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子どもの吃音(きつおん)|「どもり」の三つの様子と家庭での関わり方・相談の目安

対象の目安: 2〜5歳ごろ

カナデ発達・おでかけ担当
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子どもの吃音(きつおん)|「どもり」の三つの様子と家庭での関わり方・相談の目安

「最近、話し始めに『く、く、くるま』と同じ音を繰り返すようになった」「言葉が出るまで顔に力が入って、時間がかかることがある」——子どもの話し方が急に気になり出して、不安になる保護者は少なくありません。こうした話し言葉の流暢(りゅうちょう)さの乱れは吃音(きつおん)、いわゆる「どもり」と呼ばれます。吃音は幼児期にめずらしくないもので、その多くは成長とともに自然に和らいでいくとされています。この記事では、国立障害者リハビリテーションセンターなどによる「幼児吃音臨床ガイドライン」や日本吃音・流暢性障害学会の一般向け情報をもとに、吃音の三つの様子・原因の考え方・家庭での関わり方・相談の目安を整理します。あらわれ方には個人差があり、判断に迷うときは自己判断せず、ことばの相談窓口や専門家を頼ってください。

吃音(発達性吃音)とは

吃音とは、言いたいことは決まっているのに、話し言葉がなめらかに出てこない状態のことです。昔から「どもり」とも呼ばれてきました。子どもに多い吃音は、脳やことばが育っていく途中であらわれる「発達性吃音」で、多くは幼児期に自然と始まります。

日本吃音・流暢性障害学会などの情報によると、吃音は2〜4歳をピークとして、そのほとんどが幼児期に発症するとされています。ちょうど二語文以上でおしゃべりが盛んになる時期と重なります。発症率(その時期までに一度でも吃音を経験する割合)は約8〜11%程度とされ、わが国の研究では3歳までの発症率が8.9%と報告されています。つまり、幼児のおよそ1割が経験する、決してめずらしくないものです。

メモ

「うちの育て方が悪かったのでは」「園や環境のせいでは」と自分を責めてしまう保護者はとても多いのですが、その必要はありません。吃音は、生まれ持った体質的な要因が原因の多くを占めることが分かってきています。親の接し方やしつけ、愛情不足、驚かせたことなどが原因で吃音になるわけではないと、専門機関でもはっきり否定されています。

発症のピーク(2〜4歳)、発症率(約8〜11%、わが国では3歳までで8.9%)、生まれ持った体質的な要因が原因の多くを占めるという考え方は、日本吃音・流暢性障害学会「吃音について」を参照しています。

三つの様子(連発・伸発・難発)

吃音の中核となる様子は、大きく三つに分けられます。子どもによってあらわれ方は異なり、時期や日によって出方が変わることもよくあります。

様子どんな話し方か例(「くるま」の場合)
連発(れんぱつ)最初の音を何度も繰り返すく、く、くるま
伸発(しんぱつ)音を長く引き伸ばすくーるま
難発(なんぱつ)最初の音がつまって出にくく、間があく・・・くるま

幼児期の初めのころは、連発や伸発が多くみられるとされます。難発は、言葉を出そうとして体や顔に力が入る「力み」を伴うことがあり、進んでいくと、話すのを避けたり別の言い方に言い換えたりといった様子(随伴する行動)が出てくることもあります。

三つの中核症状(繰り返し=連発/引き伸ばし=伸発/出にくい=難発・ブロック)の分類は、「幼児吃音臨床ガイドライン(第1版)」および日本吃音・流暢性障害学会の解説に沿っています。

多くは自然に回復していく

吃音があると分かると、「このまま一生続くのでは」と心配になりますが、幼児期に始まった吃音の多くは、成長とともに自然に和らいでいくとされています。「幼児吃音臨床ガイドライン」の作成に関わった国立障害者リハビリテーションセンターの情報では、幼児期に始まった吃音の4分の3程度は自然に治癒するとされています。

回復までの見通しの目安として、吃音が始まってからの年数ごとに、自然に治癒した割合が次のように報告されています。

  • 発症から2年後まで:約31%
  • 発症から3年後まで:約63%
  • 発症から4年後まで:約74%

ヒント

数字が示すのは「多くの子は時間とともに落ち着いていく」という見通しです。一方で、発症から時間が経つほど自然に治まる割合はゆるやかになっていくとも報告されています。だからこそ「様子を見る」だけで抱え込まず、気になる状態が続くときは早めに相談先を知っておくことが安心につながります。相談は決して損になりません。

「4分の3程度は自然に治癒する」という見通し、発症からの年数別の自然治癒率(2年後約31%・3年後約63%・4年後約74%)は、国立障害者リハビリテーションセンター「リハニュースNo.370」および日本吃音・流暢性障害学会の解説を参照しています。数値は目安で、経過には個人差があります。

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家庭での関わり方(OK/NG)

吃音そのものを家庭で「治す」必要はありません。大切なのは、子どもが「どもってもいいから、たくさんおしゃべりしたい」と思える、安心できる会話の環境をつくることです。よかれと思ってやりがちな声かけが、かえって本人を「話し方」に意識させてしまうことがあります。

注意

つい言ってしまいがちですが、次のような関わりは避けたいものです。

  • 「もう一回言ってごらん」と言い直させる
  • 「ゆっくり」「落ち着いて」「深呼吸して」と話し方を繰り返し指示する
  • 「早く」と急かす、話の途中で先回りして代弁しすぎる
  • 「また、どもってるよ」と話し方を指摘する・注意する
  • 心配そうな顔をしてじっと口元を見つめる

これらは、本人に「うまく話さなきゃ」というプレッシャーを与え、かえって力みや緊張につながることがあります。

代わりに、家庭で意識したいのは次のような関わりです。特別なトレーニングではなく、日々のやりとりの姿勢を少し変えるだけで大丈夫です。

  1. 1

    最後まで、さえぎらず聞く

    言葉がつまっても先回りせず、話し終わるまで穏やかに待ちます。「ちゃんと聞いているよ」という安心が、いちばんの支えになります。
  2. 2

    話し方ではなく「話の中身」に反応する

    「上手に言えたね」ではなく、「へえ、それでどうなったの?」と内容に興味を返します。評価の対象を話し方から出来事に移すことがポイントです。
  3. 3

    大人がゆっくり穏やかに話す

    子どもに「ゆっくり」と求めるのではなく、大人自身が少しゆったりした話し方や間(ま)を意識します。会話全体のテンポが落ち着くと、子どもも話しやすくなります。
  4. 4

    話しやすい雰囲気と時間をつくる

    せかされず、じっくり話を聞いてもらえる時間を意識してつくります。質問攻めにせず、「話したくなったら聞くよ」という余裕のある姿勢が安心につながります。
「気になって、つい『ゆっくりでいいよ』と何度も言っていました。でも相談先で『話し方ではなく、話の中身に反応してあげて』と教わってからは、私自身が落ち着いて聞けるようになり、子どもものびのび話すようになりました」という声もよく聞かれます。
3歳児の保護者

「楽しくおしゃべりできるように環境を整える」「どもってもよいから、たくさんおしゃべりしてね、というメッセージを伝える」という家庭での関わりの考え方は、「幼児吃音臨床ガイドライン」の一般・保護者向けの内容および国立障害者リハビリテーションセンターの情報に沿っています。

相談先と受診の目安

「様子を見ましょう」と言われることも多い吃音ですが、気になる状態が続くとき、あるいは本人がつらそうなときは、早めに専門家へ相談してよいものです。吃音を専門的にみるのは、主に言語聴覚士(ST)です。言語聴覚士は、ことばやコミュニケーションに困りごとがある人に、検査・評価をしたうえで必要な指導・助言・支援を行う専門職です。

相談・支援につながる主な窓口には、次のようなものがあります。

  • ことばの教室(小学校・幼稚園などに設置される通級指導教室)
  • 言語聴覚士(ST)のいる医療機関・リハビリテーション施設・ことばの相談室
  • 児童発達支援センター・発達相談の窓口
  • 保健センター(市区町村の子育て・発達相談)
  • 1歳6か月児健診・3歳児健診での相談
  • かかりつけの小児科、必要に応じて耳鼻咽喉科(聞こえの確認など)

言語聴覚士(ST)が、ことばによるコミュニケーションに問題がある人へ検査・評価・訓練・指導・助言などの支援を行う専門職であることは、日本言語聴覚士協会「言語聴覚士とは」を参照しています。

メモ

どこに相談してよいか分からないときは、まずは市区町村の保健センターや、1歳6か月児健診・3歳児健診の機会に伝えてみるのが分かりやすい入り口です。健診はことばや発達の様子を確認し、必要な相談先につないでもらえる大切な機会です。

1歳6か月児健診・3歳児健診が発達の様子を確認し相談につなぐ機会であることは、こども家庭庁「乳幼児健診に関する取組み」を参照しています。

早めに相談を考えたい目安

次のような様子があるときは、専門家への相談を前向きに検討してよいタイミングです。「これくらいで相談してもいいのかな」とためらう必要はありません。

相談を考えたいサイン

  • 吃音が半年〜1年以上続いている
  • だんだん悪化している(頻度が増える・力みが強くなる)
  • 本人が話すのを避け始めた、話すことを嫌がる
  • 言葉を出すときに体や顔に力が入る、随伴する動きがある
  • からかいや指摘などで、本人が困っている・傷ついている
  • 家族に吃音の経験者がいて、経過が心配

早めの相談は、決して損にはなりません。仮に自然に落ち着いていく経過であっても、家庭での関わり方のヒントをもらえたり、園や周囲との連携について助言を受けられたりします。逆に、支援が必要な状態であれば、早く適切なサポートにつながることができます。

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よくある質問

吃音は親の育て方やしつけが原因ですか?
いいえ。吃音は、生まれ持った体質的な要因が原因の多くを占めることが分かってきています。親の接し方やしつけ、愛情不足、驚かせたことなどが原因で吃音になるわけではないと専門機関でも否定されています。自分を責める必要はありません。
『ゆっくり話してごらん』と言ってもいいですか?
繰り返し話し方を指示するのは避けたい関わりです。本人に『うまく話さなきゃ』というプレッシャーを与え、かえって力みにつながることがあります。子どもにゆっくりを求めるより、大人自身がゆったりと穏やかに話し、話の中身に耳を傾けるほうが効果的とされています。
自然に治ることが多いと聞きました。放っておいて大丈夫?
幼児期に始まった吃音の多くは自然に和らいでいくとされますが、『何もしない』のと『様子を見守りながら相談先を知っておく』のは違います。半年〜1年以上続く、悪化する、本人が話すのを避けるなどの様子があれば、早めにことばの教室や言語聴覚士に相談してよいものです。相談は損になりません。
どこに相談すればいいですか?
ことばの教室、言語聴覚士(ST)のいる医療機関やことばの相談室、児童発達支援センター、保健センターなどが窓口です。迷うときは、まず市区町村の保健センターや1歳6か月・3歳児健診の機会に伝えると、必要な相談先につないでもらえます。
園の先生やまわりには、どう伝えたらいいですか?
『言い直させない』『急かさない』『最後まで話を聞く』『話し方ではなく話の中身に反応する』といった関わりを共有しておくと安心です。からかいなどが心配なときは、園と相談し、周囲の大人が落ち着いて受けとめる環境を整えることが大切です。専門家に相談すると、園との連携についても助言をもらえます。

まとめ

子どもの吃音は、話し言葉の流暢さがなめらかにいかない状態で、2〜4歳ごろに始まりやすく、幼児の約1割が経験するめずらしくないものです。連発・伸発・難発という三つの様子があり、原因の多くは生まれ持った体質的な要因で、親の育て方が原因ではありません。多くは成長とともに自然に和らいでいきます。

子どもの吃音で押さえておきたいこと

  • 吃音は話し言葉の流暢さの問題。幼児の約1割が経験し、多くは自然に回復していく
  • 様子は連発(く,く,くるま)・伸発(くーるま)・難発(最初の音が出にくい)の三つ
  • 原因の多くは体質的な要因。親の育て方やしつけが原因ではない
  • 言い直させない・急かさない・話し方を指摘しない。最後まで話の中身を聞く
  • 半年〜1年以上続く・悪化する・話すのを避けるなどは、ことばの教室や言語聴覚士へ相談

家庭でいちばん大切なのは、話し方を直そうとすることではなく、「どもってもいいから、たくさんおしゃべりしたい」と思える安心できる時間を重ねることです。気になることは一人で抱え込まず、健診や保健センター、ことばの専門家に気軽に相談してみてください。

出典・参考

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