子どものほめ方・叱り方|年齢別の伝え方と前向きな関わりのコツ
対象の目安: 1〜6歳ごろ

「ほめて伸ばすと言うけれど、何をどうほめればいいのか分からない」「つい大きな声で叱ってしまって、あとから自己嫌悪になる」——子どもへの声かけは、子育ての中でもとくに悩みやすいテーマです。この記事では、こども家庭庁の資料をもとに、子どものほめ方・叱り方の基本と、年齢に合わせた伝え方、感情的になりそうなときの工夫を整理しました。関わり方に正解はひとつではなく、子どもの年齢や個性によって伝わりやすさも変わります。迷ったときは、ひとりで抱えず相談先を頼ることも大切な選択肢です。
ほめ方・叱り方の全体像(早見表)
ほめ方も叱り方も、根っこにあるのは「子どもの気持ちを受け止めながら、どうすればよいかを具体的に伝える」という同じ考え方です。まず全体像を表で押さえておきましょう。
| 場面 | やってみたいこと | 避けたいこと |
|---|---|---|
| ほめる | 頑張りやできていることに注目し、具体的に伝える | 「えらいね」だけで終える・他の子と比べる |
| 叱る・伝える | 行動を短く・穏やかに、肯定文で「どうするか」を示す | 人格を否定する・長く責める・大声で怒鳴る |
| うまくいかないとき | 注意の方向を変える、選択肢を出す、環境を整える | 罰で押さえつける・叩く・けなす |
| 自分がつらいとき | 深呼吸・休息・相談先を頼る | ひとりで抱え込む |
関わり方の工夫は、こども家庭庁「体罰等によらない子育てを広げよう!」ガイドブックの「具体的な工夫のポイント」を参考にしています。
ほめ方のコツ:結果でなく「行動・努力」に注目する
子どもの良い態度や行動をほめることは、子どもにとってうれしいだけでなく、自己肯定感を育むことにもつながると、こども家庭庁の資料は説明しています。ポイントは、結果だけでなく頑張りを認めること、そして「今できていること」に注目することです。
たとえば、絵がうまく描けた場面で「上手だね」と結果だけをほめるより、「最後まで集中して塗れたね」「いろんな色を使ってみたんだね」と、子どもがした具体的な行動を言葉にすると、何が良かったのかが子どもに伝わりやすくなります。
- 1
できている事実を具体的に言葉にする
「自分で靴をはけたね」「おもちゃを箱に戻せたね」と、目に見えた行動をそのまま伝えます。大げさな評価より、事実の描写が伝わります。 - 2
結果より過程・努力を認める
うまくいかなくても「自分でやろうとしたね」「さっきより長くがんばれたね」と、取り組んだこと自体に注目します。 - 3
その場で・短く伝える
時間が経つと何をほめられたのか分かりにくくなります。良い行動が見えたら、その場で短く伝えるのがコツです。
ヒント
「えらいね」「すごいね」だけでも悪くはありませんが、慣れてきたら「○○できたね」と具体を一言添えてみましょう。子どもは「どんな行動が認められたのか」を理解しやすくなります。
「良いこと・できていることを具体的に褒める」「結果だけでなく頑張りを認める」という考え方は、こども家庭庁のガイドブックを参考にしています。
叱り方の原則:人格でなく「行動」を、短く・肯定文で
「叱る」と聞くと厳しく言うイメージがありますが、本来の目的は子どもを傷つけることではなく、「どうすればよいか」を分かるように伝えることです。こども家庭庁は、子どもに伝えるときは大声で怒鳴るよりも、何をすべきかを肯定文で具体的に、穏やかに、近づいて落ち着いた声で伝えるほうが伝わりやすいとしています。
押さえておきたい原則は次の4つです。
- 行動を指す(人格を否定しない):「あなたはダメな子」ではなく「ここでは歩こうね」と、変えてほしい行動そのものを伝えます。
- 肯定文で「どうするか」を示す:「走らないで」より「歩こうね」、「こぼさないで」より「両手で持とうね」のほうが、子どもは次の行動をイメージしやすくなります。
- 短く伝える:長く責め続けても、子どもは何が問題だったのかが分かりにくくなります。要点を短く伝えます。
- 代わりの行動・見本を示す:「一緒におもちゃを片付けよう」と共に行ったり、やり方を見せたりするのも有効です。
注意
たとえしつけのつもりでも、身体に苦痛や不快感を意図的にもたらす行為(罰)は、どんなに軽いものでも体罰にあたり、法律で禁止されています(2019年6月成立の改正児童福祉法等、2020年4月施行)。「お前なんか生まれてこなければよかった」のように存在を否定する言葉や、きょうだいと比べてけなすことも、子どもの心を傷つける行為です。
体罰の法的位置づけ・しつけとの違い、暴言が子どもの心を傷つける行為であることは、こども家庭庁「体罰等によらない子育てのために」を参考にしています。
子どもが言うことを聞かないように見えても、その背景はさまざまです。こども家庭庁は、保護者の気をひきたい、子どもなりに考えがある、言われていることをまだ理解できていない、体調が悪い、といった可能性を挙げています。「いつもと違う」と感じたら、まず理由に目を向けると、関わり方の糸口が見えてきます。
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年齢別の伝え方早見表
同じ言葉でも、年齢や発達によって伝わり方は変わります。こども家庭庁も、子どもの年齢や成長・発達の状況によってできること・できないことがあり、大人に言われていることを理解できないこともある、と説明しています。下表はあくまで一般的な目安で、個人差が大きい点を前提にお読みください。
| 年齢の目安 | ほめ方・伝え方の傾向 | 声かけの例 |
|---|---|---|
| 1〜2歳ごろ | 言葉より見本・短い肯定文。気持ちの代弁が中心 | 「自分で靴はけたね」「手をつなごうね」 |
| 2〜3歳ごろ | 「イヤ」が出る時期。選択肢を出して自分で選ばせる | 「赤い服と青い服どっちにする?」「できたね、次は○○だね」 |
| 3〜4歳ごろ | 理由を簡単に添えられる。できた過程をほめる | 「熱いから少し待とうね」「最後までがんばったね」 |
| 4〜6歳ごろ | 一緒に考える・約束を相談できる。気持ちを言葉にする手助けを | 「どうしたらいいか一緒に考えよう」「悔しかったんだね」 |
低年齢ほど、長い説明より「短い言葉+見本」が伝わりやすい傾向があります。一方、3歳を過ぎると簡単な理由を添えたり、一緒に考えたりする関わりが少しずつ通じやすくなります。年齢はあくまで目安なので、「うちの子にはどれが伝わりやすいか」を試しながら見つけていく姿勢で十分です。
つい怒鳴ってしまうとき・うまくいかないとき
「体罰や暴言はよくないと分かっていても、イライラして、つい大きな声が出てしまう」——これは多くの保護者が経験することです。こども家庭庁も、子育てに腹が立ったりイライラしたりすることは多くの保護者が経験するもの、としたうえで、関わり方や自分自身の工夫を紹介しています。
子どもへの関わりの工夫
- 注意の方向を変える:すぐに気持ちを切り替えるのが難しいときは、子どもが好きなことや楽しく取り組めることに目を向け、やる気が増す方向に働きかけてみます。
- 選択肢を出す:自分でやりたい気持ちが芽生える時期は、「床かこの椅子か、どちらに座る?」のように複数の選択肢を示し、子どもが選べるようにするのも一つの方法です。
- 環境を整える:乳幼児では、危ないものに触れないようにするなど、叱らないでよい環境づくりを工夫すると、衝突そのものが減ることがあります。
保護者自身の工夫
こども家庭庁は、否定的な感情が生じたときは、まずその気持ちに気づいて認めることが大切だとしています。そのうえで、心に余裕がないときの工夫として、深呼吸して気持ちを落ち着けたり、ゆっくり5秒数えたり、窓を開けて風にあたって気分転換するなどを挙げています。
メモ
時には保護者自身が休むことも大切です。「子どもが言うことを聞かないのは親が甘いから」といった言葉に追い詰められる必要はありません。うまくいかないことがあって当然、という前提で、自分を責めすぎないことも工夫の一つです。
「注意の方向を変える」「選択肢を示す」「環境を整える」「否定的な感情に気づく・深呼吸やゆっくり5秒数える」などの工夫は、こども家庭庁のガイドブックを参考にしています。
困ったときの相談先
関わり方の工夫をしても、うまくいかないことはあります。そんなときは周囲の力を借りることも解決の一つです。ひとりで抱え込まず、早めに相談する姿勢が安心につながります。
- 市区町村の子育て相談窓口・保健センター:身近な相談先です。乳幼児健診や全戸訪問の機会にも相談できます。
- 児童相談所相談専用ダイヤル(0120-189-783):「いちはやく・おなやみを」。子育ての悩みを相談できる窓口です。
- 児童相談所虐待対応ダイヤル(189):虐待かもと感じたときなどに、すぐに児童相談所へつながる全国共通の番号です(一部のIP電話からはつながりません)。
相談ダイヤル(189/児童相談所相談専用ダイヤル0120-189-783)の案内は、こども家庭庁の情報を参考にしています。対応時間や詳細は窓口により異なります。
なお、ほめ方・叱り方や子どもの発達についての悩みは、個々の状況によって適切な関わりが異なります。気になることが続くときや、関わり方に強く迷うときは、自己判断だけで抱え込まず、かかりつけの小児科や自治体の相談窓口に相談すると安心です。
よくある質問
ほめると調子に乗ってわがままになりませんか?
叱らない育児がいいと聞きますが、まったく叱らない方がいいですか?
肯定文で伝えるとは具体的にどう言えばいいですか?
何度言っても言うことを聞きません。どうすれば?
つい怒鳴ってしまった後、どうフォローすればいいですか?
きょうだいでつい比べてしまいます。よくないですか?
まとめ
ほめ方・叱り方に唯一の正解はありませんが、共通する軸は「子どもの気持ちを受け止めながら、行動を具体的に・穏やかに伝える」ことです。結果だけでなく頑張りに注目してほめ、叱るときは人格でなく行動を短く肯定文で伝える。この基本を頭の片隅に置くだけでも、毎日の声かけは少し変わってきます。
今日から試せる声かけチェックリスト
- ほめるときは「○○できたね」と具体的な行動を一言添える
- 結果だけでなく、過程や頑張りにも注目する
- 叱るときは「歩こうね」など肯定文で、短く・穏やかに伝える
- 人格を否定する言葉やきょうだいとの比較は避ける
- 年齢に合わせ、低年齢ほど短い言葉と見本で伝える
- イライラしたら深呼吸・ゆっくり5秒・少し休む
- うまくいかないときは市区町村窓口や相談ダイヤルを頼る
完璧な声かけを毎回できる保護者はいません。「今日はうまく言えた」が一つでもあれば十分です。子どもと一緒に、少しずつ伝え方を見つけていきましょう。
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