には、言葉やイヤイヤ期の育ちが重なっています。あわせてどうぞ。
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