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「ママがいい」とパパを拒否する時期|いわゆるパパイヤ期の理由と関わり直し方

対象の目安: 1〜4歳ごろ

カナデ発達・おでかけ担当
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「ママがいい」とパパを拒否する時期|いわゆるパパイヤ期の理由と関わり直し方

抱っこしようとすると体をそらせて「ママがいい」、お風呂もごはんも寝かしつけもママでないと泣く——ある時期から、パパが何をしても拒否されることがあります。パパは「嫌われたのかもしれない」と落ち込み、ママは「全部わたしに来る」と疲れてしまう。夫婦の間に小さなすれ違いが生まれやすい時期でもあります。この記事では、この現象がなぜ起こるのかを愛着(アタッチメント)の発達から整理し、時期の目安と個人差、やってはいけない対応、パパ側の関わり直し方、ママの負担を増やさない工夫までをまとめます。

「パパイヤ期」とは(まずは全体像)

「パパイヤ期」は、子どもがパパを避けて「ママがいい」と主張する時期を指して育児の場面で使われる通称です。医学用語でも発達心理学の専門用語でもなく、公的な資料に定義があるわけではありません。まずはこの点を押さえておくと、「うちの子は◯歳だから終わるはず」といった当てはめ方をせずにすみます。

項目よくある姿
目立ちやすい時期1歳前後から4歳ごろ(個人差がとても大きい)
拒否されやすい場面寝かしつけ、お風呂、着替え、抱っこ、泣いた直後
比較的受け入れられやすい場面機嫌のよい時間帯の遊び、外出先、ママが同じ空間にいるとき
背景にあるもの特定の大人との愛着の育ち、自己主張の芽生え、生活の中での接触量の差
期間数週間で落ち着く子もいれば、波を繰り返しながら年単位で続く子もいる

表の内容は、相談としてよく寄せられる姿を整理したものです。年齢や期間を断定できる公的な基準はありません。

なぜ起こるのか(愛着=拠りどころの発達)

1. 特定の人を「拠りどころ」にできるようになった

厚生労働省「保育所保育指針解説」(平成30年2月)は、乳児期において子どもが身近にいる特定の保育士等による愛情豊かで受容的・応答的な関わりを通して相手との間に愛着関係を形成し、これを拠りどころとして人に対する基本的信頼感を培っていくと説明しています(保育所の場面についての記述ですが、家庭の身近な大人との関係にも同じ考え方が当てはまります)。そして、特定の大人との愛着関係が育まれている現れとして、初めて会った人や知らない人に対して泣くなど、人見知りをするようになるとも述べています。

「この人なら安心」という相手がはっきりしてくると、不安なときにはその相手がいっそう強く求められます。パパを拒否する行動は、パパへの評価というより、「今いちばん確実に安心できる相手にしがみつきたい」という状態のあらわれと考えると理解しやすくなります(この整理は編集部によるものです)。

特定の保育士等との愛着関係の形成と、それを拠りどころに世界を広げていく過程、および人見知りに関する記述は、厚生労働省「保育所保育指針解説」(平成30年2月)によります。同解説が「初めて会った人や知らない人」と述べている範囲を、日常的に同居する家族へ広げた記述は同解説にはありません。

2. 愛着の対象は1人だけではない

「ママでなければダメ」という姿を見ると、愛着の相手は1人だけだと感じてしまいます。しかし同じ「保育所保育指針解説」は、保育所において子どもが特定の保育士等との間に愛着関係を形成し、その愛着を拠りどころにして少しずつ自分の世界を広げていくと記しています。家庭の外の大人との間にも、日々の応答的な関わりの積み重ねで愛着は育つということです。

研究の世界でも、対象を母親に限らない見方が広がっています。教育心理学年報の展望論文は、その総説の中で主要な愛着の対象として暗に母親を想定した研究を中心に概観したうえで、近年は父親や施設保育者との愛着関係の役割と、それがその後の個人の発達に及ぼす長期的な影響を精細に問おうとする動きが盛んになってきていると付言しています。また同論文は、児童期の子どもについて、状況に応じて異なる相手を安全基地として受け入れられるようになる一方、主要な愛着の対象は依然として養育者であることが圧倒的に多いという知見(Kerns, 2008)も紹介しています。

遠藤利彦「アタッチメント理論の現在」(教育心理学年報 第49巻・2010年)より、父親や施設保育者との愛着関係に関する研究動向についての付言、および状況に応じて異なる対象を安全基地として受け入れるという記述を参照しました。後者は同論文がKerns(2008)を引いて紹介している児童期(学齢期)に関する知見で、この記事が扱う1〜4歳ごろについての知見ではありません。

大事なのは、「パパは愛着の対象になれない」のではなく、「今は順位がはっきりしているだけ」という理解です。関わりを積み重ねる余地は残っています。

3. 自己主張の芽生えと重なる

1〜3歳ごろは、自分で選びたい・自分で決めたいという気持ちが強く出る時期でもあります。「ママがいい」は、愛着の問題であると同時に、はっきり言えるようになった自己主張の練習でもあります。いわゆるイヤイヤ期と重なると、拒否がより強く見えます。

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4. 単純に「一緒にいる時間」の差

働き方によっては、平日にパパが子どもと過ごす時間が短いこともあります。生活の細かなルール(コップの置き場所、寝るときの手順)を知っているのはママだけ、という状態だと、子どもは戸惑って「いつもの人」を呼びます。これは愛情の差ではなく情報量と手順の差です。ここは工夫で埋められる部分です。

いつごろ・どのくらい続く?

目立ちやすいのは1歳前後から4歳ごろですが、時期・強さ・続く長さのいずれにも大きな幅があります。数週間で自然に落ち着く子もいれば、いったん収まってから体調不良や環境の変化(入園、きょうだいの誕生、引っ越し)をきっかけに再燃する子もいます。

「昨日までパパとお風呂に入れていたのに、急に泣いて嫌がるようになった。何かしてしまったのかと落ち込む」という相談はとても多く聞かれます。きっかけがはっきりしないことも珍しくありません。
2歳児の保護者

不安定になりやすい出来事が重なった時期は、子どもがいちばん確実な相手に戻ろうとしやすくなります。「戻った」のではなく「今は充電中」と捉えると、大人の側も消耗しにくくなります。

やってはいけない対応

注意

泣いて嫌がる子を無理やり引き離してパパに預ける、鍵をかけてママが姿を消す、といった強引な方法は避けてください。子どもにとっては安心の拠りどころを突然奪われる体験になり、かえって不安が強まって拒否が長引くことが心配されます(この見通しは編集部としての考え方です)。

厚生労働省「保育所保育指針解説」(平成30年2月)は、愛着の対象である特定の保育士等が視界の範囲内にいることで子どもの情緒は安定する、と述べています。上の注意は、この「安心の拠りどころ」と情緒の安定に関する記述をふまえた編集部の判断で、無理な引き離しが拒否を長引かせるかどうかを検証した資料に基づくものではありません。

  • 「パパでもいいでしょ」「なんでダメなの」と気持ちを否定する。まずは「ママがいいんだね」と、その気持ちをそのまま言葉にして受け止めます。
  • 「嫌われた」と受け取って育児から手を引く。接触が減るほど手順を知らない大人のままになり、拒否されやすさが固定してしまいます。
  • ママを責める(甘やかしすぎ、抱きすぎ)。愛着が育っているサインであって、ママの関わり方の失敗ではありません。
  • 子どもの前で「パパはいらないんだって」と冗談めかして言う。子どもは大人の言葉を思っている以上に拾っています。
  • 物やお菓子で気を引いて一時的に振り向かせる。習慣になると、パパとの時間が「ごほうびが出る時間」に置き換わってしまいます。

パパ側の関わり直し方

いきなり寝かしつけやお風呂といった難易度の高い場面から入ると、拒否されて双方が傷つきます。受け入れられやすいところから、短く・回数多く、が原則です。

  1. 1

    拒否されにくい場面を選ぶ

    機嫌のよい時間帯の遊び、外出先、食後のごろごろタイムなど、不安が小さい場面から。眠い・お腹が空いた・体調が悪いときは避けます。
  2. 2

    ママが同じ空間にいる状態で始める

    最初から2人きりにしない。ママが見えるところで一緒に遊び、徐々に距離を延ばします。「離れても戻ってくる」の練習と同じ考え方です。
  3. 3

    得意な遊びを1つ持つ

    ブロック、追いかけっこ、お風呂のシャボン玉など「パパとやると楽しいこと」を1つ確立します。数を増やすより、1つを繰り返すほうが定着します。
  4. 4

    生活の一部を固定で担当する

    送迎、寝る前の絵本1冊、朝の着替えなど、毎日同じ場面を担当します。手順を覚えるほど子どもの戸惑いが減り、パパでも成立する場面が増えます。
  5. 5

    拒否されたら引き下がる、を淡々と

    泣いたらいったんママに交代し、機嫌が直ったらまた声をかけます。粘って泣かせ続けるより、次のチャンスに回すほうが結果的に早く戻ります。

ヒント

子どもの気持ちを言葉にして返すのが近道です。「ママがよかったんだね。パパはここで待ってるね」と伝えるだけで、拒否は「否定された」ではなく「わかってもらえた」体験に変わります。拒否された事実をこちらが感情的に扱わないことが、次の一歩を軽くします。

父親の関わりの質そのものが子どもの育ちに関係しうることは、研究でも検討されています。休日の父子接触時間が長い家庭と短い家庭を比べた国内の調査(母子65組、子どもが1歳半〜2歳の時点)では、子どもの母親へのアタッチメント安定性と夫婦関係との関連が、接触時間の短い群では有意に示された一方、長い群では有意に示されませんでした。論文はその理由として、長い群の子どもは母親だけでなく父親の養育行動からも影響を受けている可能性を考察し、父親の子どもへの関与の質も重要であると推測しています。

福田佳織・宮下一博「子どものアタッチメント安定性と夫婦関係との関連——父子接触時間の長い家庭と短い家庭での相違」(千葉大学教育学部研究紀要 第54巻・2006年)の結果と考察より。測定されたのは子どもの「母親へのアタッチメント安定性」(アタッチメントQソート法)で、父子間の愛着を測ったものではありません。群分けの指標は休日の父子接触時間で、平日の父子接触時間には有意差がみられなかったと報告されています。対象は母子65組、子どもが1歳半〜2歳の時点の調査で、結論として断定されたものではなく示唆・推測として述べられています。

ママ側の負担をこれ以上増やさない

この時期にいちばん起こりやすい問題は、拒否をきっかけに育児がママに一極集中し、ワンオペ化することです。「子どもがママを求めるなら仕方ない」と役割を固定してしまうと、疲労がたまり、家庭全体の余裕が失われます。

  • 子どもへの直接の関わりが難しい場面は、パパが家事側に回る。食事の支度、片づけ、洗濯、上の子の相手など、代われる仕事は多くあります。
  • 「子どもと関わる=育児」だけではありません。ママが1人になれる時間を意識的につくることも育児の一部です。
  • 寝かしつけをママが担当する日は、その前後の準備と後片づけをパパが引き受けるなど、場面ごとに分担を決めます。
  • 大人の休息を後回しにしない。短時間でも交代で休む枠を、予定として先に確保します。
「拒否されるからと夫が引いてしまい、気づいたら全部自分がやっていた」という声はよくあります。関われる場面を家事側にずらすだけでも、負担のかたよりはかなり変わります。
4歳児と1歳児の保護者

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夫婦での受け止め方と声かけ例

拒否そのものより、それをきっかけに夫婦がぎくしゃくすることのほうが、子どもにとっては影響が大きくなりがちです。あらかじめ「そういう時期がある」と共有しておくと、落ち込みや責め合いを避けやすくなります。

場面避けたい言い方言い換えの例
子どもがパパを拒否した「なんでパパじゃダメなの」「今はママがいいんだね。パパはここにいるよ」
パパが落ち込んでいる「気にしすぎ」「今は時期だから。その代わり◯◯をお願いしていい?」
ママが限界に近い「代わろうか?(と言うだけ)」「今日は夕飯とお風呂の準備は全部やる。19時から30分休んで」
祖父母に説明する「パパが嫌いみたいで」「今はママを頼る時期なんです。少しずつ慣れていきます」

こども家庭庁は、配偶者の出産直後の男性の休暇取得を推進する「さんきゅうパパプロジェクト」を進めており、休暇を通じて働き方や生活を振り返り、出産後の育児や家事を考える機会にしてほしいと呼びかけています。早い段階から育児・家事に関わる機会を持てることは、こうした時期の関わり直しの土台にもなると編集部は考えています。

こども家庭庁「さんきゅうパパプロジェクト」の趣旨(配偶者の出産直後の男性の休暇取得促進)を参照しました。

保育園・祖父母など、第三者がいる場面

「うちの子は人見知りが強いのでは」と心配になったときは、家庭の外での様子を聞いてみると視野が広がります。保育所では、担任との間に愛着関係が育ち、それを拠りどころに活動を広げていく姿がよく見られます。家では「ママがいい」でも、園では別の大人を頼れているなら、拠りどころを複数持てる力が育っているということです。

祖父母には「嫌われている」と受け取られないよう、事前に説明しておくと関係が円滑になります。無理に抱っこを促さず、まずは同じ空間で遊びを見てもらうところから始めると、子どもの緊張がゆるみやすくなります。

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気になるときの相談先

メモ

拒否が強くて生活が回らない、パパやママの気持ちの落ち込みが続く、といったときは抱え込まずに相談してください。市区町村の「こども家庭センター」は、母子保健と児童福祉の機能を一体的に運営し、妊産婦・子育て家庭・こどもからの相談に切れ目なく対応する窓口で、児童福祉法により市町村に設置の努力義務が定められています。乳幼児健康診査は、こどもの健康状態を把握し、健康の保持や増進を図ることを目的に市町村が行うものですが、多くの自治体では保健師などに相談できる機会にもなっています。

こども家庭庁「こども家庭センター」の説明(母子保健機能と児童福祉機能の一体的な運営による包括的・継続的な支援、妊産婦・子育て家庭・こどもからの相談への対応)を参照しました。

設置の努力義務は児童福祉法第10条の2第1項「市町村は、こども家庭センターの設置に努めなければならない。」(e-Gov法令検索)によります。

乳幼児健診の目的(こどもの健康状態を把握し、健康の保持や増進を図る)と、母子保健法第12条・第13条に基づく実施は、こども家庭庁「乳幼児健診に関する取組み」によります。同ページに「発達や関わり方の相談ができる」という記載はなく、相談の機会にもなっているという部分は一般的な運用についての編集部の整理です。

また、目が合いにくい、名前を呼んでも反応が乏しい、特定の人への関心そのものが薄いなど、拒否とは質の違う気がかりがあるときは、自己判断で結論を出さず、乳幼児健診やかかりつけの小児科で相談すると安心です。

よくある質問

「パパイヤ期」はいつ終わりますか?
終わる時期を示す確立した基準はありません。数週間で落ち着く子もいれば、波を繰り返す子もいます。入園や体調不良、きょうだいの誕生など環境の変化をきっかけに再燃することもあります。時期で区切るより、関われる場面を少しずつ増やす発想のほうが現実的です。
パパは本当に嫌われているのでしょうか?
拒否はパパへの評価ではなく、不安なときに最も確実な相手を選ぶという愛着の働きによるものと考えられます。厚生労働省「保育所保育指針解説」では、特定の大人との愛着が育つあらわれとして、初めて会った人や知らない人に対して泣く(人見知り)姿が説明されています。身近な家族への「ママがいい」は同じ記述の対象ではありませんが、安心できる相手がはっきりしてくる過程という点では地続きの現象と考えられます(この解釈は編集部の整理です)。
泣いても押し切って慣れさせたほうが早いですか?
おすすめしません。無理に引き離すと不安が強まり、パパとの時間そのものが嫌な体験として記憶されやすくなります。泣いたらいったん交代し、機嫌のよいときに短く関わるほうが、結果的に受け入れられるまでが早くなります。
ママが甘やかしすぎたせいでしょうか?
違います。特定の大人を拠りどころにするのは発達の自然な過程で、関わり方の失敗ではありません。むしろ、応答的に関わってきた結果として愛着が育っているサインと捉えられます。
パパが単身赴任や夜勤で、関わる時間が短いときは?
時間の長さより、関われるときに同じ場面を繰り返すことが効きます。ビデオ通話で寝る前の絵本を読む、休日の朝ごはんは必ず担当する、といった固定の枠を1つ決めると、子どもにとって予測できる存在になります。
下の子が生まれてから急に強くなりました
赤ちゃん返りと重なっている可能性があります。ママを取られる不安から、いっそう強くママを求めることがあります。上の子と2人だけの時間を短くても定期的につくることが助けになります。
保育園ではパパのお迎えでも平気なのに、家では拒否します
よくある姿です。園という場面では気持ちが切り替わっていても、家では安心して甘えが出ます。園で大丈夫なら、パパとの関係そのものが築けていない、ということではありません。

まとめ

「ママがいい」は、子どもが誰かを心から頼れるようになった証であり、パパが否定された結果ではありません。この時期を、関わりを減らす方向ではなく、関わり方を組み替える機会にできると、その後の関係はぐっと楽になります。

今日からできること

  • 拒否されたら「ママがよかったんだね」と気持ちを言葉にして返す
  • 機嫌のよい時間帯の遊びから、短時間・高頻度で関わる
  • パパの担当を1つ固定する(送迎・寝る前の絵本・朝の着替えなど)
  • 直接関われない場面は家事側に回り、ママに一極集中させない
  • 夫婦で「今は時期」と共有し、責め合わない
  • 気がかりが続くときはこども家庭センターや乳幼児健診で相談する

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出典・参考

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