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新生児聴覚検査とは?「リファー(要再検)」と言われたら|検査の流れと時期のめやす、2026年8月の国の通知改正のポイント

対象の目安: 妊娠中〜生後6か月ごろ

カナデ・発達・おでかけ担当
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新生児聴覚検査とは?「リファー(要再検)」と言われたら|検査の流れと時期のめやす、2026年8月の国の通知改正のポイント

出産した医療機関で、赤ちゃんが眠っている間に受けることの多い「新生児聴覚検査」。結果の紙に「リファー(要再検)」と書かれていて、どきっとした、という声は少なくありません。この検査について、こども家庭庁は2026年8月17日、市町村や都道府県に向けた国の通知「新生児聴覚検査の実施について」を一部改正しました。リファーのときの確認検査を入院中に行うことが望ましいとしたこと、検査は自動ABRで行うべきとしたこと、などが主な内容です。この記事では、改正後の通知と、同じ日に公表された手引き書(第2版)をもとに、検査の意味、結果の読み方、精密検査や支援までの時期のめやす、費用をまとめます。結果の受け止め方や今後の進み方は、検査を受けた医療機関や市町村の保健師に確認してください。

新生児聴覚検査とは

新生児聴覚検査は、生まれつきの難聴を早く見つけるために、新生児期に行う聞こえの検査です。こども家庭庁の手引き書(第2版)によると、先天的に難聴のある子どもは毎年1,000人に1〜2人の割合で生まれていて、ほかの先天性の病気と比べても多いとされています。

難聴に気づかないまま過ごすと、ことばの発達やコミュニケーション、情緒や社会性の発達にも影響することがあります。一方で、早く見つけて支援につなげれば、その影響を小さくできることが知られています。国の通知は、このために全ての新生児を対象に検査を行うことが重要だとしています。手引き書では、国内の研究として、新生児聴覚検査を行うことで難聴の子が早期の支援に至る確率が20倍以上になり、早期に支援を始めた場合に聴覚を使ったコミュニケーションができるようになる確率が3倍以上になったという報告(Kasai,2012)を紹介しています。

手引き書によると、新生児聴覚検査で見つかる難聴のうち、半数は家族歴などのリスク因子がありますが、残りの半数は特別なリスク因子がなく、検査をして初めて見つかります。「家族に難聴の人はいないから」と考えず、全員が受けることに意味がある検査です。検査は赤ちゃんが自然に眠っている間に、短い時間で行えるとされています。

海外では、生後1か月までに聴覚検査、3か月までに精密検査、6か月までに支援開始という「1-3-6ルール」が提唱されてきました。日本の通知の時期のめやすも、この考え方に沿っています。

難聴の頻度、リスク因子の割合、1-3-6ルール、早期発見の効果の報告は、こども家庭庁「新生児聴覚検査から療育・支援までを遅滞なく円滑に実施するための手引き書(第2版)」によります。検査の意義は、こども家庭庁「新生児聴覚検査の実施について(改正後全文)」によります。

「パス」と「リファー」の意味

検査の結果は、「パス」か「リファー(要再検)」のどちらかで伝えられます。手引き書では、それぞれ次のように説明しています。

結果意味
パス(pass)検査した時点では、聞こえに異常が認められなかったこと
リファー(要再検)検査で正常なデータが取れなかったため、再検査が必要なこと。産科医療機関での確認検査でもリファーなら、精密検査機関での検査が必要になる

リファーは「難聴がある」という意味ではありません。手引き書に収められた保護者向けの説明文の例では、リファーは必ずしも聞こえに異常がある、聞こえにくいということを意味するわけではなく、耳あかが詰まっていた、検査のときに少し動いてしまったなど、赤ちゃんの状態によってうまく検査できなかった可能性もある、と説明しています。また、聞こえに問題があったとしても、新生児聴覚検査ではどの程度の聞こえなのかまでは判断できません。それを調べるのが、耳鼻咽喉科の精密検査です。

メモ

片方の耳だけリファーだった場合も含め、次にどの検査をいつ受けるかは、検査を受けた医療機関に確認してください。

パスとリファーの説明、リファーとなる理由の例は、こども家庭庁「新生児聴覚検査から療育・支援までを遅滞なく円滑に実施するための手引き書(第2版)」の用語解説と、同書に収められた説明文書の例によります。

自動ABRとOAEの違い

新生児聴覚検査には、主に「自動ABR(自動聴性脳幹反応)」と「OAE(耳音響放射)」の2種類の検査機器が使われています。どちらも眠っている赤ちゃんに短時間で行えますが、手引き書では精度に違いがあるとして、次のように比べています。

自動ABROAE
調べるもの音を聞かせたときの脳幹の電気的な反応内耳から返ってくる小さな音の反応
感度(見逃しの少なさ)100%95〜98%
要再検率約1%3〜5%
特徴外耳や中耳の状態(耳あか、羊水が残っているなど)や周りの騒音の影響を受けにくい外耳や中耳の状態、周りの騒音の影響を受けやすく、リファーが出やすい

OAEは内耳の働きを調べる検査のため、「聴神経難聴スペクトラム(ANSD)」という、内耳は正常に近いけれど聴神経の働きに異常があるタイプの難聴では、パスになってしまうことがあります。自動ABRならこのタイプでもリファーになります。こうした理由から、改正後の通知では、初回検査と確認検査は自動ABRで行うべきだとしています。

機器の比較は、こども家庭庁「新生児聴覚検査から療育・支援までを遅滞なく円滑に実施するための手引き書(第2版)」の図表5(小児内科vol.51 No.5を基に一部改定されたもの)によります。自動ABRで行うべきとする点は、同「新生児聴覚検査の実施について(改正後全文)」別添1によります。

検査から支援までの流れと時期のめやす

改正後の通知の別添2「新生児聴覚検査の流れ」では、次の流れと時期が示されています。

段階時期のめやす内容
初回検査おおむね生後3日以内自動ABR(ない場合はOAE)。パスならスクリーニングは終了(その後も聞こえの発達には注意する)
確認検査おおむね生後1週間以内初回がリファーのとき。検査漏れを防ぐため、出産した施設に入院中に行うことが望ましい
先天性サイトメガロウイルス感染症の検査生後3週間以内確認検査でリファーのとき。赤ちゃんの尿で調べる。入院中に行うことが望ましい
精密検査サイトメガロウイルス検査が陽性なら生後2か月以内、陰性なら遅くとも生後3か月以内耳鼻咽喉科の精密検査機関で、聞こえの状態をくわしく調べる
療育・支援遅くとも生後6か月ごろまでに開始手話、補聴器、人工内耳など、子どものニーズに合わせた選択肢の情報提供を受けて始める

先天性サイトメガロウイルス感染症は、乳幼児の難聴の原因のひとつとされています。通知では、生後2か月以内の治療が推奨されているため、生後3週間以内に尿を採って検査することが強く推奨されているとしています。確認検査でリファーと言われたら、この検査の案内があるかを早めに確認しましょう。

メモ

早産などで特別な配慮が必要な赤ちゃんの検査時期は、上の時期にかかわらず、医師が適切に判断することが望ましいとされています。NICUなどに入院している場合は、主治医に確認してください。

流れと時期のめやすは、こども家庭庁「新生児聴覚検査の実施について(改正後全文)」の別添1・別添2によります。

2026年8月の通知改正で変わったこと

こども家庭庁が2026年8月17日に出した改正通知(同日から適用)の主な内容は、次のとおりです。いずれも医療機関や自治体に向けた内容ですが、保護者にとっては「入院中に次の検査まで進みやすくなる」「OAEで検査した場合も自動ABRを受けられる体制が整えられる」といった意味があります。

  • 初回検査と確認検査は、自動ABRで行うべきであるとした
  • リファーの場合は再検査をくり返さず、確認検査や精密検査などの次の段階に適切に進むこととした
  • 初回検査でリファーのときの確認検査と、先天性サイトメガロウイルス感染症の検査は、出産した施設に入院中に行うことが望ましいとした
  • 先天性サイトメガロウイルス感染症の検査は、原則として確認検査でリファーとなった場合に行うが、確認検査の後では生後3週間以内の検査が難しいなどやむを得ない事情がある場合は、初回検査の結果をもって行うことも妨げないとした
  • 都道府県は、OAEで検査している医療機関で生まれた赤ちゃんも自動ABRを受けられるよう、医療機関どうしの連携や紹介の体制づくりを調整・支援することとした
  • 助産師は、医師の指示がなくても新生児聴覚検査を行えることを明記した
  • リファーとなった赤ちゃんの保護者向けのロードマップ(今後の流れをまとめた資料)を作るときは、手引き書(第2版)を参考にすることとした

ヒント

これから出産する場合は、出産予定の施設に「新生児聴覚検査はどの機器で行うか」「リファーのとき、確認検査やサイトメガロウイルスの検査は入院中にできるか」を聞いておくと安心です。妊婦健診や両親学級のときに確認しておくとよいでしょう。

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改正の内容と適用日は、こども家庭庁「『新生児聴覚検査の実施について』の一部改正について」(令和8年8月17日、こ成母第761号)によります。掲載日は、こども家庭庁「母子保健の主な動き(通知・事務連絡等)2026年」で確認しました。

リファーと言われたら、保護者ができること

  1. 1

    結果と次の予定を聞いておく

    どちらの耳がリファーだったか、どの機器で検査したか、次は何の検査をいつ受けるかを確認します。通知では、検査機関は保護者に誤解や過剰な不安を与えないよう、検査の目的や内容をわかりやすく説明し、リファーのときは十分に説明するよう努めることとしています。わからないことは遠慮なく聞いてかまいません。

  2. 2

    母子健康手帳の記録を確認する

    通知では、検査機関は保護者の同意を得たうえで、母子健康手帳に検査機器・検査年月日・結果などを記録するか、結果の写しを添付する、または写しを保護者に渡すよう努めることとしています。退院前に、手帳に記録があるか見ておきましょう。

  3. 3

    サイトメガロウイルスの検査について確認する

    確認検査でリファーだった場合は、生後3週間以内の尿の検査が強く推奨されています。入院中に案内がなかったときは、検査を受けた医療機関に確認してください。

  4. 4

    精密検査の予約を早めに入れる

    精密検査は、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の「新生児聴覚スクリーニング後の精密検査機関リスト」に載っている機関などで受けます。通常は出産した医療機関から紹介されます。予約が先になることもあるので、紹介状を受け取ったら早めに連絡しましょう。

  5. 5

    市町村の保健師に相談できる

    通知では、市町村は新生児訪問や乳幼児全戸訪問、1か月児健診などで受診状況や結果を確認し、リファーとなった赤ちゃんと保護者に必要な指導やフォローを行うこととしています。精密検査までの間に聞こえやことばのことで心配があるときも、市町村の母子保健の窓口に相談できます。

入院中の検査の結果を見て不安になりましたが、次にどこで何を受けるのか、説明してもらった内容をメモしておきました。結果の紙は母子健康手帳にはさんでおいたので、1か月健診で聞かれたときもそのまま見せられました。
生後1か月の子を持つ保護者

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検査機関の説明・記録、市町村のフォローは、こども家庭庁「新生児聴覚検査の実施について(改正後全文)」によります。精密検査機関リストは、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「難聴」のページに掲載されています。

検査の費用は?

新生児聴覚検査の費用について、国の通知は、市町村が公費負担を行い、受診者の経済的な負担を軽くするよう積極的に図ることとしています。手引き書によると、公費負担を行っている市町村の割合は、令和元年度の約52%から増え続け、令和6年度には95%程度に達しています。

ただし、助成の対象(初回検査だけか、確認検査も含むか)や金額、申し込み方法は市町村によって違います。母子健康手帳の交付時にもらう資料や、住んでいる市町村のホームページで確認してください。里帰り出産など、住んでいる市町村以外の医療機関で出産する場合の扱いも、あわせて確認しておくと安心です。

また、手引き書に収められた資料では、尿のサイトメガロウイルス検査は新生児聴覚検査の公費負担の対象ではなく、保険診療で行うものとしています。乳幼児医療費の助成で自己負担がどうなるかは、市町村によって異なります。

公費負担の方針は、こども家庭庁「新生児聴覚検査の実施について(改正後全文)」によります。公費負担を行う市町村の割合と、尿のサイトメガロウイルス検査が保険診療である点は、同「新生児聴覚検査から療育・支援までを遅滞なく円滑に実施するための手引き書(第2版)」によります。各年度の実施状況の調査結果は、こども家庭庁「『新生児聴覚検査の実施状況等について』の調査結果について」に掲載されています。

パスでも、その後の聞こえは見ていく

手引き書では、乳幼児の難聴には、生まれつきのものと、乳児期以降に現れるものがあるとしています。新生児聴覚検査で見つけられる難聴(中等度以上で、両耳で、治らないもの)は、学童期までに見つかる難聴のうち約60%とされています。手引き書では、成長の途中でかかるおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)や中耳炎による難聴、あとから出てくる難聴や進んでいく難聴は、新生児期の検査では見つけられないため、パスでもその後の聞こえの発達に注意するよう保護者に説明する必要があるとしています。また、家族歴などのハイリスク因子がある子どもは、パスの場合も3歳までは定期的に聴覚検査を受けることを促すとしています。ハイリスク因子にあてはまるかどうかや、検査の受け方は、主治医に確認してください。

大きな音に驚かない、呼びかけに振り向かない、ことばがなかなか増えない、など気になることがあるときは、乳幼児健診のときに伝えたり、かかりつけの小児科や耳鼻咽喉科に相談したりしましょう。

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新生児期に見つけるべき難聴と、学童期までに見つかる難聴に占める割合(約60%、Watkin PM,Baldwin M.2011)、パスのあとの注意点とハイリスク因子のある子どもの定期的な聴覚検査は、こども家庭庁「新生児聴覚検査から療育・支援までを遅滞なく円滑に実施するための手引き書(第2版)」によります。

よくある質問

新生児聴覚検査は、全員が受けたほうがいいのですか?
国の通知は、全ての新生児を対象に検査を行うことが重要だとし、市町村に、管内の全ての新生児が検査を受けられるよう取り組むことを求めています。生まれつき難聴のある赤ちゃんは毎年1,000人に1〜2人とされ、その半数は特別なリスク因子がなく、検査で初めて見つかります。検査について気になることは、出産する施設で事前に聞いておきましょう。
リファーと言われました。難聴ということですか?
いいえ、リファーは「検査で正常なデータが取れなかったので再検査が必要」という意味で、難聴と決まったわけではありません。耳あかや、検査中に動いたことなどでも起こりえます。改正後の通知では、リファーのときは再検査をくり返さず、確認検査や精密検査に進むこととしています。次に何を受けるかを医療機関に確認しましょう。
検査を受けずに退院してしまいました。今からでも受けられますか?
国の通知では、市町村は新生児訪問や1か月児健診などで受診状況を確認し、受けていない赤ちゃんには受診を勧め、病院の外来で検査を受けられる機関もあわせて案内することとしています。手引き書では、入院中に検査できなかった場合も、リファーのときのサイトメガロウイルスの検査が生後21日以内に推奨されていることを踏まえ、なるべく早く受けるよう求めています。1か月健診を待たず、出産した医療機関や住んでいる市町村の母子保健の窓口に早めに相談してください。
OAEで検査してパスでした。もう一度受けたほうがいいですか?
OAEは、聴神経難聴スペクトラムというタイプの難聴ではパスになることがあるため、改正後の通知では初回・確認検査は自動ABRで行うべきとし、都道府県に、OAEで検査している医療機関で生まれた赤ちゃんも自動ABRを受けられる体制づくりを求めています。気になる場合は、出産した施設や市町村の窓口に、自動ABRを受けられるか相談してみてください。
費用はいくらかかりますか?
国の通知は、市町村が公費負担を行うよう求めていて、令和6年度には95%程度の市町村が公費負担を行っています。ただ、助成の範囲や金額、申し込み方法は市町村によって違います。母子健康手帳と一緒にもらう資料や、市町村のホームページで確認してください。
精密検査で難聴とわかったら、どうなりますか?
通知では、子どものニーズに応じた支援の選択肢(手話、補聴器、人工内耳など)の情報提供を受けたうえで、遅くとも生後6か月ごろまでに支援を始めることが望ましいとしています。手引き書では、補聴器の購入費について、身体障害者手帳の対象となる場合のほか、手帳の対象にならない子どもの軽度・中等度難聴でも、自治体の助成で補助される場合があるとしています。主治医や市町村の窓口に相談しながら進めましょう。

まとめ

新生児聴覚検査で確認しておきたいこと

  • 出産前に、検査の機器(自動ABRかOAEか)と、リファーのときに入院中にどこまで検査できるかを聞いておく
  • 結果は「パス」か「リファー(要再検)」。リファーは難聴と決まったわけではない
  • 初回はおおむね生後3日以内、確認検査はおおむね生後1週間以内がめやす
  • 確認検査でもリファーなら、生後3週間以内のサイトメガロウイルスの尿検査について確認する
  • 精密検査はサイトメガロウイルス検査が陽性なら生後2か月以内、陰性なら遅くとも生後3か月以内、支援は遅くとも生後6か月ごろまでの開始がめやす
  • 母子健康手帳に結果が記録されているかを退院前に確認する
  • 費用の助成は市町村ごとに違う。パスでも聞こえの発達に注意し、ハイリスク因子がある子は定期的な検査について主治医に確認する

新生児聴覚検査は、赤ちゃんの聞こえを見守る最初の一歩です。結果に不安を感じたら、ひとりで抱えこまず、医療機関や市町村の保健師に相談しながら、次の段階へ進んでいきましょう。

出典・参考

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