子どものひとり遊びが育つ関わり方|「親がいないと遊べない」と悩んだら(0〜6歳)
対象の目安: 0〜6歳ごろ

おもちゃを出しても数分で「ママ見て」「一緒にやって」。台所に立とうとすると足にしがみついて泣く。SNSでは「うちの子は1時間ひとりで遊びます」という話を見かけて、うちだけできていないのではと落ち込む——そんな声はとても多く聞かれます。この記事は、集中力そのものの育ちや、ごっこ遊びの広げ方とは切り口を変えて、「ひとりで遊ぶ力そのものがどう育つのか」に絞って整理します。年齢ごとの遊びの姿の目安、環境づくり、そっと離れるまでの関わり方、やりがちなNGまで確認していきましょう。
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ひとり遊びで育つもの
ひとり遊びは、親を頼らないための我慢の時間ではありません。子どもが自分で「これをやってみたい」と決め、うまくいかなければやり方を変え、思いついたイメージを形にしていく時間です。
- 自分で決める経験:何を出すか、どう並べるか、いつやめるかを自分で選ぶ機会になります。
- 試行錯誤の時間:積んでは崩し、また積む。この繰り返しのなかで「こうすると倒れない」という気づきが積み重なります。
- 想像の広がり:積み木が塔になり、駅になり、電車が出発します。目の前のものを別のものに見立てる力が育っていきます。
保育所保育指針解説では、興味をもった玩具を自分なりの目的や方法で工夫しながら扱って楽しむ姿や、積み木を塔に見立てたり「ここが駅なの」と言いながら遊んだりする姿が、1歳以上3歳未満児の育ちとして説明されています。また、3歳以上児については、試行錯誤をしながら考えを巡らせている時間を十分に認めないまま、やるべきことだけを与えてしまうと、他者に追随して自分のやりたいことがもてなくなることのないようにしなければならない、とも述べられています。
年齢別の目安 早見表
| 年齢の目安 | 遊びの姿として見られやすいこと | 大人の立ち位置 |
|---|---|---|
| 0〜1歳ごろ | 手に触れたものをつかむ・眺める・口に入れるなど、探索そのものが遊び | 見える場所にいて、発見に「あったね」と共感する |
| 1〜2歳ごろ | 積む・並べる・出し入れなど、同じ動作を何度も繰り返す | 近くで見守り、危ないところだけ静かに調整する |
| 2〜3歳ごろ | 見立てが始まり、ひとりでつぶやきながら遊ぶ時間が出てくる | 遊びの世界を壊さない距離で見ている |
| 3〜4歳ごろ | ごっこ遊びが広がり、続く時間が伸びてくることもある | 誘われたら役をもらう程度に参加する |
| 4〜6歳ごろ | 目的をもって作る、友だちとイメージを共有して遊ぶ場面が増える | 試行錯誤の時間そのものを確保する |
年齢はあくまで目安で、この領域は特に個人差が大きい部分です。同じ年齢でも、集中して遊ぶ時間の長さも、ひとりを好むかどうかも、子どもによってかなり違います。
最初から友だちと一緒に遊べなくても珍しくない
1〜3歳ごろに「同じ部屋にいるのに一緒に遊んでいない」「隣で似たようなことをしているだけ」という姿は、珍しいことではありません。
保育所保育指針解説でも、この時期には、同じものに興味を示した子ども同士でものを介したやり取りが生じたり、近くにいる子ども同士が同じ表情や動作をして互いに顔を見合わせて笑ったりする様子が見られること、そして他の子どもとの関わり方は保育士等の仲立ちによって少しずつ身についていくことが説明されています。関わりは、こうしたやり取りを重ねながら少しずつ広がっていくものと考えられます。ただし、一緒に遊んでいるかどうかだけで社会性の育ちを判断できるものではありません。ほかの場面でも気になる様子が重なるときは、健診やかかりつけ医で相談してみてください。
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「ひとりで遊べない」は愛着不足ではない
「後追いがひどい」「離れると泣く」ことを、親の関わりが足りないせいだと受け止めてしまう保護者は少なくありません。ですが保育所保育指針解説は、この順序をむしろ逆に説明しています。
保育所保育指針解説には、困ったことや怖いことがあったときに慰めたり助けたりしてくれる「安全基地」のような存在として信頼を寄せる保育士等が近くにいることで、子どもの情緒は安定し、好奇心をもって周囲の人やものに関わってみようとする、と書かれています。安心できる相手がいるからこそ探索が広がる、という捉え方です。
厚生労働省「保育所保育指針解説」(平成30年2月・こども家庭庁公開)分割[2]の「1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」領域「環境」より。
メモ
つまり、いま「そばにいて」と求めてくる姿は、安心の土台を確認している最中とも考えられます。無理に離す練習をするより、安心を先に満たすほうが結果的に遊びが広がりやすい、という順番で考えてみてください。
環境づくりでできること
関わり方を変える前に、環境を整えるだけで変わることも多くあります。なお、テレビを消す・生活リズムを整えるといった集中力全般の環境づくりは、冒頭で紹介した集中力の記事にまとめています。ここでは「大人が入らなくても遊びが始まり、続くか」という観点に絞ります。
- 1
おもちゃを出しすぎない
床一面に出ていると、どれで遊ぶかを選べず、次々に手を出して終わってしまうことがあります。今日は数種類だけ、と絞って出してみましょう。 - 2
低い棚に、見えるように置く
保育所保育指針解説では、子ども一人一人の興味や発達過程に応じた遊具が、子どもから見えるように、手に取れるように用意されている環境が挙げられています。箱にまとめて詰め込むより、棚に並べて見えるほうが選びやすくなります。 - 3
遊ぶ場所を小さく区切る
同解説では、一人一人が充実して遊べるよう、コーナーを小さく分け、圧迫感が出ないよう背の低い安定した家具で仕切るといった配慮が示されています。家庭でもマット1枚分など、落ち着ける範囲を決めるだけで違ってきます。 - 4
定期的に入れ替える
全部を出しておかず、一部をしまって数週間後に出すと、同じおもちゃでも新鮮に遊べることがあります。 - 5
遊びの時間をぶつ切りにしない
同解説では、子どもがじっくりとものと関わり、気づきや発見の喜びを経験するためには時間がしっかり確保されていることも重要だとされています。夢中になっているときは、予定が許すかぎり中断を後ろにずらしてみましょう。
大人の関わり方の順番
ひとり遊びは「置いていく」ことでは始まりにくく、「一緒に始めて、静かに引く」ほうが続きやすい傾向があります。ほめ方・声かけの原則そのものは集中力の記事(冒頭にリンクしています)で扱っているため、ここでは「そばにいる状態から、そっと離れるまで」の順番だけを見ていきます。
- 1
始まりだけ一緒に入る
まず1〜2分、隣に座って一緒に触ります。子どもが自分のやり方を見つけ始めたら、それが引き際のサインです。 - 2
実況するだけの声かけに切り替える
「赤いのを乗せたね」「高くなってきた」など、していることをそのまま言葉にします。指示や質問攻めにしないのがポイントです。 - 3
姿は見える場所へ静かに移動する
背中を向けて立ち去るより、「ここで洗い物してるね」と行き先を伝えてから、視界に入る位置へ移ります。 - 4
途中で口を出しすぎない
「そうじゃなくてこうだよ」と正したくなっても、危険がなければ待ちます。うまくいかない時間も遊びの一部です。 - 5
結果より過程を認める
「上手」より「ずっと考えてたね」「自分で戻したね」と、取り組んでいた過程を言葉にします。
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やりがちなNG
注意
よかれと思ってしていることが、ひとり遊びを遠ざけてしまうことがあります。
- 常に相手をし続ける:呼ばれるたびに毎回すぐ入っていくと、遊びの主導権が大人側に移り、子どもが自分で次を決める機会が減ってしまいます。まずは目を向けて頷くだけで返す、という場面も作ってみましょう。
- 「ひとりで遊びなさい」と突き放す:安心を求めているときに拒まれると、かえって離れにくくなることがあります。断るのではなく「これが終わったら行くね」と見通しを伝えるほうが伝わります。
- 動画やテレビで置き換える:忙しい日に頼ることは悪いことではありません。ただ、ひとりの時間をいつも画面で埋めてしまうと、自分で遊びを見つける場面そのものが減っていきます。
- 「まだ遊んでるの」と急かす:集中しているところを毎回中断されると、遊びこむ体験が積み上がりにくくなります。
- 他の子と比べる:ひとり遊びの長さは子どもによって差が大きく、比較しても対策になりません。
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家事の合間の現実的な工夫
理想の環境を毎日は用意できません。現実的には、次のような割り切りが役に立ちます。
- 完全に離れず、同じ部屋の端で家事をする。姿が見えるだけで続く時間が伸びることがあります。
- 家事の前に3分だけ濃く関わる。呼ばれてから対応するより、先に満たしておくほうが結果的に早いことがあります。
- 遊びの選択肢を2つに絞って見せる。「どっちにする」と選ばせると、自分で決めた分だけ続きやすくなります。
- 台所に立つなら、隣で水や空き容器などを触らせる。火や刃物を使っていない場面に限り、誤飲にも注意してください。小麦粉を出すのは小麦アレルギーのない子に限り、粉が舞って吸い込まないよう少量ずつ扱います。
- 続かない日はあきらめる。毎日同じようにはいきません。
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気になるときの相談先
遊び方に極端な偏りが続く、名前を呼んでも反応が乏しい、ことばの育ちや他の場面でも気になることが重なる——そうしたときは、ひとりで判断せず相談してみてください。
1歳6か月児健診と3歳児健診は、身体発育や発達の面から重要な時期であることから自治体で実施が義務づけられている健診で、日々の育児の心配ごとを相談できる機会でもあります。健診のタイミングでなくても、市区町村への設置が進められているこども家庭センターは、妊産婦や子育て家庭、こどもからの相談に応じる窓口として案内されています。設置は市区町村の努力義務とされているため、お住まいの自治体にあるかどうかは確認が必要です。かかりつけの小児科でも構いません。
よくある質問
ひとり遊びは何分続けば普通ですか?
1歳半ですが、まったくひとりで遊びません。愛着に問題があるのでしょうか?
おもちゃがたくさんあるのに、すぐ飽きてしまいます
遊んでいるときに話しかけていいのでしょうか?
きょうだいがいると、ひとり遊びになりません
保育園ではひとりで遊んでいるのに、家では離れません
まとめ
ひとり遊びは、大人から離す訓練ではなく、安心できる関係のなかで少しずつ広がっていくものです。時間の長さを競う必要はありません。おもちゃを絞り、見えるように置き、夢中の時間を邪魔しない。そして始まりだけ一緒に入って、静かに引く。この積み重ねが、自分で決めて試す時間を増やしていきます。
ひとり遊びを支える チェックリスト
- 床に出ているおもちゃの数を絞り、低い場所に見えるように置いている
- 夢中になっているときに、予定で中断しすぎていないか見直している
- 始まりだけ一緒に入り、実況の声かけに切り替えてから離れている
- 「ひとりで遊びなさい」と突き放す代わりに、見通しを言葉で伝えている
- 気になる様子が続くときの相談先(健診・こども家庭センター・かかりつけ医)を把握している
今日は5分だった、という日でも十分です。その5分は、子どもが自分で選んで試した時間です。
出典・参考
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