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「上の子かわいくない症候群」への向き合い方|保護者自身の気持ちのケア

対象の目安: きょうだいが生まれた後の保護者(上の子は0〜6歳ごろ)

カナデ発達・おでかけ担当
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「上の子かわいくない症候群」への向き合い方|保護者自身の気持ちのケア

下の子が生まれてから、なぜか上の子に対して以前のような愛おしさを感じられない。抱っこをせがまれても素直に応じられず、あとになって「私はひどい親だ」と落ち込んでしまう。この記事は、そんな保護者自身の気持ちに焦点を当てたものです。よく似たテーマに「上の子の赤ちゃん返り」がありますが、あちらは子ども側の行動や退行への関わり方を扱っています。今回はその逆で、変わってしまったのは自分の気持ちの方だ、と感じている保護者に向けた内容です。この感情には名前がついているほどよくあるもので、育児放棄でも愛情不足でもありません。仕組みと向き合い方、そして注意しておきたいサインまでを整理します。

この感情の正体(早見表)

まず整理しておきたいのは、「上の子かわいくない症候群」という呼び名についてです。公認心理師監修の解説でも指摘されているとおり、これは医学的な病名ではなく、「下の子と比べて上の子をかわいいと思えない」という状態を指す俗称にすぎません。呼び名が独り歩きすることで、かえって自分を追い詰めてしまう保護者も少なくないといわれます。

よくある感情・状態背景にありがちな要因
上の子に触れられるのがしんどい下の子の世話による慢性的な睡眠不足・疲労
些細なことでイライラしてしまうホルモンバランスの変化、余裕のなさ
以前は自然にできた「かわいい」と思う感覚が薄い下の子との比較、上の子の自己主張が強く見える時期と重なる
上の子に強く当たってしまい、後で自己嫌悪になる上の子への申し訳なさ、理想の親像とのギャップ
上の子と過ごす時間が減ったことへの罪悪感物理的に手が回らない、下の子優先にならざるを得ない状況

「上の子かわいくない症候群」が医学的疾患ではなく俗称であることや、要因の整理は公認心理師監修のSHINGA FARMの解説を参考にしています。

これらの感情は、単独で出ることもあれば、いくつも重なって出ることもあります。どれも「愛情がなくなった」ということではなく、心と体の余裕が失われているサインとして捉えると、次にできることが見えてきます。

なぜこの感情が起きるのか

第二子以降の出産後は、保護者の心と体に大きな負荷がかかります。主な背景は次のようなものです。

  • ホルモンバランスの変化:出産後はホルモンが大きく変動し、気分が不安定になりやすい時期があります。
  • 慢性的な睡眠不足:新生児のお世話に加え、上の子の生活リズムにも合わせる必要があり、休息が細切れになりがちです。
  • 上の子への申し訳なさ:これまでのように向き合えていないという自覚が、逆に「かわいいと思えない自分」への罪悪感や苛立ちにつながることがあります。
  • 比較が生まれる:赤ちゃんの無防備さやかわいらしさと比べて、自己主張が強くなってきた上の子の言動に手こずりを感じやすくなります。
  • 1対1で向き合う時間の減少:物理的に上の子だけと向き合う時間が減り、関係の「充電」がしづらくなります。
「赤ちゃんはあんなにかわいいのに、上の子には冷たくしてしまう自分がいる。上の子が寝た後にひとりで自己嫌悪になる」という声はよく聞かれます。多くの家庭で起こりうることで、あなたの愛情が足りないからではありません。
下の子が生まれたばかりの保護者

これらは一時的に重なって起こることが多く、恒久的に続くものではないとされています。

この感情自体は珍しくないという安心材料

「上の子をかわいいと思えない自分は親失格だ」と感じてしまう保護者は少なくありませんが、この感情そのものは多くの保護者が経験する自然な反応です。実際に「相談室にもこの言葉を使って相談に来る人がいる」ほど、社会的に広く知られる現象になっています。

大切なのは、この感情を「なかったこと」にしようと無理に抑え込まないことです。感じてしまうこと自体を責めるのではなく、「今は余裕がない時期なんだ」と一旦受け止めることが、回復への第一歩になります。

ヒント

無理に「上の子をもっとかわいいと思い込もう」とする必要はありません。感情を変えようとするより、先に生活の負荷や睡眠を整えるほうが、結果的に気持ちが緩むことが多いといわれています。

上の子とのつながりを取り戻す小さな工夫

一気に元の関係に戻そうとせず、無理のない範囲で少しずつつながりを取り戻していく工夫を紹介します。

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    1日数分でも「あなただけの時間」を作る

    下の子を誰かに預けられなくても、下の子が寝ている数分間だけ上の子と絵本を読む、ハグをするなど、短時間でも「上の子だけに向き合う時間」を意識して作ります。長さより頻度が支えになります。
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    「かわいい」を無理に感じようとしない

    感情は後からついてくることも多いものです。まずは行動として、挨拶やスキンシップなど「かわいいと思っているときにする行動」を先に取ってみる方法もあります。
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    上の子の「できること」に目を向ける

    赤ちゃんとの比較で見えにくくなりがちですが、上の子ができるようになったこと、成長した部分に意識的に目を向けると、見方が少しずつ変わることがあります。
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    負担を減らして余裕を作る

    家事の手を抜く、宅配や時短家電を頼る、パートナーや周囲に下の子のお世話を任せる時間を作るなど、まず自分の余裕を確保することが、上の子への向き合い方にも影響します。

保護者自身のセルフケア

上の子への向き合い方を考える前に、まず保護者自身が消耗しきっていないかを確認することが大切です。

  • 完璧を目指さない:毎日理想どおりに接することはできなくて当然です。「今日はこれで十分」と区切りをつけましょう。
  • 頼れる人・サービスを使う:パートナー、祖父母、一時預かり、ファミリー・サポート・センター、家事代行など、使える手段は積極的に頼りましょう。「まだ大丈夫」のうちに頼ることが、結果的に早めのケアになります。
  • 自分の睡眠・休息を優先する時間を作る:可能な範囲で、上の子の預け先や家族の協力を得て、まとまった睡眠を取れる時間を確保します。
  • 気持ちを話せる相手を持つ:パートナー、友人、地域の相談窓口など、感情を言葉にできる相手がいるだけで気持ちが軽くなることがあります。
「限界になるまで我慢してから相談すると、相談する気力すら残っていないことがある」という声もあります。つらさを感じ始めた早い段階で、誰かに話してみることが助けになります。
第二子を迎えた保護者

危険サインとの違い・相談先

この感情の多くは一時的なもので、生活が落ち着き、睡眠や余裕が戻るにつれて和らいでいくとされています。ただし、次のような状態が続く場合は、産後うつなど医療的なケアが必要なサインである可能性があります。抱え込まず、早めに専門家へ相談してください。

注意

気分の落ち込みや興味・喜びの喪失が2週間以上続く、自分を強く責め続けてしまう、家事や育児がほとんど手につかない、自分や子どもを傷つけたい気持ちがある——こうした状態は、マタニティブルーズ(通常は出産後1〜2週間で自然に和らぐ一過性の情緒不安定)とは異なり、産後うつ病などの可能性があります。日本産婦人科医会によると、産後うつ病はおよそ10%の頻度で見られ、産後3か月以内に発症することが多いとされています。心当たりがあれば、早めに産婦人科・精神科や自治体の窓口に相談してください。

産後うつ病とマタニティブルーズの違い、受診の目安については日本産婦人科医会の情報を参照しています。

また、上の子への苛立ちが強く、たたく・怒鳴るなど手が出てしまいそうになる、実際に出てしまうという場合も、一人で抱え込まずに相談することが大切です。虐待かどうかを自己判断する必要はありません。「このままではまずいかもしれない」と感じた時点で、次のような窓口に相談できます。

  • お住まいの市区町村のこども家庭センター(旧・子育て世代包括支援センター):保健師などの専門職に、妊娠・出産・子育てについて相談できます。
  • 地域の子育て支援センター・保健センター:日々の育児の悩みを気軽に相談できる身近な窓口です。
  • かかりつけの産婦人科・精神科・小児科:心身の不調がある場合はまず医療機関へ。
  • こども家庭庁「相談窓口」ページ:症状や状況に応じた全国の相談窓口を探せます。

こども家庭センター(旧・子育て世代包括支援センター)の役割については、こども家庭庁の情報を参照しています。

よくある質問

「上の子かわいくない症候群」は病気ですか?
いいえ、医学的な診断名ではありません。「下の子と比べて上の子をかわいいと思えない」という状態を表す俗称として使われている言葉です。この感情自体を病気だと捉えて過度に不安になる必要はありません。
赤ちゃん返りの記事とは何が違うのですか?
赤ちゃん返りは、下の子誕生後に上の子側に見られる甘えや退行など『子どもの行動』への関わり方を扱うテーマです。この記事は反対に、『保護者自身が上の子をかわいいと思えなくなる』という保護者側の感情・葛藤に焦点を当てています。両方が同時に起きることもよくあります。
この気持ちを子どもに気づかれていないか心配です
多くの保護者が同じように悩みますが、日々の関わりの中で気づかれないよう気を配りすぎる必要はありません。それよりも、短時間でも上の子と向き合う時間を意識的に作ることや、保護者自身の負担を減らすことのほうが、結果的に関係の立て直しにつながりやすいといわれています。
パートナーにはどう伝えたらいいですか?
『疲れているから助けて』ではなく、『上の子への接し方に余裕がなくて、こういう協力がほしい』と具体的に伝えると、行動につながりやすくなります。上の子との1対1の時間をパートナーに作ってもらう、下の子のお世話を交代してもらうなど、役割を分担してみてください。
どのくらい続いたら相談したほうがいいですか?
『いつまで』という明確な基準はありませんが、気分の落ち込みが2週間以上続く、育児や家事がほとんど手につかない、自分を傷つけたい気持ちがあるなどの場合は、産後うつの可能性も考え、早めに産婦人科や精神科、自治体の窓口に相談することをおすすめします。
上の子だけでなく下の子もかわいく思えません
『下の子かわいくない症候群』と呼ばれることもあり、上の子との比較や気質の違いなど、似た要因で起こるとされています。どちらの子に対してであっても、感情自体を責めず、まず自分の負担を減らすことと、必要であれば専門家に相談することが基本です。

まとめ

上の子をかわいいと思えなくなる感情は、睡眠不足や疲労、比較、申し訳なさなどが重なって起こる自然な反応であり、多くの保護者が一度は経験するものです。焦って感情を変えようとするより、まず自分の余裕を取り戻すことを優先してください。

上の子への向き合い方 セルフチェック

  • 感情そのものを責めず「今は余裕がない時期」と受け止められている
  • 短時間でも上の子だけと向き合う時間を意識して作っている
  • 家事や下の子のお世話を、周囲やサービスに頼ることができている
  • 気持ちを話せる相手(パートナー・友人・相談窓口)を持っている
  • 気分の落ち込みが2週間以上続く・家事育児が手につかないなどのサインがないか確認している
  • 危険サインを感じたら、こども家庭センターや医療機関に相談する準備ができている

一人で抱え込まず、頼れるものには頼りながら、自分のペースできょうだいとの新しい毎日に慣れていってください。

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出典・参考

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