子どものはさみの練習|いつから始める?安全な教え方のステップと選び方
対象の目安: 2〜6歳ごろ

「はさみに興味を持ち始めたけれど、いつから使わせていい?」「けがが心配で、なかなか渡せない」——はさみは、指先の微細運動と集中力をぐんと伸ばしてくれる一方で、刃物ならではの心配もつきものです。この記事では、はさみに興味を持つ時期の目安と、安全に楽しく進める教え方のステップ、子ども用はさみの選び方を整理します。発達には個人差があるので、その子のペースに合わせて、あせらず一緒に進めていきましょう。
はさみに興味を持つ時期の目安
はさみを持ち始める時期は、一般に2歳半〜3歳ごろが目安とされることが多いですが、これはあくまで平均的な目安で、個人差がとても大きい部分です。スプーンやフォークで上手に食べられるようになり、親指と人差し指でものをつまむ動き(ピンチ把握)が育ってくると、はさみの開閉にも取り組みやすくなります。
大切なのは年齢そのものより、「子どもが興味を示したか」と「落ち着いて座っていられるか」です。子どもが「やってみたい」と言ったとき、あるいは大人が「やってみる?」と誘って乗ってきたときが、始めどきのサインになります。
| 発達の目安(個人差あり) | はさみでできること |
|---|---|
| 2歳前後 | 大人と一緒に握って開閉してみる |
| 2歳半〜3歳ごろ | 自分でグーパーして、1回で切れる細い紙を切る |
| 3〜4歳ごろ | 連続して切り進める・直線を切る |
| 4〜6歳ごろ | 曲線や丸・簡単な形を切り抜く |
メモ
上の表は一般的な目安です。同じ年齢でも得意・不得意には幅があります。まわりの子と比べて焦らず、その子が楽しめているかを優先してください。うまく進まないときは、いったん間を置いてまた誘えば大丈夫です。
始める前の準備と約束事
はさみは楽しい道具であると同時に、刃物です。使い始める前に、家庭でのルールを決めておくと安心です。
はさみを始める前のチェック
- 子ども用(刃先が丸く、手に合うサイズ)のはさみを用意した
- 座って使う・立ち歩かない、を約束した
- 刃や刃先は触らない、人に向けない、を伝えた
- 渡すときは刃を閉じ、持ち手側を相手に向けると決めた
- 使い終わったら決めた場所に片づける習慣にした
はさみを人に渡すときは、刃を閉じて自分が刃の側を持ち、持ち手(輪の側)を相手に向けて渡すのが基本です。この「渡し方」も最初に一緒に練習しておくと、けがの予防につながります。消費者庁も、刃物は保護者の目の届く場所で使い、使用後はきちんと片づけて子どもの手の届かない所に保管するよう呼びかけています。
教え方のステップ
いきなり形を切ろうとするとうまくいかず、はさみが嫌いになってしまうことも。次の順番で、小さな成功を積み重ねていきましょう。
- 1
1. グーパーで開閉に慣れる
まずは紙を切らず、はさみを持って「グー(閉じる)」「パー(開く)」を繰り返すだけの練習から。親指を上の輪に、人差し指と中指を下の輪に入れる持ち方を、手を添えて一緒に確かめます。「グー・パー」と声をかけながらリズムよく動かすと、開閉の感覚がつかめます。
- 2
2. 1回切り(チョキン)
はさみを一度閉じるだけで切り落とせる、細長く切った紙を用意します。幅1〜2cmほどの短冊なら、1回のグーで切り離せて達成感が得られます。切った紙が飛ぶのも楽しいポイント。色紙で作れば、そのまま貼り絵の材料になります。
- 3
3. 連続切り
少し長めの紙を、はさみを開閉しながら切り進めます。刃を最後まで閉じきらず、途中で開いてまた切る「連続の動き」を覚える段階です。もう一方の手で紙を送る協応もここで育ちます。最初は太めの直線ガイドがあると進みやすいです。
- 4
4. 直線を切る
太い直線を引いた紙を、線に沿って切ります。「線の上をゆっくり」と声をかけ、紙を持つ手を少しずつ回して刃の向きを調整することを教えます。速く切るより、線からはみ出さないことを楽しめるようにします。
- 5
5. 曲線・形を切り抜く
なだらかなカーブ、そして丸や三角などの形へ。曲線は「はさみを動かすより、紙を持つ手を回す」のがコツです。切り抜いた形で顔を作ったり、貼り絵にしたりすると、切ること自体が作品づくりにつながります。
ヒント
線は太めのマーカーで引くと、多少ずれても線の上を切れて成功しやすくなります。うまくいったら「線の上を切れたね」と具体的にほめると、次への意欲につながります。
親の関わり方
はさみは、そばで見守る大人の存在がとても大切な遊びです。
- 必ず隣に座り、手の動きを見ていられる状態で使わせます。ほかの家事をしながらの「ながら見守り」は避けましょう。
- 最初は大人が下から手を添え、開閉や紙を送る動きを一緒に体験します。慣れてきたら少しずつ手を離します。
- 紙を持つ「もう一方の手」を、刃の進む先に置かないよう声をかけます。指を切るヒヤリの多くはここで起こります。
- きょうだいがいる家庭では、下の子が近づかない場所・タイミングで行い、使い終わったらすぐ片づけます。
こうした関わりは、消費者庁やこども家庭庁が示す「保護者の目の届く場所で使う」「使ったらすぐ片づける」という事故防止の考え方にも沿ったものです。
つまずきと声かけ
できなくても、決して急かさないことが続けるコツです。集中が切れたら5〜10分でおしまいにして構いません。「切れた」「線の上をいけた」という小さな成功を一緒に喜ぶことが、次のやる気を育てます。
はさみを使った工作あそび例
切ることに慣れてきたら、目的のある工作に広げると、はさみがぐっと楽しくなります。
- 短冊切りで作る「紙ふぶき」や「麺(うどん)ごっこ」。1回切りの練習にぴったりです。
- 色紙を自由に切って台紙に貼る「貼り絵」。のりと組み合わせて指先をたっぷり使えます。
- 折り紙を数回折ってから切り込みを入れて開く「切り紙」。左右対称の模様が現れる驚きが人気です。
- 雑誌やチラシから好きな写真を切り抜いて集める「コラージュ」。曲線切りの練習にもなります。
のりの使い方や工作あそびの広げ方は、指先を育てる遊びをまとめた あわせて読みたい 指先が器用になる遊び10選|1〜3歳の微細運動を育てる
子ども用はさみの選び方
道具が手に合っていないと、うまく切れずに嫌になってしまいます。次の点をチェックしましょう。
| 選ぶポイント | 見るところ |
|---|---|
| サイズ | 子どもの手に合った小ぶりのもの。輪に指が収まるか |
| 刃先 | 先が丸く加工されているとより安心 |
| 開閉 | バネ付きなど、軽い力で開閉できると練習しやすい |
| 利き手 | 左利きの子には左手用を。右手用を無理に使わせない |
| 素材・カバー | 刃にカバーが付き、片づけやすいもの |
注意
はさみは刃物です。子どもだけで使わせず、必ず大人が見守りましょう。使い終わったら、決めた場所(子どもの手の届かない所)へすぐに片づけます。カッターやキッチンのはさみ・包丁など、大人用の刃物も子どもの手が届かない所に保管してください。
よくある質問
はさみは何歳から使わせていいですか?
うまく切れず、開閉だけで終わってしまいます。
左利きの子には何を用意すればいいですか?
安全のために気をつけることは?
怖がってやりたがりません。
まとめ
はさみの練習は、「グーパーの開閉 -> 1回切り -> 連続切り -> 直線 -> 曲線・形」と、小さな成功を積み重ねていくのが上達の近道です。時期には個人差があるので、その子が興味を持ったタイミングで、安全の約束をしてから、大人がそばで見守って始めましょう。うまく切れた瞬間の得意げな顔は、指先の育ちと自信の証。あせらず、一緒に楽しんでください。
道具を使う練習という点では、スプーンや箸の進め方をまとめた あわせて読みたい スプーン・フォーク・お箸の練習|食具の進め方と持ち方の発達 あわせて読みたい はじめてのクレヨンの選び方|1〜3歳のお絵かきデビュー、安全素材・握りやすさ・落ちやすさで選ぶ
はさみなど刃物の事故防止(保護者の目の届く場所で使う・使用後はすぐ手の届かない所へ片づける等)は、消費者庁「子ども安全メール」の注意喚起を参考にしています。
刃物による「切る」事故の防止ポイントは、こども家庭庁「こどもの事故防止ハンドブック」を参考にしています。発達の目安には個人差があります。
出典・参考
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