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鉛筆の正しい持ち方の教え方|3〜6歳の握り方の発達段階と、遊びで身につく練習ステップ・補助具の使い方

対象の目安: 3〜6歳ごろ

サキ・知育・あそび担当
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鉛筆の正しい持ち方の教え方|3〜6歳の握り方の発達段階と、遊びで身につく練習ステップ・補助具の使い方

「鉛筆をグーで握って書いている。直したほうがいい?」「正しい持ち方を教えたら、書くこと自体を嫌がるようになった」。ひらがなに興味が出てくる3〜6歳ごろ、鉛筆の持ち方は多くの家庭で気になり始めるテーマです。結論から言うと、持ち方は手の発達に合わせて段階的に変わっていくもので、時期が来る前に形だけ整えても定着しにくく、無理強いは逆効果になりやすいとされています。この記事では、握り方の発達段階の目安、三本指の持ち方の中身、家庭でできる練習ステップ、姿勢と机・椅子、癖がついたときの考え方を、作業療法や書写教育の資料と文部科学省の学習指導要領をもとに整理しました。

鉛筆の握り方の発達段階|年齢の目安早見表

子どもの鉛筆の持ち方は、教えて変わる部分と、手の発達に伴って自然に変わる部分があります。作業療法の分野では、握り方の変化を次のような段階でとらえています。富山県射水市が公開している「生活動作を促すサポート集」では、箸の持ち方に向けた手の発達段階として4つの握り方と年齢の目安が示されており、同じ段階が鉛筆の持ち方にも当てはまるとされています。

発達段階年齢の目安(個人差あり)手の使い方家庭でのかかわり
手掌回内握り1〜1歳半ごろ手のひら全体でグーに握る。肩と肘の動きで描く太いクレヨンでなぐりがきを楽しむ時期。持ち方は気にしない
手指回内握り2〜3歳ごろ親指と人差し指が伸びる持ち方。小指側で軸を固定し、親指側の指で操作するクレヨンや太い色鉛筆でお絵かき。指先を使う遊びを増やす
静的三指握り3歳半〜4歳ごろ親指と人差し指の腹、中指の側面の三本で支える。指は伸び気味で、手首を動かして描く短くて太い鉛筆に触れる。線なぞりや迷路を遊びで
動的三指握り4歳半〜6歳ごろ指全体を軽く曲げて持ち、指の動きで細かい線が描けるひらがなに興味が出たら、持ち方の要点を少しずつ伝える

4つの発達段階の名称と年齢の目安(手掌回内握り1〜1.5歳、手指回内握り2〜3歳、静的三指握り3.5〜4歳、動的三指握り4.5〜6歳)は、射水市「生活動作を促すサポート集」の「正しい箸の持ち方」の項を参照しています(静的三指握りや動的三指握りが鉛筆で可能かを箸の練習の目安にする、という位置づけです)。同ページは「無理強いするとそれまでできていたことができなくなったり、それ自体が嫌になったりしてしまうことがあります」と注意しています。

各段階の手や指の使い方(肩と肘の動き、小指側で固定して親指側で操作、親指と人差し指の腹と中指の側面で支える、指全体を軽く曲げて指の動きで描く)は、どんぐり発達クリニックの作業療法士による解説を参照しています。

見分け方のポイント

わが子がどの段階にいるかは、描いているときに「どこが動いているか」を見ると分かりやすくなります。腕全体が大きく動いていれば手のひらで握る段階、手首がよく動いていれば静的三指握り、手首はあまり動かず指先が伸び縮みしていれば動的三指握りに近づいています。

年齢の数字はあくまで目安です。同じ4歳でも、指先の遊びの経験や手の大きさによって幅があります。前の段階の持ち方をしていても「遅れている」わけではなく、まだ準備の途中と考えて大丈夫です。

いつから教える?|無理強いしない理由

文字の学習は小学校から始まる

文部科学省の小学校学習指導要領解説国語編は、書写について「文字のまとまった学習は、小学校入学を期に始まる」と述べ、その基礎となる事項として「姿勢」「筆記具の持ち方」「点画や一文字の書き方」「筆順」を挙げています。つまり、持ち方を含む書き方の基礎は、学校で系統的に学ぶことが前提になっています。

一方で、家庭ではもっと早くから鉛筆やクレヨンを持ちます。広島大学の藤木大介さんらの研究(2026年)も、日本では正式な書字の指導は就学後に始まるが、子どもは幼児期から書き始めるため、筆記具の持ち方はさまざまになり、小学校での指導が難しくなっていると指摘しています。

「文字のまとまった学習は、小学校入学を期に始まる」と、基礎となる事項の並びは、小学校学習指導要領(平成29年告示)解説国語編の「書写」の項を参照しています。

正式な書字指導は就学後に始まるが幼児期から書き始めるため持ち方がさまざまになるという指摘は、藤木大介・谷口麻衣香・松本仁志「幼児の書字の際の筆記具の特性が把持及び筆圧,字形に及ぼす影響」(基礎心理学研究44巻2号、2026年)の抄録を参照しています。

始めどきのサイン

「何歳になったら」よりも、手の準備が整っているかを見るほうが確実です。射水市のサポート集では、確認しておきたい基本動作として次の3つが挙げられています。

  • 鉛筆やスプーンを3本の指で持てるか
  • 親指と人差し指で丸が作れるか
  • じゃんけんのチョキができるか

この3つが無理なくできていて、子ども自身が文字や線を書きたがっているなら、持ち方の要点を少しずつ伝え始めてよい時期です。逆に、まだグーで握っている子に指の形だけを教えると、書くこと自体が嫌になりやすいので、先に指先の遊びを増やしましょう。

クレヨン・お箸との関係

クレヨンは太くて短く、握ったままでも色が出るので、持ち方を気にせず楽しんでかまいません。鉛筆に移る前の「線を引くのが楽しい」経験をたっぷり積める道具です。

お箸は、鉛筆よりも発達が遅い道具です。小中学生を対象にした立屋敷かおるさんらの研究(2005年)では、箸の持ち方は鉛筆の持ち方より発達が遅く、多くの生徒が従来型の持ち方に到達する年齢は少なくとも15歳以上と考えられると報告されています。「鉛筆は持てるのにお箸はまだ」という状態はごく自然なので、両方を同時に直そうとしないほうが無理がありません。

箸の持ち方の発達が鉛筆より遅く、従来型に到達する年齢は少なくとも15歳以上とされることは、立屋敷かおる・山岸好子・今泉和彦「小中学生における箸の持ち方と鉛筆の持ち方との関連」(日本調理科学会誌38巻4号、2005年)の抄録を参照しています。

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「正しい持ち方」とは何か

三本の指と軸の角度

学習指導要領解説国語編は、筆記具の持ち方を正しくするには「人差し指と親指と中指の位置、手首の状態や鉛筆の軸の角度などを適切にすることが必要」としています。書写教育を研究する上越教育大学の押木秀樹さんは、書写教科書36冊と市販図書17種の図や記述を分析し、典型とされる持ち方の特徴を次のように整理しています。

見るところ典型とされる持ち方
親指第一関節より先の中央部が軸に当たる
人差し指第一関節より先の中央部が軸に当たり、さらに第3関節と第2関節の間にも軸が乗る
中指側面で軸を支える
指の位置関係人差し指は鉛筆の先端部(削り際のやや上)、親指はそれより先端から離れた位置
軸の角度前方から見て20度程度、側方から見て60〜70度程度
残りの指中指・薬指・小指をそろえて軽く丸め、小指が机に接する

典型とされる持ち方の特徴(親指と人差し指の当たる位置、指の位置関係、角度、机に接する指)は、押木秀樹「持ち方の諸問題」(上越教育大学の講義資料)を参照しています。同資料では中指は指名のみで当て方の記述がないため、「側面で支える」はどんぐり発達クリニックの作業療法士の解説(親指と人差し指の腹、中指の側面で支える)によっています。同資料は「正しい持ち方」に代えて「望ましい持ち方」という考え方も紹介しています。

子どもに伝えるときは、この表をそのまま説明するのではなく、「親指と人差し指で軸をつまんで、中指の横に乗せる」「削ったところの少し上を持つ」「鉛筆は少し寝かせる」の3点に絞ると伝わりやすくなります。

なぜその形がよいのか|筆先が見えること

押木さんは、持ち方の善し悪しを「鉛筆の先が見えるかどうか」で説明しています。望ましくない持ち方では、正しい姿勢をとると筆先が自分の指に隠れて見えなくなり、子どもは見えるようにするために上体を左に傾けたり、脇を開いてノートを傾けたりします。学習指導要領解説にも、正面から筆先が見えない持ち方の児童は横から紙面をのぞき込む姿勢になると書かれています。

つまり、持ち方の目的は「形をきれいにすること」ではなく、「書いている先が見えて、楽に長く書けること」です。この視点があると、細かい指の角度よりも「先が見えているか」「手が疲れていないか」を家庭の判断基準にできます。

筆先が見えるかどうかという考え方、筆先を見るために上体を左に傾ける・脇を開いてノートを傾ける対応は、押木秀樹「筆記具の持ち方と姿勢(Web用)」(上越教育大学)を参照しています。

メモ

押木さんの資料には「正しい持ち方でなくても書ける」「他の持ち方は間違いなのか」という問題提起もあり、ベストな形だけでなく、そこに至る途中のベターな持ち方も認める「望ましい持ち方」という考え方が紹介されています。家庭でも、完成形との差を数えるより、今の持ち方で困っていないかを見るほうが現実的です。

家庭でできる練習ステップ

持ち方は「教える」より「その形になりやすい状況をつくる」ほうが定着しやすい、というのが作業療法や書写教育の資料に共通する考え方です。次の順番で、遊びの延長として進めてみてください。

  1. 1

    指先の力と感覚を育てる遊びを増やす

    洗濯ばさみをつまんで紙や布につける、粘土をちぎる・丸める、紙を指先で破る、ミカンの皮をむく、貯金箱にコインを入れる、プチプチをつぶす。どれも親指と人差し指の先を使う遊びです。射水市の資料では、一般の洗濯ばさみは開閉に大きな力がいるので、小さな力でも開閉できる木製クリップから始めてもよいとされています。
  2. 2

    短くて太い三角軸の鉛筆を用意する

    幼児向けに、短めで太い三角軸の鉛筆が市販されています。トンボ鉛筆の「Yo-i おけいこえんぴつセット6B」は、小さな手に合う短めサイズ、太めの三角軸、芯径4ミリの6B芯で、持つ指の目印が付いた右手・左手兼用の製品です。長い鉛筆は重心が手から遠くなり、小さな手では握り込みやすくなるため、短い鉛筆や短くなった鉛筆のほうが三本指の形をとりやすくなります。
  3. 3

    「つまんで乗せる」を遊びで確認する

    鉛筆を机に置き、親指と人差し指の先でつまんで持ち上げ、中指の横に乗せる。これを「鉛筆さんを起こしてあげる」など遊びの言葉にして、1日1回だけ確認します。指の目印付きの鉛筆なら、目印に指を合わせるだけで形が作れます。
  4. 4

    輪ゴムで目印をつける

    押木さんが紹介している方法です。輪ゴムを鉛筆に二重に巻き、人差し指を通してから鉛筆を持つと、ゴムに引かれて自然に三方向からつまむ形になります。きつすぎて指が青くならないよう注意し、親指の位置だけは大人が見て直します。親指の当たる位置に問題がある持ち方には効果が薄いこと、鉛筆の角度が立ちすぎることがあることも同資料に書かれています。
  5. 5

    線遊び・迷路でたくさん動かす

    持ち方が整ったら、ぐるぐる線、波線、太い道の迷路など、失敗のない課題で手を動かす量を増やします。文字はその先です。5〜10分で切り上げ、「今日は先が見えていたね」と持ち方ではなく結果を言葉にします。

紙を指先で破る・ミカンをむく・コイン入れ・洗濯ばさみ・プチプチつぶしなどの活動例は、ヴィストカレッジの作業療法士・特別支援教育士による「鉛筆の持ち方や操作が気になる子どもたちの支援①-活動編-」を参照しています。

短めサイズ・太めの三角軸・芯径4ミリの6B芯・持つ指の目印・右手左手兼用という仕様は、トンボ鉛筆「Yo-i おけいこえんぴつセット6B」の製品ページを参照しています。特定の製品を推奨するものではなく、同様の仕様の製品は他社からも発売されています。

輪ゴムを二重に巻いて人差し指を通す方法と、その注意点(親指の位置は直りにくい、角度が立ちすぎることがある)、三角軸鉛筆の考え方は、押木秀樹「筆記具の持ち方を改善する方法について」(上越教育大学)を参照しています。

ヒント

鉛筆削りにも落とし穴があります。押木さんは、電動の鉛筆削りは削る角度が浅く、削った部分が長くなるため、小さな子は削った箇所を持たざるを得ず無理な持ち方になることがあると指摘し、急な角度で削れる手動の削り器のほうがよいかもしれない、と述べています(調査・研究中で断定はしていません)。幼児用の三角鉛筆には専用の削り器が付属していることが多いので、まずはそれを使いましょう。

補助具・道具は「補助」と考える

市販の持ち方補助具(グリップ)や三角軸、濃い芯の鉛筆は、形を作る手がかりとしては役立ちますが、道具を替えただけで持ち方が定着するわけではありません。藤木さんらの研究(2026年)では、軸の形や芯のやわらかさが違う鉛筆とフェルトペンを幼児に使わせて比べたところ、筆記具の違いで持ち方は有意には変わらず、やわらかい芯ではむしろ筆圧が上がり、軸の形は持ち方・筆圧・正確さに有意な影響を与えなかったと報告されています。研究者は、日常の筆記具を変えることで持ち方や筆圧を直すのは現実的でないと結論づけています。

これは「三角鉛筆や6Bは無意味」という意味ではありません。線がはっきり出て達成感を得やすい、短くて持ちやすいといった利点はあります。ただ、持ち方そのものは、指先の力と感覚が育ち、本人が「先が見えるほうが書きやすい」と感じることで定着していくものだと考えておくと、道具に期待しすぎずにすみます。

筆記具の違いで把持は有意に変わらなかったこと、やわらかい芯で筆圧が増加したこと、軸の形が把持・筆圧・正確さに有意な影響を与えなかったこと、筆記具の変更で把持や筆圧を修正するのは現実的でないという結論は、前掲の藤木ほか(2026年)の抄録を参照しています。

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姿勢と机・椅子の高さ

持ち方と姿勢は切り離せません。学習指導要領解説は、姿勢を「文字を書くときの体の構え」とし、背筋を伸ばした状態で体を安定させ、書く位置と目の距離を適度に取り、筆記具を持ったときに筆先が見えるようにすることが重要だとしています。そして、筆先が見えない持ち方の児童に「背筋を伸ばす」という指導だけを加えると、筆先を見ずに書くことになるため、持ち方と姿勢の関連を考えて指導することが大切だと述べています。

家庭で確認したいのは、机と椅子が体に合っているかです。学校用の机・椅子の規格であるJIS S 1021:2011の附属書Aには、机と椅子が児童・生徒に適合しているかを評価する項目として、次のようなものが挙げられています。

  • 靴を履いた足が床にぴったり着いている
  • 座面の前の部分で、座面と太ももの間に圧迫がない
  • 机の高さは、上腕をまっすぐ下に伸ばした状態で、肘の位置が机面の先端高さとほぼ同じ位置にくる
  • 背もたれが腰と肩甲骨の下の部分で背中を支える

学校用の規格ですが、家庭のダイニングテーブルや子ども机でも見るところは同じです。足がぶらぶらしていれば足置きや踏み台を、机が高すぎて肩が上がっていれば座面を上げる、というように、体の側ではなく家具の側を合わせます。

机と椅子の適合を評価する項目(足が床に着く、座面前部に圧迫がない、肘の位置が机面の先端高さとほぼ同じ、背もたれが腰と肩甲骨の下を支える)は、JIS S 1021:2011「学校用家具―教室用机・椅子」附属書Aを参照しています。

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癖がついたときの直し方と、直さなくてよい範囲

直すかどうかの判断基準

すでに独特の持ち方が定着している子も多いでしょう。押木さんの資料には、大学生50名を調べたところ、いわゆる正しい持ち方をしている学生は1名もいなかったという調査結果が紹介されています。それでも大学生は字が書けています。持ち方は「絶対に直さなければならないもの」ではなく、困りごとがあるかどうかで考えるのが現実的です。

家庭で直すことを検討したいのは、次のような場合です。

  • 正面から見て鉛筆の先が指に隠れ、横からのぞき込む・上体を傾けるなど姿勢に影響が出ている
  • 少し書いただけで手が疲れる、痛がる
  • 力が入りすぎて紙が破れる、または薄すぎて線が見えない
  • 本人が「書きにくい」と感じている

逆に、三本指の形が教科書どおりでなくても、筆先が見えていて、疲れず、本人が困っていないなら、幼児のうちに急いで直す必要はありません。押木さんも、一度ついた癖を直すのは容易ではなく、矯正の期間中は子どもも書きにくくてしょうがないはずで、どこまで直させるかは現在のところ個々の教師の判断による、と学校の先生に向けて述べています。家庭でも同じ考え方で、困りごとの有無を基準にすれば十分です。

大学生50名を調査して正しい持ち方の学生は1名もいなかったという結果、癖を直すのは容易ではないこと、矯正の期間中は子どもも書きにくいこと、どこまで直させるかは個々の教師の判断によるという記述は、前掲の押木秀樹「筆記具の持ち方と姿勢(Web用)」を参照しています。

直すときのコツ

  1. 1

    書く量が少ない場面だけで直す

    宿題やワークの最中に直すと、書く内容と持ち方の両方に注意を向けることになり負担が大きくなります。お絵かきや線遊びなど、失敗してもよい場面で短時間だけ確認します。
  2. 2

    道具を替えて形を作りやすくする

    短い鉛筆、三角軸、指の目印、輪ゴムなど、前の章の環境づくりに戻ります。長い鉛筆を使っているなら短いものに替えるだけで変わることもあります。
  3. 3

    「先が見えるように持ってごらん」と伝える

    指の形を細かく指示するより、目的を伝えるほうが子どもは自分で調整できます。押木さんの資料でも、望ましくない持ち方の生徒に「筆記具のもっと上を持って、先が見えるようにして書いてごらん」と助言したところ上体の傾きが直ったという教員の報告が紹介されています。
  4. 4

    戻っても責めない

    集中すると元の持ち方に戻るのは自然なことです。気づいたときにそっと直す程度にとどめ、1回の練習は数分で終えます。

左利きの子は、書いた文字を手が隠しやすいなど右利きとは違う困りごとがあります。持ち方を右利きに合わせて矯正するのではなく、紙の角度などで工夫するのが基本です。

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小学校入学との関係

小学校学習指導要領(平成29年告示)の国語では、第1学年及び第2学年の〔知識及び技能〕に書写に関する事項として「姿勢や筆記具の持ち方を正しくして書くこと」が示されています。解説では、筆圧は筆記具を握る力と連動することが多いため、点画の書き方の指導でもこの事項との関連を図る配慮が必要だとされています。

つまり、持ち方は小学1・2年生の授業で扱う内容であり、入学前に完成させておくことは求められていません。家庭での目標は、「入学時点で完璧な持ち方」ではなく、指先で鉛筆を動かせる手が育っていること、そして鉛筆を持って書くことを嫌いになっていないことです。ひらがなの練習も、書き順や形の前に、文字に興味を持つことから始めれば十分です。

「姿勢や筆記具の持ち方を正しくして書くこと」は、小学校学習指導要領(平成29年告示)国語の第1学年及び第2学年〔知識及び技能〕(3)ウ(ア)の記述です。

姿勢の定義、三本の指の位置・手首の状態・軸の角度、持ち方と姿勢の関連、筆圧が握る力と連動するという記述は、小学校学習指導要領(平成29年告示)解説国語編の第1学年及び第2学年の書写の項を参照しています。

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つまずきと声かけ

「正しい持ち方を教えると、その場では直るのに、次の日にはグーに戻っている。何度言えばいいのか」という声はとても多く聞かれます。
4歳児の保護者

戻るのは、まだ指先で軸を支える力と感覚が追いついていないサインであることが多いです。指の形を繰り返し言うより、洗濯ばさみや粘土など指先を使う遊びを増やし、短い鉛筆に替えて、1日1回「つまんで乗せる」を一緒にやる程度に減らしたほうが、結果的に定着しやすくなります。

「園でひらがなを書き始めたのに、持ち方が独特で字が汚い。入学までに直さないとまずいのでは」という相談もよくあります。
5歳児の保護者

持ち方は小学1・2年生の授業で扱う内容で、入学前に完成している必要はありません。筆先が見えていて手が疲れていなければ、まずは書く楽しさを優先しましょう。姿勢が崩れる・すぐ疲れるといった困りごとがある場合は、道具の工夫と「先が見えるように」の声かけから、短時間ずつ試してみてください。

なお、5〜6歳になっても手のひら全体で握る持ち方から変わらない、指先を使う遊び全般を極端に嫌がる、力の加減が難しく道具をよく落とすなど、鉛筆以外でも気になることが続く場合は、園の先生や自治体の子育て相談窓口、発達相談の窓口に相談してみてください。自治体によっては、神奈川県大和市のように「手先が不器用」といった相談例を挙げ、作業療法士を含む専門スタッフが就学前の子どもの発達相談を受けているところもあります。

相談員、心理士、言語聴覚士、保育士、理学療法士、作業療法士などの専門スタッフが乳児から就学前までの発達相談を行い、相談の例に「身体の動きがぎこちない、手先が不器用」が挙げられていることは、大和市「子どもの発達相談支援」のページを参照しています。

よくある質問

鉛筆の持ち方は何歳から教えればいいですか?
年齢より手の準備で判断します。鉛筆やスプーンを3本の指で持てる、親指と人差し指で丸が作れる、じゃんけんのチョキができる、が目安です。作業療法の資料では、三本指で持ち指先で動かす動的三指握りの目安は4歳半〜6歳ごろとされており、それより前は指先遊びで手を育てる時期と考えて大丈夫です。
グーで握っています。今すぐ直すべきですか?
1〜3歳ごろなら発達段階として自然な持ち方です。4歳を過ぎても続く場合も、まず洗濯ばさみや粘土など指先の遊びを増やし、短くて太い三角軸の鉛筆に替えて様子を見ましょう。形だけ直すと書くこと自体を嫌がりやすくなります。
持ち方補助具(グリップ)は使ったほうがいいですか?
指を置く位置の手がかりとしては役立ちますが、道具を替えるだけで持ち方が定着するわけではないと示した研究もあります。輪ゴムや指の目印付き鉛筆と同じく、あくまで補助と考え、指先の遊びと短時間の確認を組み合わせてください。
6Bなど濃い鉛筆のほうがいいのはなぜですか?
軽い力でもはっきり線が出て、書けた実感を得やすいからです。ただし、幼児を対象にした研究では、やわらかい芯で筆圧が下がるのではなく上がったという結果も報告されており、筆圧を直す目的で選ぶものではありません。線が見えて楽しい、という入口として使いましょう。
お箸の持ち方も一緒に直したほうがいいですか?
箸の持ち方は鉛筆より発達が遅く、従来型の持ち方に多くの子が到達するのは15歳以上とされる研究があります。同時に直そうとすると負担が大きいので、鉛筆と箸は別のものとして、それぞれ困っていることがあるかで考えてください。
入学までに正しい持ち方ができないと困りますか?
学習指導要領では、姿勢や筆記具の持ち方は小学1・2年生で扱う内容です。入学前に完成している必要はありません。筆先が見えていて、手が疲れず、書くことを嫌がっていなければ、そのまま入学して学校の指導を受けて大丈夫です。

まとめ

鉛筆の持ち方は、手のひらで握る段階から三本指で指先を動かす段階へと、手の発達に合わせて変わっていきます。教えるべきは指の角度そのものではなく、「先が見えて楽に書ける」状態です。指先を使う遊びを増やし、短くて太い鉛筆や輪ゴムの目印で形をとりやすくし、短時間ずつ確認する。この積み重ねが、入学後の書写の学習にも自然につながります。

今日からできる持ち方サポート

  • 鉛筆やスプーンを3本指で持てるか、チョキができるかを見てみる
  • 洗濯ばさみ・粘土・紙ちぎりなど、親指と人差し指の先を使う遊びを1つ増やす
  • 長い鉛筆を、短くて太い三角軸の鉛筆に替える(専用の削り器を使う)
  • 「つまんで中指に乗せる」を1日1回、遊びの言葉で確認する
  • 書いているとき、正面から鉛筆の先が見えているかをチェックする
  • 足が床(または足置き)に着き、肘が机の高さにあるかを確認する
  • 宿題やワークの最中には直さず、線遊びの場面で短時間だけ

はさみも、鉛筆と同じ三本指の動きを育てる道具です。持ち方の練習と並行して進めると、指先の力が両方に生きます。

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出典・参考

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