育児の時間
発達・健康

乳幼児健診の内容と当日の流れ・準備|1歳6か月児健診・3歳児健診で見ていること

対象の目安: 1歳6か月〜5歳ごろ

カナデ発達・おでかけ担当
・ 約18分で読めます
乳幼児健診の内容と当日の流れ・準備|1歳6か月児健診・3歳児健診で見ていること

「何を持っていけばいいの」「うちの子、絶対に泣くしやらない」——乳幼児健診の案内が届くと、そんな声がよく聞かれます。健診は「できる・できない」で優劣をつける場ではなく、身体の育ちや病気の有無を確認しつつ、育児の心配ごとを相談できる機会として位置づけられています。この記事では、健診の根拠と確認される項目を一次情報から整理し、当日の持ち物と流れ、問診票の書き方、ぐずったときの受けとめ方、「様子を見ましょう」と言われたときの考え方までをまとめます。なお、健診結果の解釈や診断は医療機関が行うものです。この記事は準備と心構えに絞ります。

乳幼児健診の全体像(早見表)

こども家庭庁は、母子保健法第12条で「1歳6か月児」「3歳児」への健診の実施が市町村に義務づけられていること、それ以外の健診は同法第13条により市町村が必要に応じて実施・勧奨することを説明しています。

健診の時期法律上の位置づけ実施の状況
1か月児健診母子保健法第13条(必要に応じて実施・勧奨)国庫補助の対象。原則として個別健診
3〜6か月児健診同第13条地方交付税措置の対象
9〜11か月児健診同第13条地方交付税措置の対象
1歳6か月児健診母子保健法第12条(市町村に実施義務)地方交付税措置により全国で実施
3歳児健診同第12条(市町村に実施義務)地方交付税措置により全国で実施
5歳児健診同第13条国庫補助の対象。原則として集団健診

法的な位置づけと財政措置の区分は、こども家庭庁「乳幼児健診に関する取組み」および母子保健法(e-Gov法令検索)第12条・第13条に基づきます。1か月児健診・5歳児健診の実施方法(原則個別/原則集団)は、こども家庭庁「『1か月児』及び『5歳児』健康診査支援事業」の記載によります。実施時期・回数・会場は市町村ごとに異なります。

法定健診の対象は「満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児」「満3歳を超え満4歳に達しない幼児」と幅をもって定められています。1歳7か月ごろ、3歳6か月ごろに案内が来ることもあり、誕生日ちょうどでなくても遅れているわけではありません。

健診で何を見ているのか

1歳6か月児健診の項目

母子保健法施行規則第2条が定めるのは、身体発育状況、栄養状態、脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無、皮膚の疾病の有無、歯及び口腔の疾病及び異常の有無、四肢運動障害の有無、精神発達の状況、言語障害の有無、予防接種の実施状況、育児上問題となる事項、その他の疾病及び異常の有無の11項目です。身体と病気の確認が大きな柱で、精神発達はそのうちの一項目にすぎません。国が示す健康診査票には、むし歯や生えている歯の本数、咬合、仕上げ磨きの状況を記入する歯科所見の欄も設けられています。

仕上げ磨き・フッ化物の基本はこちら

子どもの虫歯予防と歯のケア|仕上げ磨き・フッ素・歯科健診の基本

3歳児健診の項目

3歳児健診では、これに加えて「眼の疾病及び異常の有無」「耳、鼻及び咽頭の疾病及び異常の有無」が定められています。国が示す3歳児健康診査票にも、視力・屈折検査・眼位を記入する眼科所見の欄、聴力やティンパノメトリーを記入する耳鼻咽喉科所見の欄、検尿(蛋白・糖・潜血)の欄が置かれています。

こども家庭庁が公開している通知「乳幼児に対する健康診査について」に添付された「3歳児健康診査のお知らせとお願い」には、子どもの目の機能は生まれてから発達を続けて6歳にほぼ完成すること、強い屈折異常(遠視・近視・乱視)や斜視があると目の機能の発達が遅れて十分な視力が得られないことがあり、こうした状態(弱視等)は早く見つけて小さいうちから正しい治療や指導を受ける必要があることが書かれています。耳についても、この年齢でかかりやすい滲出性中耳炎は痛みの訴えがなく保護者が気づきにくいこと、聞こえにくい状態が長く続くと言葉の発達に影響が出てくることがあると説明されています。

健診項目は母子保健法施行規則第2条(e-Gov法令検索)より。健康診査票の記入欄の構成と、目・耳に関する説明は、こども家庭庁が公開する通知「乳幼児に対する健康診査について」(改正後全文)の別添5・別添6に基づきます。実際にどの検査を行うかは自治体の実施体制によって差があります。

メモ

つまり3歳児健診の視覚・聴覚検査は、視力に点数をつけるためではなく、見え方・聞こえ方の育ちが進む時期のうちに気づきにくい状態を拾い上げるための検査です。子どもは見えにくくても自分からは訴えないため、家庭と健診の両方で確認する仕組みになっています。

目の環境づくりについてはこちら

子どもの近視予防|外遊びの時間・目と物の距離・スクリーンとの付き合い方

当日までの流れと持ち物

3歳児健診では、家庭で事前に視力検査と聞こえの確認をしてから会場に持参する方式が国の通知で示されています。当日いきなり測るものだと思っていると、送られてきた検査用紙を開かないまま出発してしまうので注意してください。

  1. 1

    案内が届いたら日程と同封物を確認する

    集団健診は日時が指定されていることが多く、個別健診は自分で医療機関に予約します。問診票、健康診査票、3歳児健診では目と耳のアンケート・視標などが入っていることがあるので、届いたその日に開けておきます。
  2. 2

    3歳児健診は家庭での事前検査を済ませる

    通知が示す視力検査は、2.5mの距離で片目ずつ視標の切れ目の向きを答えてもらう方法です。距離は目測ではなく正確に測ります。聞こえの確認は、1mくらい離れて向かい合い、絵シートの絵の名前をささやき声で1回ずつ言って指させるかを見ます。
  3. 3

    問診票を先に書いておく

    当日その場で書こうとすると、子どもが動き回って集中できません。数日前に落ち着いて書くほうが、書きたいことを書けます。
  4. 4

    持ち物をまとめる

    母子健康手帳、問診票・健康診査票、事前検査の記入用紙、案内はがき、健康保険証・医療証、着替え、飲みもの、おむつやおしりふき、待ち時間用の絵本や小さなおもちゃ。指定は自治体ごとに異なるので案内を確認してください。
  5. 5

    当日は脱ぎ着しやすい服で

    身体計測や診察で脱ぐ場面があります。上下が分かれた服、脱ぎやすい靴だと待ち時間のストレスが減ります。

家庭で行う視力検査の方法(2.5mの距離・片目ずつ・切れ目の向きを答える)と、ささやき声による聞こえの確認方法は、こども家庭庁が公開する通知「乳幼児に対する健康診査について」(改正後全文)別添6「3歳児健康診査のお知らせとお願い」の記載に基づきます。持ち物リストのうち母子健康手帳以外は同通知によるものではなく、一般的な準備として編集部が整理したものです。

会場では、受付、問診票の確認、身体計測、保健師などによる問診、医師の診察、歯科診察、必要に応じた個別相談、という流れをとることが多いです。多職種がワンストップでサービスを提供する集団健診は乳幼児健診に特有のスタイルだと説明されており、その分だけ待ち時間が生じやすい面もあります。

問診票は「相談の下書き」として書く

問診票には、運動や言葉の様子だけでなく、保護者自身の状態を尋ねる項目が並びます。国が示す1歳6か月児健診の問診票には、指さしで伝えようとするか、絵本を見て知っているものをさすかといった項目に加えて、「あなたの最近の心身の調子はいかがですか」「あなたは、お子さんに対して、育てにくさを感じていますか」「現在何か心配なことはありますか」といった設問が含まれています。3歳児健診の問診票も同様で、かかりつけ医・かかりつけ歯科医の有無を尋ねる設問も置かれています。

つまり問診票は、子どもを採点する答案ではなく、支援が必要な状態を見落とさないための入口です。実践ガイドでも、乳幼児健診は受診者の支援の必要性を把握するとともに、未受診者を必要な支援につなげることで、すべての親子に支援を届けられる事業だと位置づけられています。

問診票の設問例は、こども家庭庁が公開する通知「乳幼児に対する健康診査について」(改正後全文)別添5(1歳6か月児・3歳児健康診査問診票)より。集団健診が多職種によるワンストップ型であること、健診が受診者と未受診者の双方を支援につなげる事業であることは、国立成育医療研究センター「乳幼児健康診査事業 実践ガイド」(平成30年3月)によります。設問や進行は自治体ごとに調整されます。

書き方のコツは次のとおりです。

  • 迷った項目を「できる」と丸めない。「日によって違う」「家ではやるが外ではやらない」と余白に書き足すほうが実態が伝わります。
  • 気になっていることは短くても書く。当日「特にありません」と言ってしまいがちな人ほど、書いておくと相談が始まります。
  • 心配ごとは子どものことに限らなくてよい。眠れない、余裕がない、相談相手がいない、といった保護者側の状況も設問の対象です。
  • 気づいた場面をひとつメモしておく。「呼んでも振り向かないことが週に何度かある」のように頻度と場面がわかると話が早く進みます。

ことばの発達が気になるときはこちら

言葉が遅い?1〜2歳の言語発達の目安と家庭でできる関わり方

ぐずる・ふだんできることをやらないとき

「家では積み木を積めるのに、健診会場では泣いて一度も座れませんでした。できない子だと思われた気がして、帰り道に落ち込みました」という声はよく聞かれます。
1歳6か月児の保護者

慣れない場所、知らない大人、長い待ち時間、いつもと違う時間帯。この条件がそろえば、ふだんの姿が出ないほうが自然です。

  • 当日の1場面だけで判断されるわけではありません。問診票や保護者への聞き取りも合わせて確認されるので、「家ではできます」と伝えれば大丈夫です。
  • 泣いたこと自体を謝る必要はありません。会場の担当者は毎回そうした場面を見ています。
  • どうしても難しいときは正直に伝えます。日を改める、個別に対応するなど、方法が示されることもあります。
  • 待ち時間対策があると親の余裕が変わります。飲みもの、小さな絵本、シールなど静かに使えるものが向いています。
  • 眠い時間帯・空腹の時間帯は避けられるなら避けます。予約制なら機嫌のよい時間帯を選べることがあります。

ヒント

「うちの子は初めての場所だと固まります」「人見知りが強いです」と最初に伝えておくと、その前提で見てもらえます。伝えることは言い訳ではなく、正確な情報の提供です。

人見知り・後追いが強いときはこちら

赤ちゃんの人見知り・後追い|いつから・なぜ起こる・安心できる関わり方

「様子を見ましょう」と言われたとき

健康診査票の判定欄には、「異常なし」のほかに「要経過観察」「要紹介(要精密・要治療)」といった区分が並びます。子育て支援の必要性についても、「特に問題なし」「保健師による支援が必要」「その他の支援が必要」という判定欄があります。実践ガイドでは、気になる状況の場合は一定期間フォローアップしたのちに再判定すること、次の健診時期に状況を確認して支援を評価することが、健診後の業務として説明されています。

判定区分は、こども家庭庁が公開する通知「乳幼児に対する健康診査について」(改正後全文)別添5の健康診査票、フォローアップの考え方は国立成育医療研究センター「乳幼児健康診査事業 実践ガイド」(平成30年3月)第4章の記載によります。個別の判定の意味や見通しは、健診を実施した自治体や医療機関にご確認ください。

つまり「様子を見ましょう」は放置ではなく、期間を決めて確認し直す枠組みの中にあります。とはいえ言われた側は宙ぶらりんな気持ちになりやすいので、その場で次の3点を確認しておくと安心です。

  1. いつごろ、どこで次の確認をするのか(次の健診まで待つのか、事後の教室や相談があるのか)
  2. その間に家庭で気をつけることがあるか、特にないのか
  3. 途中で気になったときの連絡先はどこか

相談先としては、市区町村への設置が進められているこども家庭センターがあります。妊産婦や子育て家庭、こどもからの相談に応じる窓口として案内されており、設置は市区町村の努力義務とされているため、お住まいの自治体にあるかは確認が必要です。かかりつけの小児科でも構いませんし、発達に関する相談は自治体の発達相談や保健センターでも受け付けています。

こども家庭センターの役割と、改正児童福祉法により設置が市区町村の努力義務とされていることは、こども家庭庁「こども家庭センターポータルサイト」の記載より。窓口の名称や体制は自治体によって異なります。

5歳児健診の広がり

5歳児健診は母子保健法第12条の法定健診ではありませんが、こども家庭庁は「1か月児」及び「5歳児」健康診査支援事業として費用の助成を行っています。事業の目的には、出産後から就学前までの切れ目のない健康診査の実施体制を整備すること、財政支援に加えて技術的支援や体制整備への支援を行うことにより1か月児・5歳児健診の早期の全国展開を目指すことが示されています。健診の内容としては、身体・精神・言語などの発達状況の評価と早期支援、育児上問題となる事項、必要に応じた専門相談等が挙げられ、発達障害等(疑いを含む)と判定された幼児について就学前までに必要な支援につなげられるよう、地域の支援体制を整備することが留意事項とされています。

5歳児健診の位置づけ・内容・留意事項は、こども家庭庁「『1か月児』及び『5歳児』健康診査支援事業」(令和7年度補正予算の事業概要)の記載に基づきます。全国展開を目指す段階の事業であり、実施の有無・時期・方法は自治体によって異なります。

注意

5歳児健診が広がる背景には、就学前に支援へつなぐという目的があります。ただし健診はふるい分けの手続きではなく、必要な支援を届けるための入口です。案内が来ても身構えすぎず、気になることを相談する機会として使ってください。診断は健診の場ではなく、医療機関が行うものです。

受け忘れ・引っ越しのとき

受けられなかったときは、自治体の母子保健担当窓口に連絡してください。実践ガイドでは、未受診者の把握を重要な業務と位置づけ、期限を定めて直接児を確認する必要があること、市町村の母子保健担当部署のみでは対応に限界があるため他部署や他機関等と連携することが記されています。連絡がないままだと自治体側が状況を確認できないため、こちらから一報を入れるほうがスムーズです。

引っ越しの場合も、転出入の届出とあわせて母子保健担当窓口に相談します。実践ガイドには、転居の際のフォローアップのための市町村間連携の構築が必要であることが挙げられており、自治体をまたぐ引き継ぎは想定された仕組みです。母子健康手帳は市町村が交付するもので様式は内閣府令で定められており、健康診査や保健指導を受けたときはその都度必要な事項の記載を受けることとされています。手続きの流れは自治体によって異なるため、転入先の窓口で確認してください。

未受診者の把握と転居時の市町村間連携についての記述は、国立成育医療研究センター「乳幼児健康診査事業 実践ガイド」(平成30年3月)より。母子健康手帳の交付・様式・記載に関する記述は母子保健法第16条(e-Gov法令検索)に基づきます。窓口での具体的な手続きの案内は、これらの資料によるものではなく編集部が一般的な考え方として整理したものです。

よくある質問

健診の費用はかかりますか?
こども家庭庁の母子健康手帳情報支援サイトでは、自治体で行う集団健診は基本無料と説明されています。ただし個別健診の場合や、自治体・検査内容によって扱いが異なることがあるため、届いた案内で確認してください。
1歳6か月児健診は、1歳6か月ちょうどで受けるのですか?
母子保健法第12条の対象は「満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児」と定められており、幅があります。3歳児健診も「満3歳を超え満4歳に達しない幼児」が対象です。案内の時期が誕生日ちょうどでなくても問題ありません。
3歳児健診の視力検査が家でうまくできません
国の通知では、まず1mくらいの距離で大きい視標を使って練習し、できるようになってから2.5mで行う手順が示されています。うまくいかない場合も、できなかったこと自体を健診で伝えてください。それも大事な情報になります。
健診で発達障害だと診断されるのですか?
健診は診断の場ではありません。健康診査票の判定は「異常なし」「要経過観察」「要紹介(要精密・要治療)」などの区分で、必要に応じて医療機関等につなぐ仕組みです。診断は医療機関が行います。
きょうだいを連れて行っても大丈夫ですか?
自治体によって対応が異なります。同伴可のところもあれば、会場の広さや感染対策の都合で制限があるところもあります。事前に窓口へ確認してください。
5歳児健診の案内が来ませんでした
5歳児健診は母子保健法第12条の法定健診ではなく、国庫補助を受けて実施が広がっている段階の健診です。実施の有無や時期は自治体によって異なるため、気になる場合は母子保健担当窓口にお問い合わせください。

まとめ

乳幼児健診は、法律で項目まで定められた確認の機会であり、同時に育児の心配ごとを持ち込める相談の機会でもあります。1歳6か月児健診と3歳児健診は市町村に実施が義務づけられた法定健診で、3歳児健診では家庭での事前検査を含む目と耳の確認が加わります。当日ぐずっても、それだけで何かが決まるわけではありません。

健診前にそろえる チェックリスト

  • 案内はがきで日時・会場・持ち物・事前検査の有無を確認した
  • 母子健康手帳、問診票・健康診査票、保険証や医療証をまとめた
  • 3歳児健診の場合、家庭での視力検査・聞こえの確認を済ませて記入した
  • 問診票を事前に記入し、気になっていることを具体的に書き足した
  • 待ち時間対策(飲みもの・着替え・静かに使えるおもちゃ)を用意した
  • 「様子を見ましょう」と言われたときに聞く3点(次はいつ・家庭で何を・連絡先)を頭に入れた

準備が整っていれば、健診は「見られる日」ではなく「聞ける日」になります。書ききれなかった心配ごとがあれば、その場で口に出してみてください。答えがすぐに出なくても、相談したという事実が次につながります。

出典・参考

この記事をシェア

関連する記事

発達・健康

子どもの近視予防|外遊びの時間・目と物の距離・スクリーンとの付き合い方

子どもの近視(視力低下)は年々増えているといわれます。近視が起こる一般的な仕組みや、予防に役立つとされる生活習慣を、日本眼科医会などの情報をもとに整理しました。1日2時間程度の外遊び、近くを見続けたら遠くを見て休む工夫、目と物の距離や明るさ、デジタル端末との付き合い方、3歳児健診や眼科受診の目安まで、不安をあおらずまとめています。