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祖父母と育児の常識がぶつかるとき|変わった育児の常識一覧と、角を立てない伝え方

対象の目安: 0〜6歳ごろ

ミナト編集長 / 生活リズム・時短担当
・ 約13分で読めます
祖父母と育児の常識がぶつかるとき|変わった育児の常識一覧と、角を立てない伝え方

「うつぶせのほうがよく眠るよ」「はちみつを少し舐めさせたら泣きやんだ」「抱き癖がつくから泣かせておきなさい」。祖父母にそう言われて、否定するのも気まずくて、そのまま飲み込んでしまった——そんな声はとても多く聞かれます。むずかしいのは、祖父母に悪気がないことです。多くの場合、その世代が子育てをしていた時期に、良かれと思って言われていたことをそのまま伝えてくれています。この記事では、現在の公的資料で示されている推奨を一覧で整理したうえで、「どこは譲れないのか」「どう伝えれば角が立ちにくいのか」を考えます。

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昔と今で変わった育児の常識 早見表

左の列は「そう語られることがある」という意味で、当時の公的な指導内容を再現したものではありません。右の列が、現在の公的資料に書かれている説明です。

テーマ語られやすい「昔のやり方」現在の公的資料の説明
寝かせる向きうつぶせのほうがよく眠る・頭の形がよくなる医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合以外は、1歳になるまではあおむけに寝かせる(こども家庭庁)
寝床の環境ふかふかの布団に寝かせ、掛け布団をかける身体が沈まない硬めで平坦な布団やマットレスを使う。1歳になるまでは掛け布団を使わず、スリーパーなどで調整する。寝床にぬいぐるみやタオルを置かない(こども家庭庁)
添い寝添い寝が当たり前赤ちゃん専用の寝床が安心につながる。特に、添い寝する人が眠気を引き起こす薬を服用している場合・飲酒した場合・赤ちゃんが早産や低出生体重で生まれた場合は危険(こども家庭庁)
たばこ別の部屋で吸えば問題ない乳幼児の周囲で誰かがたばこを吸うことはSIDSの発生率を高くする。こどもに関わるすべての大人は喫煙をやめる(こども家庭庁)
はちみつ少しなら大丈夫・加熱すれば平気生後1歳未満の乳児には与えてはいけない。芽胞は100℃で数分間加熱しても生き残ることがある(消費者庁)
離乳前の果汁準備として果汁や白湯を薄めて飲ませる離乳の開始前の最適な栄養源は母乳または育児用ミルクで、果汁やイオン飲料を与えることの栄養学的な意義は認められていない(授乳・離乳の支援ガイド)
離乳の開始もっと早くから始めていたなめらかにすりつぶした食物を初めて与えるのは生後5〜6か月頃が適当。おかゆ(米)から始める(同ガイド)
アレルギーが心配な食品卵などは遅らせたほうが安全発症を心配して離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、予防効果があるという科学的根拠はない(同ガイド)
豆・ナッツ類節分の豆は小さい子も食べるもの硬くてかみ砕く必要のある豆やナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせない。ミニトマトやぶどう等の球状の食品は4等分するなどする(消費者庁)
日光浴赤ちゃんは日光浴をさせるとよい母子健康手帳(府令様式)には「外気浴をしていますか。(天気のよい日に散歩するなどしてあげましょう。)」と記載(こども家庭庁)。散歩のときは強い日差しが直接当たらない工夫をする。一方で、ビタミンDの観点から短時間の日光浴は必要ともされている(環境省)
車での移動近所なら抱っこで乗せれば十分6歳未満の幼児を乗せるときはチャイルドシートの使用が義務(道路交通法第71条の3第3項・警察庁)
しつけ言うことを聞かないときは叩いてでも親権者等は児童のしつけに際して体罰を加えてはならないことが法律で定められている(こども家庭庁)

睡眠の姿勢・寝床の環境・添い寝・たばこはこども家庭庁「赤ちゃんが安全に眠れるように~1歳未満の赤ちゃんを育てるみなさまへ~」、はちみつは消費者庁「ハチミツによる乳児のボツリヌス症」、離乳前の果汁・離乳の開始・アレルギーと開始時期は「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年3月・「授乳・離乳の支援ガイド」改定に関する研究会、こども家庭庁公開)、豆やナッツ類と球状の食品は消費者庁「食品による子どもの窒息・誤嚥(ごえん)事故に注意!」(2021年1月20日公表)、外気浴の記載はこども家庭庁「母子健康手帳」の府令様式(令和8年4月1日施行・最終更新令和8年4月10日)、強い日差しへの配慮とビタミンDについては環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」、チャイルドシートは警察庁「子供を守るチャイルドシート」、体罰は児童福祉法等改正法(令和元年成立・令和2年4月施行)についてのこども家庭庁「体罰等によらない子育てのために~みんなで育児を支える社会に~」の記載に基づきます。左の列は編集部が「よく語られる言い方」として整理したもので、出典に基づく記述ではありません。

なぜ変わったのか

大きくは3つの理由があります。1つ目は、研究の積み重ねです。たとえばこども家庭庁は、乳幼児突然死症候群(SIDS)についてうつぶせ寝・あおむけ寝のどちらの体勢でも起きているとしたうえで、あおむけに寝かせたほうが発症率が低いことが研究でわかっていると説明しています。2つ目は、実際に起きた事故の分析です。消費者庁は、2014年から2019年までの6年間に食品を誤嚥して窒息したことにより14歳以下の子どもが80名死亡し、そのうち5歳以下が73名で9割を占めていたことを示しています。3つ目は、法律や制度の変化です。体罰の禁止やチャイルドシートの使用義務は、この20〜30年のあいだに法制化されたものです。

メモ

つまり、変わったのは「祖父母世代の愛情が足りなかったから」ではなく、後からわかったことが増えたからです。この順番で理解しておくと、伝えるときの言葉もやわらかくなります。

譲れない安全ラインを先に決める

すべてを正そうとすると、関係のほうが先に消耗します。まず、命に関わるところだけを「ここは譲れない」と決めておきましょう。

注意

編集部で整理した、優先度の高い6項目です。

  • 睡眠中の環境:あおむけに寝かせる、硬めで平坦な寝具、寝床には何も置かない
  • はちみつ:1歳を過ぎるまでは与えない。加熱調理したものやはちみつ入りの菓子・飲料も含めて
  • 窒息しやすい食品:硬い豆やナッツ類は5歳以下に食べさせない、ぶどうやミニトマトは小さく切る
  • 車:短い距離でもチャイルドシートに座らせる
  • たばこ:子どものいる空間で吸わない
  • 体罰:叩く・強く揺さぶるなどはしない

逆に、譲ってよいことも先に決めておくと楽になります。服が一枚多い、おやつの時間が少し早い、遊び方が自己流——このあたりは、多少ずれても大きな害にはなりにくい部分です。「全部は言わない」と決めることが、肝心なところを聞いてもらう余地をつくります。

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角を立てずに伝える5つのステップ

  1. 1

    親同士で方針をそろえてから話す

    夫婦・パートナー間で「譲れない6項目」を先に共有します。実の親には実の子から伝えるほうが、感情的になりにくい場面が多くあります。
  2. 2

    人ではなく情報を主語にする

    「それは間違い」ではなく「今はこう言われているみたい」と、主語を情報側に置きます。否定された、と受け取られにくくなります。
  3. 3

    資料そのものを見せる

    こども家庭庁や消費者庁のページを開いて一緒に見る、母子健康手帳の該当ページを見せる、健診で言われたことをそのまま伝える。第三者の言葉は、家族間の力関係から離れて届きやすくなります。
  4. 4

    感謝を先に置く

    「見てもらえて本当に助かってる」を先に言ってから、お願いを一つだけ足します。指摘の数は、一度に一つまでにとどめるのが現実的です。
  5. 5

    頼み方を具体的にする

    「気をつけて」ではなく「寝かせるときは背中を下にしてね」「おやつはこの袋のものからお願い」と、その場で何をすればよいかがわかる形にします。禁止だけを伝えると、代わりの行動が見えず戸惑わせてしまいます。

「今の常識」も、絶対ではない

一方で、新しい情報がすべて「昔の否定」になるわけではありません。むし歯が気になって、スプーンやコップの共有を強く避けている家庭は多いと思います。この点について日本小児歯科学会は、養育者から子どもへむし歯の原因菌が伝播することは明らかになっており、食器やスプーンなどの共有がその一つになっている可能性は否定できないとしたうえで、伝播を最小限にとどめるには、食具を共有しないことに限らず、養育者がきちんと歯科健診を受けてむし歯や歯周病のない口腔内を保ちながら子育てをおこなうことが大切だとの見解を示しています。

公益社団法人日本小児歯科学会「乳幼児期における親との食器共有について」(2023年12月8日公開)より。同見解が述べているのは上記の範囲で、家庭でどこまで共有するかの判断基準を示したものではありません。

ヒント

「祖父母が古くて自分が正しい」という構図で臨むと、こうした場面で行き詰まります。お互いに、そのときわかっていることをもとに動いている——その前提で話すほうが、結果的に伝わります。

預けるときの共有メモをつくる

口頭で伝えたことは、その場で流れてしまいます。半日以上預けるなら、A4一枚のメモを渡して冷蔵庫に貼ってもらうのが確実です。

  • 食べさせないもの:はちみつ(1歳未満)、硬い豆・ナッツ類(5歳以下)、切っていないぶどう・ミニトマト、アレルギーで除去中の食品
  • 寝かせ方:あおむけ、掛け布団は使わずスリーパー、寝床にぬいぐるみを置かない
  • 連絡先:保護者の携帯番号、かかりつけ小児科の名称と電話番号、母子健康手帳と健康保険証の置き場所
  • 服薬中の薬があれば、名称・量・時間
  • 外出するなら、チャイルドシートの有無と行き先
「実家に預けたら、悪気なくはちみつ入りのお菓子をあげていて青ざめました。でも『ダメって言ったよね』と責めても仕方がなくて、次からは食べさせていいものを袋にまとめて渡すようにしました」という声はよく聞かれます。
1歳児の保護者

万一、はちみつを与えてしまった・豆をのどに詰まらせたかもしれないというときは、様子を見て自己判断せず、かかりつけ医や救急の相談窓口に連絡してください。日ごろの育児方針の悩みそのものも、健診の場や、市区町村への設置が進められているこども家庭センターで相談できます。

こども家庭センターが妊産婦・子育て家庭・こどもからの相談に応じる窓口であること、改正児童福祉法により設置が市区町村の努力義務とされていることは、こども家庭庁「こども家庭センターポータルサイト」の記載に基づきます。窓口の名称や運用は自治体によって異なる場合があります。

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よくある質問

何度言っても直してもらえません。どうすればいいですか?
伝える内容よりも、伝える人と場面を変えるほうが効くことがあります。実の親には実の子から、その場ではなく落ち着いた時間に、健診や小児科で言われたこととして伝える。それでも変わらないときは、譲れない項目に限って「目を離す時間をつくらない」など、預け方の側で調整するほうが現実的です。
はちみつを少しなめさせたようです。すぐ受診すべきでしょうか?
自己判断で様子見と決めず、かかりつけ医や地域の救急相談窓口に連絡して指示を受けてください。消費者庁は、乳児ボツリヌス症の症状として便秘が数日続く、全身の筋力低下、脱力状態、哺乳力の低下、泣き声が小さくなるなどを挙げています。心配な様子があるときは早めに相談してください。
「抱き癖がつくから泣かせておきなさい」と言われます
抱っこそのものを制限すべきという公的な指針は見当たりません。厚生労働省「保育所保育指針解説」(平成30年2月・こども家庭庁公開)には、1歳以上3歳未満児について、困ったことや怖いことがあったときに慰めたり助けたりしてくれる安全基地のような存在として信頼を寄せる保育士等が近くにいることで、子どもの情緒は安定し、好奇心をもって周囲の人やものに関わってみようとする、という説明があります。これは保育の場について述べたものですが、安心を先に満たすという考え方自体は家庭でも通じる、というのが編集部の受け止めです。この考え方を、やわらかく共有してみてください。
義父母には言いにくいです
配偶者から伝えるのが基本です。それが難しければ、「小児科でこう言われて」「健診でこの紙をもらって」と、外の情報として渡す形にすると、個人への指摘になりにくくなります。
祖父母のほうが正しいこともありますか?
あります。抱き方や寝かしつけの手つき、機嫌の直し方など、経験が生きる場面は多くあります。安全に関わらない部分は積極的に頼るほうが、関係も回りやすくなります。
祖父母世代向けにまとまった資料はありますか?
自治体が「孫育て」向けのパンフレットを配布している例があります。お住まいの市区町村の母子保健の窓口やこども家庭センターに問い合わせてみてください。こども家庭庁や消費者庁のページを印刷して渡すのも実用的です。

まとめ

育児の推奨は、研究や事故の分析、法律の改正を受けて更新されていきます。祖父母世代の記憶と違うのは自然なことで、どちらかが間違っていたという話ではありません。大事なのは、命に関わる数項目だけを譲らずに守り、それ以外はゆるめること。そして、否定ではなく情報として、感謝を添えて渡すことです。

世代間のずれをやわらげる チェックリスト

  • 譲れない安全ライン(睡眠環境・はちみつ・窒息しやすい食品・チャイルドシート・たばこ・体罰)を家庭内で共有できている
  • 服の枚数やおやつの時間など、譲ってよいことを先に決めている
  • 伝えるときは「今はこう言われているみたい」と情報を主語にしている
  • こども家庭庁や消費者庁のページ・母子健康手帳など、見せられる資料を用意している
  • 半日以上預けるときは、食べさせないもの・寝かせ方・連絡先を書いたメモを渡している
  • 気になることを相談できる先(かかりつけ医・健診・こども家庭センター)を把握している

一度の会話で全部そろえようとしなくて大丈夫です。まずは「あおむけで寝かせてね」の一つから。守ってもらえたときに「ありがとう、助かった」と返すことが、次のお願いを届きやすくします。

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出典・参考

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