赤ちゃんの人見知り・後追い|いつから・なぜ起こる・安心できる関わり方
対象の目安: 0〜2歳ごろ

「少し前まで誰に抱っこされても平気だったのに、急に祖父母を見ると大泣きするようになった」「トイレに立つだけで泣いて追いかけてくる」——人見知りや後追いが始まると、戸惑ったり、自分の時間が取れずに疲れてしまったりすることもあります。でも、これらは赤ちゃんが順調に育っているサインでもあります。この記事では、人見知り・後追いがいつ頃・なぜ起こるのか、月齢の目安と大きな個人差、安心できる関わり方、家事や預けるときの工夫を整理します。発達のあらわれ方には幅があるため、気になるときは乳幼児健診やかかりつけ医に相談することを前提にお読みください。
人見知り・後追いとは(まずは全体像)
人見知りは、見慣れない相手に対して泣いたり顔をそむけたりする反応です。後追いは、保護者など特定の大人が離れると泣いて追いかけたり、姿を探したりする行動を指します。どちらも、赤ちゃんが「いつもそばにいてくれる特定の人」と「それ以外の人」を区別できるようになり、その特定の人を心のよりどころにし始めたからこそ起こります。
| 項目 | 人見知り | 後追い |
|---|---|---|
| 主なあらわれ | 知らない人を見て泣く・固まる・顔をそむける | 保護者が離れると泣く・はいはいで追う |
| 始まりの目安 | おおむね生後6か月頃から | おおむね生後7〜9か月頃から(前後あり) |
| 目立ちやすい時期 | 生後10か月〜1歳前後 | 1歳前後〜1歳台 |
| 背景にあるもの | 特定の大人との愛着、人の区別ができる認知の育ち | 「離れても戻ってくる」を学ぶ過程・記憶の育ち |
表の月齢はあくまで目安です。早い子・遅い子・ほとんど目立たない子もいて、幅がとても大きいことを最初に知っておくと、必要以上に心配せずにすみます。
なぜ起こる? 発達のポジティブなサイン
人見知り・後追いは「困った行動」ではなく、心の発達が進んだ結果です。背景には大きく次の3つがあります。
1. 特定の大人との愛着(情緒的な絆)が育った
厚生労働省・こども家庭庁の「保育所保育指針解説」は、赤ちゃんが泣きや喃語などで欲求を表現し、それに応答的に関わる特定の大人との間に情緒的な絆(愛着)が形成されると説明しています。そして「6か月頃には身近な人の顔が分かり」「愛着関係が強まる。その一方で、見知らぬ相手に対しては、人見知りをするようにもなる」と述べています。つまり人見知りは、信頼できる相手がはっきりしてきた証でもあります。
愛着の形成と、6か月頃に人見知りがみられるようになることは、厚生労働省・こども家庭庁「保育所保育指針解説」の記述を参考にしています。
2. 「人を区別する力」「記憶」が育った
知らない人とよく知る人を見分けられるのは、顔を覚え、比べる認知の力が育ったからです。後追いの背景には「姿が見えなくても、その人は存在し続けていて、戻ってくる」という理解(対象の永続性)が芽生え始めることが関係していると考えられています。見えなくなると不安で泣くのは、その途中段階の自然な姿です。
3. 「安心の基地」を起点に世界を広げ始めた
愛着が育つと、赤ちゃんは安心できる人を「基地」のようにして、少し離れて遊び、不安になると戻ってくる、を繰り返すようになります。後追いは、この「離れる・戻る」を練習している最中のあらわれともいえます。安心して戻れる場所があるからこそ、外の世界への探索が広がっていきます。
月齢の目安と個人差(始まらない子もいる)
おおよその流れとしては、生後6か月頃から人見知り、その前後から後追いがみられ、1歳前後で目立ち、1歳台を通じて少しずつ落ち着いていく、という子が多くみられます。ただし、これは「平均的な一例」にすぎません。
- 早くから人見知りが強い子もいれば、ほとんど人見知りをしない子もいます。
- 後追いが激しい時期がある子もいれば、あっさりしている子もいます。
- きょうだいや生活環境、もともとの気質によってもあらわれ方は変わります。
大切なのは、人見知り・後追いの強さだけで発達の良し悪しを判断しないことです。たとえ人見知りが目立たなくても、保護者と離れると不安がる、戻ると喜ぶなど、特定の人を特別な存在として認識している様子があれば、過度に心配する必要は基本的にありません。逆に「人見知りが激しい=育てにくい」わけでもありません。
メモ
人見知り・後追いのあらわれ方には個人差がとても大きく、「ある・ない」だけで発達を評価することはできません。気になる点があるときは、自己判断で結論を出さず、乳幼児健診やかかりつけ医など専門家に相談すると安心です。
家庭での関わり方(無理に慣れさせない)
人見知り・後追いの時期に大切なのは、「早く慣れさせよう」と焦るのではなく、赤ちゃんが安心できる土台を整えることです。
- 1
安心の基地になる
不安そうにしているときは、抱っこや声かけで「大丈夫だよ」と受けとめます。安心できる人がいると感じられることが、外の世界へ向かう力になります。 - 2
新しい人・場所には少しずつ
初対面の人にいきなり預けたり近づけたりせず、まず保護者の隣で様子を見せます。赤ちゃんが自分から興味を示すのを待ち、ペースを尊重します。 - 3
気持ちを言葉にして返す
「知らない人でびっくりしたね」「ママいなくて寂しかったね」と気持ちを代弁します。受けとめてもらう経験が、安心感と言葉の育ちにつながります。 - 4
離れるときは黙って消えない
預けるときやその場を離れるときは、「行ってくるね、すぐ戻るよ」と短く伝えます。こっそりいなくなるより、見通しを持てるほうが落ち着きやすい子が多いです。
無理に知らない人へ渡して泣かせ続けたり、「恥ずかしがらないの」と叱ったりする必要はありません。人見知りはダメなことではなく、育ちのあらわれです。安心の経験を積むうちに、子ども自身のペースで人や場所に慣れていきます。
ヒント
祖父母など親戚に会うときは、最初は保護者が抱っこしたまま少し離れて過ごし、慣れてきたら同じ目線で一緒に遊んでもらうとスムーズです。「正面からじっと見つめる・急に抱き上げる」は驚かせやすいので、横並びでおもちゃを介して関わってもらうとよいでしょう。
後追いで家事が進まないときの工夫
後追いがピークの時期は、思うように家事が進まず、それ自体が大きなストレスになります。完璧を目指さず、次のような小さな工夫で乗り切る発想に切り替えると楽になります。
- 声をかけ続ける:別室に行くときも「ここにいるよ」「お皿洗ってるよ」と声を出すと、姿が見えなくても安心しやすくなります。
- 見える位置で過ごす:プレイマットやベビーサークルを、家事をする場所から見える位置に置き、目線が合うようにします。
- おんぶ・抱っこを活用:どうしても離れられない時期は、おんぶで一緒に家事をするのも一つの方法です。
- やらないことを決める:今日は最低限だけ、と割り切る日があってよいです。後追いの時期は永遠には続きません。
- 頼れる手を増やす:家族や一時保育、地域の支援などに頼ることは「甘え」ではありません。
保育園・預けるときの工夫
復職や用事で預ける場面でも、人見知り・後追いの時期は工夫で負担を減らせます。慣らし保育のように、少しずつ時間を延ばしていく進め方が基本です。
- 持ち物に安心材料を:いつものタオルやお気に入りのものを持たせると、落ち着きやすい子がいます(園のルールは確認を)。
- 別れの儀式を決める:「バイバイのあとハグ1回」など短い決まった流れにすると、見通しが立ちやすくなります。
- 別れ際は手短に:名残惜しくて長引くと、かえって不安が募ることがあります。笑顔で短く伝えて離れます。
- 再会で受けとめる:迎えのときに「待っててくれてありがとう」としっかり受けとめると、「離れても戻ってくる」を学べます。
- 園と情報を共有:家での様子や好きな遊びを伝えておくと、保育者も関わりやすくなります。
預け始めに泣くのは自然なことです。泣いても、戻ってきてもらえる経験を重ねるうちに、子どもなりに環境へ慣れていきます。
あわせて読みたい
慣らし保育の期間・スケジュールと子どもの様子の見方
いつまで続く?
人見知り・後追いは、多くの場合1歳台を通じて少しずつ和らぎ、言葉や見通しの力が育つにつれて落ち着いていきます。ただし「何歳何か月でぴたりと終わる」という明確な区切りはなく、2歳前後まで続くこともあります。引っ越しやきょうだいの誕生など環境の変化で一時的にぶり返すこともありますが、それも自然な反応です。終わりの時期を急がず、「安心できる土台づくり」を続けることが、結果的に自立への近道になります。
気になるときの相談先(こんなときは専門家へ)
人見知り・後追いそのものは心配のいらない育ちのサインですが、次のような点が気になるときは、人見知りの有無だけで判断せず、専門家に相談しましょう。
- 名前を呼んでも反応が乏しい、目がほとんど合わない状態が続く
- あやしても笑わない、人への関心が極端に薄いように感じる
- 指さしや身ぶりでのやりとり、表情の変化がとても少ない
- できていたことが減った・後戻りしたように感じる
国立障害者リハビリテーションセンターの資料では、アイコンタクトや呼名への反応、大人の動作をまねる、指さしを目で追うといった社会的な行動が、個人差はありつつ一定の順序で育っていくとされています。これらが日常的にみられにくい場合は、相談の対象として挙げられています。あくまで一つの目安であり、診断をするものではありません。
社会的な行動の育ちと個人差、相談の目安は、国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター「健診での気づき」を参考にしています。
相談先としては、市区町村が母子保健法に基づいて行う乳幼児健康診査(1歳6か月児健診・3歳児健診など)が身近な機会です。こども家庭庁は、乳幼児健診を「こどもの健康状態を把握し、健康の保持や増進を図るために重要」と位置づけ、就学前まで切れ目のない実施を目指しています。健診のほか、かかりつけの小児科や自治体の子育て相談窓口でも相談できます。
乳幼児健診の位置づけ(1歳6か月児健診・3歳児健診など、母子保健法に基づき市町村が実施)は、こども家庭庁「乳幼児健康診査について」を参考にしています。
注意
この記事は一般的な情報の整理であり、診断や医学的な判断を行うものではありません。発達のあらわれ方には大きな個人差があります。気になる様子が続く・不安が強いときは、自己判断せず、乳幼児健診やかかりつけの小児科、自治体の相談窓口に相談してください。
よくある質問
人見知りはいつから始まりますか?
後追いはいつまで続きますか?
人見知りも後追いも全くしません。発達に問題がありますか?
後追いで家事ができません。どうすればいいですか?
知らない人に泣くとき、無理に慣れさせたほうがいいですか?
祖父母に会わせると毎回大泣きします。会わせないほうがいい?
預けるときに泣くのがかわいそうです。やめたほうがいい?
まとめ
人見知り・後追いは、赤ちゃんが特定の大人との愛着を育て、人を区別し、世界を広げ始めた育ちのサインです。あらわれ方には大きな個人差があり、強くても軽くても、それだけで発達を判断することはできません。焦って慣れさせるよりも、安心できる土台をつくることが、結果的に外の世界への一歩につながります。
人見知り・後追いの時期に意識したいこと
- 不安そうなときは抱っこ・声かけで受けとめ、安心の基地になる
- 新しい人・場所には少しずつ。本人のペースを尊重する
- 離れるときは黙って消えず『すぐ戻るよ』と短く伝える
- 後追い期の家事は完璧を目指さず、声かけ・見える位置・人手で工夫する
- 預けるときは別れ際を手短に、再会でしっかり受けとめる
- 目が合わない・反応が乏しいなど気になる点は、乳幼児健診やかかりつけ医に相談する
人見知りも後追いも、いつか必ず落ち着く一時期です。「今は安心をためている時間」と捉えて、肩の力を抜いて過ごしていきましょう。
あわせて読みたい
言葉が遅い?1〜2歳の言語発達の目安と家庭でできる関わり方
出典・参考
関連する記事
赤ちゃんの夜泣き、月齢別の原因と今夜から試せる対処法
月齢ごとに異なる夜泣きの原因を整理し、新生児期から1歳前後まで保護者が今夜から実践できる対応策を解説します。厚生労働省の乳幼児睡眠情報も参照しています。
言葉が遅い?1〜2歳の言語発達の目安と家庭でできる関わり方
1〜2歳の言語発達の標準的な目安を整理し、日常の中で取り入れやすい関わり方を紹介します。「うちの子、言葉が遅いかも」と感じたときに確認したいポイントも解説します。
慣らし保育の期間・スケジュールと子どもの様子の見方
慣らし保育の一般的な流れと週別スケジュール例、泣き止まない・発熱など子どもの反応への対処法を整理しました。はじめての集団生活を親子で乗り越えるヒントをまとめています。


