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「4歳の壁」「中間反抗期」とは|4〜5歳に反抗が増える理由と関わり方

対象の目安: 3〜6歳ごろ

ミナト編集長 / 生活リズム・時短担当
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「4歳の壁」「中間反抗期」とは|4〜5歳に反抗が増える理由と関わり方

イヤイヤ期をくぐり抜けて、3歳の激しい癇癪もようやく落ち着いてきた——と思っていたら、4歳を過ぎたころからまた雲行きが怪しくなる。「なんで?」「〜だってママが言ったじゃん」と理屈で言い返してくる。急に「どうせ僕なんてできないもん」と拗ねる。こうした変化は、ネット上で「4歳の壁」「中間反抗期」と呼ばれています。この記事では、その言葉の位置づけを正直に整理したうえで、4〜5歳ごろに何が育っているのか、どう関わると親子ともに楽になりやすいのかを、公的な資料をもとにまとめます。育ちには大きな個人差があります。気になることがあれば、園の先生やかかりつけ医など身近な相談先を頼ってください。

「4歳の壁」「中間反抗期」という言葉をどう受け取るか

まず前提を正直に書きます。「4歳の壁」「中間反抗期」は、子育て中の保護者やメディアの間で広く使われている俗称であり、医学的な診断名でも、公的に定義された発達段階の名称でもありません。

実際、保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号)とその解説、幼稚園教育要領(平成29年3月告示)、こども家庭庁が周知している5歳児健康診査マニュアル〈改訂版〉のいずれにも、「4歳の壁」「中間反抗期」「反抗期」という語は使われていません。つまり、この時期の変化を説明する公的なラベルは存在せず、あくまで「そう感じる保護者が多い時期」を表す通称だと理解しておくのが正確です。

メモ

名前がついていないからといって、保護者が感じている大変さが気のせいというわけではありません。公的資料には「4歳の壁」という言葉は無くても、この年齢で自我と葛藤が大きくなることは、発達の特徴としてはっきり記述されています。次の章で見ていきます。

用語の有無は、保育所保育指針解説(平成30年2月・厚生労働省)の「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」、幼稚園教育要領(平成29年3月告示)の本文を確認しています。

4〜5歳ごろに育っているもの(早見表)

保育所保育指針解説は、3歳以上児について「自我が育ち、仲間とのつながりが深まる中で、自己主張をぶつけ合い、葛藤を経験することも増える」と述べています。つまり、反抗が増えて見える背景には、育ちの中身が一段階変わったことがあります。

育っている力4〜5歳ごろの具体的な姿裏返しとして起きやすいこと
自我の広がり自分で決めたい、最後までやり切りたい手伝われるのを嫌がる、途中でやめさせられると崩れる
自己抑制(我慢・切り替え)順番を待つ、譲るができる日もある疲れているとまったく待てない、日によってムラが大きい
他者の視点(心の理論)相手の気持ちを想像する、気をつかう人と比べる、失敗を隠す、言い訳やうそが出る
ことばの力理由を言える、交渉できる理屈での口答え、揚げ足取りのような言い返し
想像力ごっこ遊びが物語として続く空想と現実が混じった話、暗がりやお化けを怖がる
仲間関係共通の目的を持って一緒に遊ぶ勝ち負けへのこだわり、仲間外れの訴え

自我と「自己抑制」は同時に育つ途中

保育所保育指針解説は、この時期の育ちを「自己発揮と自己抑制の調和のとれた自律性」という言葉で説明しています。自分を出す力(自己発揮)と、抑える力(自己抑制)は、どちらか一方だけが育つのではなく、両方が同時進行で育っていきます。

ただし、そのバランスが取れるまでには時間がかかります。思考や行動を制御する働きは実行機能と呼ばれ、その神経基盤は前頭前野にあると考えられており、児童期から思春期にかけて伸びていくとされています。4〜5歳は、まさにその途上です。「昨日はできたのに今日はできない」は、この時期には自然なことです。

実行機能の定義と発達の見取り図は脳科学辞典「実行機能」を参照しています。

他者の視点が見えてくるから、比べて、隠す

4歳後半から5歳ごろは、他者が自分とは違う考えを持っていることを推し量る力(心の理論)が育つ時期にあたるとされています。誤信念課題と呼ばれる課題では、3歳ごろの子は自分の知っている事実に基づいて答えてしまう一方、4歳後半から5歳の子は課題を通過できるようになる、という整理がされています。

この力が育つと、優しさや思いやりが増える一方で、「◯◯くんのほうが上手」と自分を人と比べたり、怒られないように言い訳をしたりする姿も出てきます。どちらも同じ発達の産物です。

心の理論と誤信念課題の通過年齢は脳科学辞典「心の理論」を参照しています。

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ことばが達者になり、「理屈」で返してくる

保育所保育指針解説は、この時期に「話し言葉の基礎ができ、日常生活での言葉のやり取りが不自由なくできるようになる」としています。理解する語彙が急に増え、知的な興味も高まります。

その結果として出てくるのが、「だってさっきママが後でいいって言った」「◯◯ちゃんはやってないのになんで僕だけ」といった、大人がひやりとするような口答えです。反抗というより、手に入れたばかりの言葉の力を試している側面があります。とはいえ言い負かす必要はありません。理由は短く、一度だけ伝えれば十分です。

想像と現実が混ざる、友達と比べる

ごっこ遊びが物語として長く続くようになる一方で、想像したことを本当のことのように話す場面も出ます。うそをついているというより、空想と記憶の区別がまだ発展途上です。

また、仲間の中の一人という自覚が生まれ、共通の目的に向かって遊ぶようになる時期でもあります。楽しさが増える半面、勝ち負けやうまい下手が気になり始め、負けた瞬間に崩れる、参加を拒むといった姿につながることもあります。

「どうせ僕なんて」が出てくるのはなぜか

4〜5歳になると、自己否定にも聞こえる言葉が出てくることがあります。背景として考えられるのは、次のような組み合わせです。

  • 自分のイメージする「できるはず」の姿と、実際にできることのギャップが見えるようになった
  • 他者の視点が育ち、周りからどう見られているかを気にし始めた
  • 失敗した気持ちを表す語彙がまだ乏しく、いちばん強い言葉で表現している
  • 大人の反応を確かめ、大丈夫だと言ってほしい
「できないもん、もうやらない」と投げ出すので、「そんなことないよ、できるよ」と励ますほど余計にへそを曲げてしまう、という相談はとてもよく聞かれます。
4歳児の保護者

こういうときは、否定でも過剰な励ましでもなく、まず気持ちをそのまま受け取るほうが伝わりやすいことがあります。「うまくいかなくて悔しかったんだね」と一度受け止め、そのうえで「さっき靴下は自分で履けてたよ」と、できている具体的な事実をひとつ添える。こども家庭庁が周知している「体罰等によらない子育てのために」も、結果だけでなく頑張りを認めること、いまできていることに注目してほめることの大切さに触れています。

関わり方の6ステップ

  1. 1

    予告して見通しを持たせる

    「あと5分で片づけ」「時計の針が6にきたらお風呂」と、切り替えの前に予告します。急な指示は、切り替えの力がまだ育ちきっていないこの時期にはいちばん崩れやすい形です。
  2. 2

    選択肢を2つ出す

    「今すぐ?」ではなく「先にお風呂と先に歯みがき、どっちにする?」。自分で決めたい気持ちを満たしつつ、やることは変えません。3つ以上並べると迷って崩れることがあるので、2択が扱いやすいです。
  3. 3

    感情に名前をつける

    「途中でやめたくなかったんだね」「負けて悔しかったね」と、気持ちを言葉にして返します。この時期は感情を表す語彙が育ちきっていないため、大人が代わりに言語化する意味があります。
  4. 4

    理由は短く、一度だけ

    「道路は車が来るから手をつなぐよ」で十分です。長い説教は、途中から内容ではなく叱られている事実だけが残りやすくなります。
  5. 5

    してほしい行動を肯定文で伝える

    「走らないで」より「ここは歩こうね」。近づいて、落ち着いた声で、何をすればよいかを具体的に伝えると届きやすくなります。
  6. 6

    できたことを具体的にほめる

    「えらいね」で終えず、「自分で靴をそろえて脱げたね」と行動を名指しします。すぐにほめるのが効果的ですが、寝る前の落ち着いた時間に振り返る形でも構いません。

ヒント

興奮がピークのときは、どの声かけも届きません。安全を確保したうえで、大人がいったん距離を取る(同じ部屋の少し離れた場所にいる、深呼吸する、5秒数える)ほうが早く収まることがあります。話し合いは落ち着いてからで間に合います。

肯定文で伝える、注意の方向を変える、できていることを具体的にほめる、大人自身が深呼吸する等の工夫は、厚生労働省「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」がまとめた「体罰等によらない子育てのために」(令和2年2月)の具体的な工夫のポイントを参考にしています。

避けたい対応と、その理由

避けたい対応なぜ避けたいか言い換えの例
人格の否定(「本当にダメな子」「意地悪な子」)行動ではなく存在への評価になり、子どもの心を傷つける行為にあたる「おもちゃを投げるのは危ないよ」と行動だけを指す
きょうだい・友達との比較やる気を出させるつもりでも、けなす言葉として届く「昨日より早く着替えられたね」と本人の変化と比べる
脅し(「置いていくよ」「鬼が来るよ」)恐怖で従わせる形になり、理由の理解につながらない「◯時に出るよ。次はカバンを持ってきてね」
長い説教内容が残らず、叱られた感情だけが残りやすい一文で伝えて切り上げる
叩く・怒鳴る体罰は法律で禁止されており、成長・発達への悪影響が指摘されている距離を取って落ち着いてから話す

注意

体罰は、しつけとして許されるものではありません。2019年に成立した児童福祉法等の改正法(2020年4月施行)により、しつけに際して体罰を加えることは法律で禁止されました。「体罰等によらない子育てのために」は、体罰を受けていた子どもで「我慢ができない」「感情をうまく表せない」といった行動上の問題のリスクが高まると指摘する調査研究があること、軽い体罰であっても有害さが指摘されていることを紹介しています。叩いてしまいそうなときは、その場を離れることを優先してください。

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保護者のセルフケアと相談先

4〜5歳の反抗は、2歳のイヤイヤ期と違って言葉が通じるぶん、こちらの心が削られやすいという特徴があります。「もう分かる年齢のはずなのに」という思いが、怒りに火をつけることもあります。

  • ひとりで抱えない。パートナー・祖父母・園の先生と、いまの様子を共有しておく
  • 落ち着いているうちに相談先とつながっておく。困り切ってからだと、相談する気力が湧かないことがあります
  • 深呼吸する、5秒数える、窓を開けるなど、自分なりのクールダウンの型を決めておく
  • 怒鳴ってしまった後は「さっきは言いすぎたね」と修復する。謝れる大人の姿も学びになります

相談先としては、市区町村のこども家庭センター(母子保健と児童福祉の相談機能を一体的に担う窓口)、保健センターの保健師、地域子育て支援拠点(子育てひろば・子育て支援センター)、かかりつけの小児科などがあります。こども家庭庁は相談窓口の案内ページも公開しています。

「園ではしっかりしているらしいのに、家では別人のように荒れる」という声も多く聞かれます。外で気を張っている反動が家で出ること自体は、めずらしいことではありません。
5歳児の保護者

「相談してみようかな」と思ったときの目安

以下はあくまで相談を考えるきっかけであって、何かの診断や見立てを示すものではありません。当てはまっても、多くは環境の調整や関わりの工夫で落ち着いていきます。

  • 家庭や園で、対応に困るほど強いかんしゃくや、人を叩く・物を壊すといった行動が続く
  • 園で集団の活動に参加できない、友達との関係が続かないと先生から共有された
  • 睡眠や食事に影響が出ている(寝つけない、夜中に何度も起きる、食が細くなった)
  • 家族が疲れ切っていて、感情的な対応が増えてしまっている
  • 保護者自身が「もう限界かもしれない」と感じている

5歳児健診では、かんしゃくや粗暴な行動、落ち着きのなさや不注意、集団行動への参加といった情緒・行動の面も、問診票と診察で確認されます。案内が届いているなら、そこで相談するのがいちばん自然な入口です。実施の有無や時期は自治体によって異なるため、届いた通知やお住まいの自治体の情報を確認してください。

健診で確認される情緒・行動の項目は、こども家庭庁が周知している「5歳児健康診査マニュアル〈改訂版〉」の記載を参照しています。

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よくある質問

「4歳の壁」はいつまで続きますか。
公的に定義された時期ではないため、開始も終わりも決まっていません。一般には、言葉で気持ちを説明できるようになり、切り替えの力が育つにつれて落ち着いてきたと感じる保護者が多いようです。ただし個人差が非常に大きく、年齢で区切って考えないほうが現実的です。
うちの子には反抗が目立ちません。発達に問題があるのでしょうか。
反抗の表れ方には大きな個人差があり、目立たない子も多くいます。「反抗期がないと自立できない」といった説には公的な裏づけはありません。ふだんの遊びや園での様子に困りごとがなければ、心配しすぎる必要はありません。気になるときは園の先生に日常の姿を聞いてみてください。
2歳のイヤイヤ期と、対応の仕方は違いますか。
安全を確保して気持ちを受け止める、という土台は共通です。違うのは、4〜5歳は言葉で理由を理解できる範囲が広がっている点です。ごく短く理由を添える、決め方に本人を参加させる(2択や、時計を使った時間の約束)といった工夫が使えるようになります。
園と家で態度がまったく違います。どちらが本当の姿ですか。
どちらも本当の姿です。外で自分を保っている子ほど、安心できる家で気持ちがあふれることがあります。園での様子は先生に、家での様子は保護者から共有し、両方の情報を合わせて見ていくと対応を考えやすくなります。
きょうだいげんかが増えて、上の子ばかり叱ってしまいます。
きょうだいを引き合いにしてけなすことは、子どもの心を傷つける行為にあたるとされています。どちらが悪いかの裁定より、まず双方の気持ちを一度ずつ言葉にして返すほうが収まりやすい場面が多いです。難しいときは、物理的に距離を取ってから話す方法もあります。
祖父母から「甘やかしすぎ」と言われます。
気持ちを受け止めることと、要求をすべて通すことは別のものです。「受け止めるが、決めたことは変えない」という線引きを言葉にして共有すると、世代間の食い違いが減ることがあります。園の先生や保健師に間に入ってもらうのも一つの方法です。
相談に行くと診断がつくのではと不安です。
相談は診断とイコールではありません。多くの窓口は、困っていることを聞き取り、家庭や園での関わり方を一緒に考える場です。健診での指摘も、診断の確定を意味するものではありません。判断が必要なことは医療機関や自治体の窓口にご相談ください。

まとめ

4〜5歳の反抗は、扱いにくさの正体が「反抗」ではなく、自我・自己抑制・他者理解・ことば・仲間関係が一気に動いていることにあります。名前のついた「壁」があるわけではなく、育ちの中身が変わったサインだと捉えると、打ち手も見えやすくなります。

今日から試せることチェックリスト

  • 切り替えの前に予告する習慣をつくった
  • 指示を2択に置き換えてみた
  • 崩れたとき、まず気持ちを言葉にして返した
  • 理由は一文で伝えて切り上げた
  • できている行動を名指しでほめた
  • 自分のクールダウンの型(深呼吸・5秒数える等)を決めた
  • 園の先生・こども家庭センターなど、落ち着いているうちの相談先を確認した

うまくいかない日があって当たり前です。毎回100点の対応をしなくても、受け止めてもらえた体験が積み重なることのほうが、この時期には効いてきます。迷ったときや疲れ切ってしまったときは、ひとりで抱えず、園の先生やかかりつけ医、自治体の窓口に相談してみてください。

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出典・参考

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