おたふくかぜワクチンの定期接種化はいつから?2027年度にもの見通し、1歳と就学前の2回で検討中|今は任意接種、待つべきかの考え方
対象の目安: 1歳〜小学校入学前の子の保護者(1歳前の赤ちゃんの保護者も)


「おたふくかぜのワクチンって、もうすぐ無料になるって本当?」「1歳になったけれど、定期接種になるまで待ったほうがいいの?」——今年の夏ごろから、こんな話題を耳にした方もいるのではないでしょうか。2026年7月22日、厚生労働省の専門家の小委員会で、おたふくかぜワクチンを定期接種に位置づける場合の接種年齢の案が議論され、報道では「2027年度にも定期接種となる見通し」と伝えられました。この記事では、国の審議会資料と日本小児科学会の資料をもとに、いま決まっていること・まだ決まっていないこと、待つか受けるかを考えるときのポイントを整理します。予防接種の判断は、かかりつけの小児科医と相談しながら進めてください。
おたふくかぜワクチンの定期接種化、いま決まっていること
まず結論から整理します。
| 項目 | 2026年10月時点の状況 |
|---|---|
| 現在の扱い | 任意接種(費用は原則自己負担。自治体によって助成あり) |
| 国の検討 | 2026年7月22日の小委員会で、定期接種にする場合の接種年齢などを議論 |
| 報道での見通し | 上部の部会で認められ正式決定すれば「2027年度にも定期接種」(共同通信) |
| 検討中の接種年齢(案) | 1期:生後12か月〜24か月 / 2期:小学校入学前の1年間 |
| 検討中のワクチン | MMRワクチン(3種混合)と、単独のおたふくかぜワクチンの両方を使えるようにする方向 |
| キャッチアップ接種 | 1期を逃して一度も接種していない子(2期の前)を対象にする案が示された段階 |
| 正式決定 | 予防接種基本方針部会での議論を経て決まる。開始日・対象者を定める正式な告示や通知は、記事公開時点で当サイトでは確認できていない |
7月22日の小委員会の資料では、論点として「おたふくかぜワクチンを定期接種に位置づける場合のプログラムは、第1期接種:生後12月から24月に至るまでの間にある者、第2期接種:小学校就学の始期に達する日の1年前の日から当該始期に達する日の前日までにある者を対象とすることについてどのように考えるか」が示されました。これは、いまのMR(麻しん風しん)ワクチンの定期接種と同じ年齢です。
報道によると、小委員会は効果・安全性・費用対効果を検討したうえで、定期接種化に「大きな懸念はない」との意見をまとめました。ただし、小委員会は主に科学的な観点から評価する場で、定期接種にするかどうかや具体的な運用は、上部の予防接種基本方針部会で議論される流れです。資料では、最速で2027年度(令和9年度)から定期接種化する予防接種を複数同時に検討していること、財政などの観点からすべてを2027年度に始めるのは適切でない可能性もあることにも触れられています。
注意
「2027年度から無料」は、まだ決定事項ではありません。開始時期、対象になる生年月日の範囲、キャッチアップ接種の有無は、今後の国の決定と、お住まいの市区町村からの案内で確認してください。
なぜ今、定期接種化が進んでいるの?
新しいMMRワクチンが2026年5月に承認された
日本では1989年4月から、麻しんの定期接種で希望者にMMRワクチンが使われていましたが、接種後の無菌性髄膜炎が問題となり、1993年4月に接種が見合わせられ、その後承認整理となりました。それ以降、おたふくかぜワクチンは単独のワクチンを任意接種で受ける形が続いてきました。
国の審議会は2013年の時点で、おたふくかぜの予防にワクチンは必要としつつ、「広く接種をするに当たっては、より高い安全性が期待できるワクチンの承認が前提」として新たなMMRワクチンの開発を求めていました。そして2026年5月11日、新しいMMRワクチン(ミムリット皮下注用)が製造販売承認され、国内で承認されているおたふくかぜ予防のワクチンは3種類になりました。
| ワクチン | 予防する病気 | 承認・販売の時期 |
|---|---|---|
| 乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン「第一三共」 | おたふくかぜ | 1982年5月 販売開始 |
| 乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン「タケダ」 | おたふくかぜ | 1983年1月 販売開始 |
| MMRワクチン(ミムリット皮下注用) | 麻しん・おたふくかぜ・風しん | 2026年5月 承認 |
単独ワクチンも使えるようにする方向
日本小児科学会は2026年6月の要望書で、MMRワクチンの早期の定期接種化を支持する一方、定期接種で使うワクチンをMMRだけに限ると供給元が実質的に限られ、これまでもMRワクチンやおたふくかぜワクチンで出荷停止や供給不足が繰り返されてきたことから、既存の単独おたふくかぜワクチンとMRワクチンの組み合わせでも定期接種を受けられるようにすることを求めました。7月の小委員会でも、MMRワクチンに加えて単独ワクチンを使えるようにし、安定供給を図るべきだという意見がまとめられたと報じられています。
おたふくかぜはどんな病気?合併症の頻度
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)は、ムンプスウイルスによる感染症です。国の資料では次のように説明されています。
- 潜伏期間は16〜18日(幅は12〜25日)
- 発熱と、耳の下(耳下腺)の腫れ・痛みで始まり、腫れは1〜3日でピーク、その後3〜7日かけて引いていく
- 唾液などの飛沫で感染し、感染力が強く、家族内や施設内で広がりやすい
- 特別な治療薬はなく、解熱鎮痛薬などの対症療法が中心
- 近年は報告数が少ないものの、以前は4〜5年ごとに全国規模の流行が起きていた。報告の約70%は7歳以下の子ども
心配なのは合併症です。
| 合併症 | 自然にかかった場合の頻度 |
|---|---|
| 無菌性髄膜炎 | 1〜10% |
| ムンプス脳炎 | 0.02〜0.5% |
| ムンプス難聴(片耳・両耳) | 0.01〜0.5% |
| 精巣炎 | 14〜35%(思春期以降) |
| 卵巣炎 | 5%(思春期以降) |
特に難聴は治りにくく、日本小児科学会は「不可逆的であり、長期にわたり大きな影響を及ぼします」としています。
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ワクチンの副反応はどのくらい?
単独のおたふくかぜワクチン
日本小児科学会とAMED研究班の全国調査では、接種後8週間を前向きに追跡できた44,708例のうち、無菌性髄膜炎は6例(疑い例2例を含む)で、10万接種あたり13.4(疑い例を除くと8.9)でした。6例はいずれも回復が確認されています。接種後に精巣炎、卵巣炎、難聴、急性膵炎の報告はありませんでした。
学会は、自然にかかった場合の合併症のリスクが、ワクチンの副反応のリスクを大きく上回ると考え、任意接種を推奨してきました。年齢の低い子のほうが、接種後の無菌性髄膜炎の頻度が低いという報告もあると国の資料にまとめられています。
新しいMMRワクチン
国内の臨床試験(計679例)では、接種後の無菌性髄膜炎は認められませんでした。一方で、1〜2歳での比較試験では、おたふくかぜに対する免疫のつき方について、単独ワクチンと比べた「非劣性」(劣らないこと)は示せなかったとされています。はしか・風しんに対しては、いまのMRワクチンと比べて非劣性でした。国の資料と学会は、導入後も効果や免疫の続き方、副反応を継続的に確認していく必要があるとしています。
全国調査の数値、MMRワクチンの臨床試験の結果は、厚生労働省 資料1-1「知見のまとめ」と資料1-2によります。
定期接種化を待つ?今受ける?考え方のポイント
いちばん迷うのがここだと思います。正解は家庭や子どもの状況によって違うため、判断材料を整理します。
- 1
子どもの今の月齢・年齢を確認する
検討中の案では、1期は生後12か月〜24か月です。たとえば2027年4月より前に2歳になる子は、仮に2027年度から定期接種が始まっても、1期の対象年齢を過ぎている可能性があります。キャッチアップ接種の案はありますが、実施するか、対象をどうするかは決まっていません。
- 2
待つ間のリスクを考える
定期接種が始まるまでの間にかかると、難聴などの合併症のおそれがあります。保育園・幼稚園に通っている、きょうだいがいるなど、感染の機会が多いかどうかも判断材料になります。
- 3
費用と助成を確認する
任意接種は原則自己負担です。費用は医療機関によって異なり、市区町村によっては助成があります。お住まいの自治体のサイトで「おたふくかぜ 予防接種 助成」を確認しましょう。
- 4
かかりつけの小児科医に相談する
MRワクチンの定期接種(1期・2期)のタイミングで、おたふくかぜワクチンを同時に受けることもできます。国の資料でも、生ワクチン同士の同時接種で効果が弱まったり安全性に影響したりするという知見はないとされています。
日本小児科学会は現在、任意接種として「1歳以降早期の1回目接種」と「小学校就学前1年間の2回目接種」を推奨しています。すでに任意接種で受けた場合に、定期接種が始まったあとどう扱われるか(たとえば2期の対象になるか)も、正式な制度が決まってから確認が必要です。
ヒント
迷ったら、1歳のMR(1期)の接種を予約するときに、おたふくかぜワクチンについても一緒に相談するのがおすすめです。接種歴は母子健康手帳に記録しておくと、定期接種化のあとにも確認しやすくなります。
かかってしまったら:登園・登校のめやす
おたふくかぜは、学校保健安全法施行規則で出席停止の対象になっています。期間の基準は「耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後五日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで」です。幼稚園は学校保健安全法の対象で、保育園も同様の考え方で登園のめやすを定めていることが多いため、園の決まりに従いましょう。
受診の際は、強い頭痛や繰り返す嘔吐、ぐったりしている、呼びかけへの反応が悪い、聞こえにくそうにしているなどの様子があれば、早めに医師に伝えてください。
出席停止の期間の基準は、学校保健安全法施行規則第19条によります。
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よくある質問
おたふくかぜワクチンは2027年4月から無料になりますか?
定期接種になったら、何歳で受けることになりますか?
定期接種化を待ってから受けたほうがいいですか?
MMRワクチンと単独のおたふくかぜワクチンはどちらがいいですか?
ワクチンを受けると難聴になることはありますか?
おたふくかぜにかかったら、いつから登園できますか?
まとめ
おたふくかぜワクチンで確認したいこと
- 今はまだ任意接種。「2027年度にも定期接種」は見通しで、正式決定ではない
- 検討中の案は1期=生後12〜24か月、2期=小学校入学前の1年間(MRと同じ時期)
- 子どもの生年月日から、2027年4月時点で1期の年齢に入るかを確認する
- お住まいの市区町村に、任意接種の助成があるか確認する
- MRワクチンの接種予約のときに、おたふくかぜワクチンもかかりつけ医に相談する
- 接種歴は母子健康手帳に記録しておく
- 国の正式決定と自治体の案内が出たら、対象年齢とキャッチアップ接種の有無を確認する
おたふくかぜワクチンの定期接種化は、長く「必要だけれど、より安全なワクチンを待つ」状態が続いてきたテーマで、MMRワクチンの承認によって大きく動き始めました。とはいえ、制度の開始時期はまだ決まっていません。わが子にとっていつ受けるのがよいか、気になったときがかかりつけ医に相談するタイミングです。
出典・参考
- 第35回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会(2026年7月22日)資料一覧/厚生労働省
- 資料1-1 おたふくかぜワクチンについて(2026年7月22日/PDF)/厚生労働省
- 資料1-2 おたふくかぜワクチンについて(日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会、AMED研究班/PDF)/厚生労働省
- おたふくかぜ含有ワクチンの早期定期接種化および既承認ワクチンの活用に関する要望書(2026年6月4日/PDF)/日本小児科学会(厚生労働省掲載)
- おたふくかぜワクチンファクトシート第2版(2026年6月19日 第34回ワクチン評価に関する小委員会/PDF)/厚生労働省
- おたふくかぜ定期接種化を支持 厚労省の専門家小委(2026年7月22日・共同通信配信)/熊本日日新聞
- 日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール/日本小児科学会
- 学校保健安全法施行規則(第19条 出席停止の期間の基準)/e-Gov法令検索
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