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子どもが「うそ」をつくとき|理由と年齢別の向き合い方

対象の目安: 2歳〜6歳ごろ

カナデ発達・おでかけ担当
・ 約10分で読めます
子どもが「うそ」をつくとき|理由と年齢別の向き合い方

「やってないのに『やってない』って言う」「見たこともない話を本当のように話す」。わが子のうそにドキッとして、つい強く問い詰めてしまった——そんな経験はめずらしくありません。でも、子どものうその多くは「悪い心」ではなく、育ちの途中で自然に表れるものです。この記事では、うそが出てくる発達上の意味と年齢別の傾向、頭ごなしに叱る前の向き合い方を整理しました。とらえ方には個人差があり、ここで紹介するのはあくまで一般的な目安です。

なぜ子どもはうそをつくのか

おとなは「うそ=人をだます悪いこと」ととらえがちですが、幼児のうそはもっと多様で、必ずしも悪意があるわけではありません。背景にはいくつかの心の動きがあります。

  • 想像と現実の境界があいまい:見た夢や絵本の話、空想を「本当のこと」として話す
  • 叱られたくない自己防衛:失敗や約束破りを責められるのを避けたい
  • こうあってほしいという願望:「もう歯みがきした」など、希望や思い込みが言葉になる
  • 注目してほしい気持ち:大げさな話で大人の関心を引きたい
  • まだ記憶や時間の感覚が育ち途中:本人は「うそをついている」つもりがないこともある

つまり同じ「うそ」でも、空想・自己防衛・願望・注目欲求と、その中身はさまざまです。「なぜそう言ったのか」に目を向けると、対応の手がかりが見えてきます。

年齢別の傾向(早見表)

うその出方は、心の発達とともに変わっていきます。下の表は大まかな目安で、月齢・年齢には大きな個人差があります。

時期の目安うその特徴背景にあるもの
2〜3歳ごろ空想と現実が混ざった発言。意図的なうそとは言いにくい想像力の芽生え、時間・記憶の未発達
3〜4歳ごろ叱られたくない・願望からの単純なうそが出始める自己防衛、こうしたいという気持ち
4〜6歳ごろつじつまを合わせようとする意図的なうそが見られる相手の心を推し量る力(心の理論)の発達

2〜3歳:空想と現実が混ざる時期

この時期の「事実と違う話」は、多くがうそというより空想の延長です。「お部屋にライオンが来た」「自分でやった(本当はやっていない)」といった発言は、想像の世界と現実がまだはっきり分かれていないために起こります。本人にだます意図がないことも多く、強く叱る対象とは限りません。

見てきたかのように作り話をするので、うそをつく子になったのではと不安になる、という声をよく聞きます。
3歳児の保護者

ゆたかな想像力の表れと受けとめ、「そうなんだ、ライオンさん来たの」と物語として一度受けとめたうえで、必要なら「でも本当はどうだったかな?」とやさしく現実に戻すくらいで十分なことが多いとされます。

4歳以降:意図のあるうそが出てくる

4歳ごろになると、相手が自分とは違うことを知っている・思っている、と理解する力が育ってきます。心理学では「心の理論」と呼ばれ、相手が事実と異なる思い込み(誤信念)を持ちうると分かるようになるのは、一般に4歳後半から5歳ごろとされています。

他者の誤信念を理解できるようになる時期の目安は、脳科学辞典「心の理論」(標準誤信念課題に通過するのは4歳後半〜5歳ごろ)より

この力が育つからこそ、「こう言えば叱られずにすむ」と考えた、意図のあるうそが出てきます。これは知的・社会的な発達のあらわれでもあり、うそをつけること自体が「育ちのサイン」という側面もあります。だからこそ、ここでの大人の関わり方が、その後の「正直さ」を育てる土台になります。

頭ごなしに叱る前の向き合い方

うそに気づくと感情的になりがちですが、まず深呼吸して、子どもの気持ちの裏側に目を向けてみましょう。

  1. 1

    まず気持ちを推し量る

    「叱られたくなかったのかな」「本当はこうしたかったのかな」と、うその裏にある気持ちを想像します。事実の追及より先に、安心できる空気をつくります。
  2. 2

    責める前に事実を一緒に整理する

    「コップが倒れちゃったね。どうしたら拭けるかな」と、犯人さがしではなく解決に向ける。失敗そのものを過度に責めないことが、次に正直に言える土台になります。
  3. 3

    正直に話せたことを認める

    本当のことを言えたら「話してくれてありがとう、正直に言うのは勇気がいるね」と、勇気のほうを認めます。叱られない経験が、正直さを後押しします。
  4. 4

    必要なら一緒に立て直す

    うそで隠した失敗があれば、責めずに一緒に片づけたり謝りに行ったりして、「やり直せる」体験にします。

ポイントは、うそを「ゼロにする」ことより、「正直に話しても大丈夫」と思える関係をつくることです。叱られる怖さが強いほど、子どもはうそで身を守ろうとしやすくなります。

正直を引き出す声かけ・避けたい対応

声のかけ方ひとつで、子どもが本当のことを言いやすくなったり、逆に口を閉ざしたりします。

避けたい対応として、次のようなものが挙げられます。

注意

「うそをついたでしょう!」と問い詰める、「うそつきね」とレッテルを貼る、厳しい罰で従わせる——こうした対応は、その場では効果があるように見えても、「次はもっとうまく隠そう」という気持ちや、自己肯定感の低下につながりやすいとされます。

かわりに意識したい声かけの例です。

  • 詰問しない:「やった?やってない?」と追い込まず、「何があったか教えてくれる?」と開く
  • 人格でなく行動を話題に:「あなたはうそつき」ではなく「この話は本当かな」と切り分ける
  • 正直を歓迎する:「正直に言ってくれてうれしい」と、言えたことをまっすぐ喜ぶ
  • 大人も正直を見せる:親が約束を守り、間違えたら「ごめんね」と言う姿がモデルになる

「うそをつくな」と繰り返すより、「本当のことを言うといいことがある(叱られない・一緒に解決できる)」という経験を重ねるほうが、長い目で見て正直さを育てやすいと考えられています。

つまずき・困ったとき

何度言っても同じうそを繰り返す、叱るほどうそが増える気がする、という相談はとても多いです。
4〜5歳児の保護者

うそが減らないと感じるときほど、対応がきびしくなり、子どもはますます身を守ろうとする——という悪循環に入っていることがあります。いったん「うそをなくす」目標を脇に置き、「安心して本当のことを言える関係」に立ち返ってみてください。小さな正直を見つけて認める、失敗を責めすぎない、できたことに目を向ける。こうした積み重ねが回り道のようで近道になることが多いとされます。

それでも、うそが生活に支障をきたす、年齢が上がっても現実と空想の区別が極端につきにくい、ほかにも気になる行動が続くなど、心配が強いときは、一人で抱え込まないことが大切です。

専門機関へ相談する目安

発達には大きな個人差があり、多くのうそは育ちの過程で自然におさまっていきます。そのうえで、次のようなときは早めに相談先を頼ってよいサインです。

  • うそについて家庭でどう関わればよいか迷い、不安が強い
  • うそが繰り返され、友だち関係や園生活に支障が出ている
  • 年齢が上がっても現実と空想の区別が極端につきにくい
  • ほかの発達面(ことば・対人関係など)でも気になることがある

相談先としては、お住まいの自治体に設置されている「こども家庭センター」があります。母子保健と児童福祉の機能を一体的に担い、こどもの発育・発達や子育ての方法などの相談に応じる窓口です。

こども家庭センターは、こどもの発育・発達や子育ての悩みを相談できる窓口とされています(こども家庭庁「こども家庭センター」より)

園や保育所の先生、かかりつけの小児科に日ごろの様子を相談するのも有効です。こども家庭庁は、子育てや発達の悩みについての相談窓口を案内しています。

各自治体の相談窓口の案内は、こども家庭庁「相談窓口」より

よくある質問

2歳の子が事実と違うことを話します。うそでしょうか?
2〜3歳ごろは空想と現実の境界がまだあいまいで、見た夢や想像を本当のように話すことがよくあります。だます意図のないことが多く、うそと決めつけて強く叱る必要はないとされています。物語として一度受けとめ、必要なら『本当はどうだったかな』とやさしく確かめる程度で十分なことが多いです。
うそをついたら厳しく叱ったほうがいいですか?
頭ごなしに叱る・問い詰める・厳罰で従わせる対応は、その場では効いても『次はうまく隠そう』という気持ちにつながりやすいとされます。失敗そのものを責めすぎず、正直に話せたことを認めるほうが、長い目で見て正直さを育てやすいと考えられています。
『うそつき』と言ってしまいました。大丈夫でしょうか?
つい言ってしまうことは誰にでもあります。大切なのはレッテルを繰り返さないことです。人格ではなく行動に目を向け、『この話は本当かな』『正直に言ってくれてうれしい』と、言えたことを認める関わりに切り替えていきましょう。
何度言っても同じうそを繰り返します。
うそを『なくす』ことを目標にすると、対応がきびしくなり、子どもがますます身を守ろうとする悪循環に入ることがあります。安心して本当のことを言える関係づくりに立ち返り、小さな正直を見つけて認めることが回り道のようで近道になりやすいです。続くようなら相談先を頼りましょう。
うそをつくのは発達が遅れているサインですか?
むしろ逆で、相手の心を推し量る力(心の理論)が育つからこそ意図のあるうそが出てくる、という側面があります。一般に4歳後半から5歳ごろにこの力が育つとされ、うそをつけること自体が育ちのサインとも言えます。
どんなときに専門機関へ相談すればいいですか?
うそが繰り返されて園生活や友だち関係に支障が出ている、年齢が上がっても現実と空想の区別が極端につきにくい、ほかの発達面でも気になることがある、家庭での関わりに強い不安がある——そんなときは、自治体のこども家庭センターや小児科、園の先生に相談してよいサインです。発達には個人差があるため、気になったら早めに頼って大丈夫です。

まとめ

子どものうそは、悪い心の表れというより、想像力や自己防衛、そして相手の心を理解する力が育つ過程で自然に出てくるものです。大切なのは、うそをゼロにすることより、「正直に話しても大丈夫」と思える関係をつくること。最後に、向き合い方のポイントを確認しておきましょう。

うそと向き合うときのポイント

  • うその裏にある気持ち(自己防衛・願望・注目欲求)に目を向ける
  • 2〜3歳の空想的な発言はうそと決めつけない
  • 問い詰め・『うそつき』のレッテル・厳罰は避ける
  • 正直に話せたことを言葉にして認める
  • 失敗そのものを責めすぎず、一緒に立て直す
  • 心配が強いときは自治体のこども家庭センターや小児科へ

うそへの関わり方は、ほめ方・叱り方やイヤイヤ期の関わりとも地続きです。あわせて読んでみてください。

あわせて読みたい

子どものほめ方・叱り方|年齢別の伝え方と前向きな関わりのコツ

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イヤイヤ期の関わり方|なぜ起きる?親が楽になる対応のコツ

出典・参考

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