育児の時間
発達・健康

子どものとびひ(伝染性膿痂疹)対策|夏に広がる細菌性の皮膚感染を防ぐケアと受診・登園の目安

対象の目安: 1〜6歳ごろ(乳児期も)

カナデ発達・おでかけ担当
・ 約11分で読めます
子どものとびひ(伝染性膿痂疹)対策|夏に広がる細菌性の皮膚感染を防ぐケアと受診・登園の目安

「あせもをかいていたら、ジュクジュクした水ぶくれが増えてきた」「かさぶたが次々にあちこちへ広がる」——夏になると、こうした相談が増えます。これは「とびひ(伝染性膿痂疹)」と呼ばれる細菌性の皮膚感染で、かいた手を介して火事の火の粉が飛ぶように体じゅうへ広がるのが特徴です。この記事では、日本小児皮膚科学会・日本皮膚科学会・こども家庭庁などの情報をもとに、とびひの見分け方と受診の目安、家庭でのケアと予防、登園の考え方を整理しました。広がり方や治り方には個人差があり、薬による治療が必要なことも多いため、とびひが疑わしいときは自己判断せず皮膚科・小児科に相談してください。

とびひ(伝染性膿痂疹)とは|原因菌と2つのタイプ

とびひは、皮膚の小さな傷から細菌が入り込んで増える感染症です。正式には「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」といいます。火事の火の粉が飛び火するように、かいた手を介して体のあちこちへ広がることから「とびひ」と呼ばれます。日本小児皮膚科学会・日本皮膚科学会によると、原因となる細菌は主に黄色ブドウ球菌と溶血性連鎖球菌(溶連菌)です。

タイプは大きく2つに分かれます。家庭で見分けの手がかりになるよう、特徴を整理しておきましょう。

区分水疱性膿痂疹痂皮性膿痂疹
主な原因菌黄色ブドウ球菌溶連菌(溶血性連鎖球菌)
できやすい人乳幼児・子どもに多い年齢を問わない(大人にも)
多い季節夏に多い季節を問わない
見た目の特徴透明〜にごった水ぶくれが破れてジクジク厚いかさぶた(痂皮)・赤み・腫れ
発熱など全身症状通常は出にくいのどの痛み・発熱を伴うことがある

メモ

ここでの分類はあくまで一般的な目安です。実際にはどちらの菌も混じっていることもあり、見た目だけで家庭が確定するのは難しいものです。「とびひかも」と思ったら、皮膚科・小児科で診てもらうのが確実です。

子どもに多いのは、黄色ブドウ球菌による「水疱性膿痂疹」です。最初は小さな水ぶくれやポツンとした赤みでも、半日〜数日でみるみる数が増え、破れてジクジクしたびらん(ただれ)やかさぶたになります。鼻の入り口は原因菌が多くいる場所のひとつで、鼻をいじったあとに目や口のまわりへ広がることもよくあります。

夏に多い理由|あせも・虫刺され・湿疹の「かきこわし」が入り口

とびひが夏に多いのには、はっきりした理由があります。

  1. 1

    汗で肌がふやけ、傷つきやすくなる

    高温多湿であせもや汗による湿疹ができやすく、バリア機能が落ちた肌は細菌が入り込みやすくなります。

  2. 2

    かゆい肌をかきこわす

    あせも・虫刺され・湿疹がかゆくて引っかくと、小さな傷ができます。日本小児皮膚科学会も「手であせもや虫刺されなどをいじることでとびひになる」と説明しています。

  3. 3

    皮膚に細菌が増えやすい

    夏は汗や皮脂で皮膚表面に細菌が増えやすく、傷口から感染が成立しやすい環境になります。

  4. 4

    かいた手で広げる

    水ぶくれの中身や浸出液には菌が含まれ、それを触った手で別の場所をかくと飛び火して広がります。

つまり、とびひ対策はあせも・虫刺され・湿疹の段階で「かゆみを抑え、かきこわさない」ことから始まります。あせもの予防や夏のスキンケアは

で、虫刺されへの対策は

あわせて読みたい

赤ちゃん・子どもの虫除け&虫刺され対策グッズの選び方|成分と月齢別の使い分け

でくわしく扱っています。あわせて、汗をためないこと・虫に刺されにくくすること自体が、とびひの予防につながります。

ヒント

かゆみが強いあせもや虫刺され、湿疹が続くときは、早めに皮膚科でかゆみを抑える処置を受けると、かきこわしからのとびひを防ぎやすくなります。「たかがあせも」と放置しないのがポイントです。

症状の見分けと受診の目安

とびひは、夏かぜ(手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱など)のようなウイルス感染とは別物で、細菌による感染です。夏の発疹の見分けに迷ったら、ウイルス性の感染症については

も参考にしてください。とびひかどうかの家庭での手がかりは、次のような点です。

  • 水ぶくれやジクジクした浸出液、厚いかさぶたが、かいた場所を中心に「数を増やしながら」広がる
  • 鼻の下・口のまわり・手足など、よく触る・かく場所に出やすい
  • かゆみがあり、引っかくと近くや別の場所へ移っていく

注意

次のようなときは、早めに皮膚科・小児科を受診してください。受診の必要性や治療(多くは抗菌薬の外用・内服)は、自己判断ではなく医師が判断します。

  • 水ぶくれ・かさぶたが広範囲に広がっている、急に増えている
  • 発熱がある、元気がない、ぐったりしている
  • 患部が強く腫れる・痛がる・赤みが広がる
  • 顔(特に目や口のまわり)に出ている
  • 市販薬を塗っても改善しない、繰り返す

日本皮膚科学会は、水ぶくれやびらんからの浸出液を触ったり引っかいたりすると中の細菌で次々にうつる、と説明しています。とびひは医師の診察と治療が基本です。

市販薬で様子を見ていると、かえって広がってしまうことがあります。広がりやすい感染症のため、早めの受診が結果的に治りを早めることにつながります。迷ったら受診を優先しましょう。

家庭でのケアと予防

受診して治療を始めたら、家庭では「これ以上広げない・うつさない」ためのケアが大切です。日本小児皮膚科学会・日本皮膚科学会の情報をもとに、基本を整理します。

  1. 1

    患部を清潔にし、覆う

    医師の指示に従って患部を洗い、処方された薬を塗ってガーゼなどで覆います。覆うことで、かいて広げたり他の子へうつしたりするのを防げます。

  2. 2

    爪を短く切り、手を清潔に

    日本小児皮膚科学会は「手洗いの励行、爪を短く切って、かき壊したり皮膚を傷つけたりしないように」と勧めています。かいた手で別の場所を触らせないことが要です。

  3. 3

    鼻をいじらせない

    鼻の入り口は原因菌が多い場所のひとつです。鼻をほじったあとに広がることがあるため、こまめに手を洗いましょう。

  4. 4

    シャワーで体を流す(湯船は避ける)

    汗や汚れを落とすため、湯船につかるよりシャワーがすすめられます。きょうだいがいる場合は、本人を最後に入れると、湯やタオルを介したうつしを減らせます。

  5. 5

    タオル・衣類を共用しない

    タオル・寝具・衣類はうつる経路になります。本人専用にし、こまめに洗濯・交換しましょう。

注意

入浴やプールの可否は治り具合で変わります。日本小児皮膚科学会は、治るまでプールは控えるよう説明しています。プールの水を介して直接うつるわけではありませんが、肌と肌の接触やビート板・タオルの共用でうつるおそれがあるためです。再開の時期は必ず主治医に確認してください。

予防の基本は、(1)あせも・虫刺され・湿疹を作りすぎない・かかない、(2)傷ができたら清潔に保つ、(3)爪を短く・手を清潔に、(4)タオルを共用しない、の4点です。一度かかると同じ家庭内できょうだいにうつることもあるため、家族みんなで手洗いとタオル管理を心がけましょう。

つまずき・困ったとき

「市販薬でしばらく様子を見ていたら、かえって体じゅうに広がってしまった」という相談が多く寄せられます。
kanade

とびひは広がりやすい感染症です。範囲が小さいうちに受診して治療を始めるほうが、結果的に早く落ち着きやすくなります。判断に迷ったら、まず皮膚科・小児科に相談しましょう。

「きょうだいにうつってしまった」「保育園でうつったみたい」という声もよく聞きます。
kanade

接触でうつるため、家庭内・園内で広がることがあります。タオルや寝具を分け、患部を覆い、手洗いを徹底することで広がりを抑えられます。園での流行が気になるときは、登園の扱いも含めて園に相談すると安心です。

「保育園を休ませるべきか分からない」という戸惑いもよく聞かれます。
kanade

登園の扱いは病変の範囲や園の方針で変わります(後述)。自己判断せず、受診したうえで医師と園の指示に従うのが安心です。

登園・登校のめやす

とびひは、学校保健安全法では「条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症」とされ、インフルエンザのように一律の出席停止期間が定められた感染症ではありません。日本皮膚科学会・日本小児皮膚科学会は、病変部をきちんと外用処置して覆ってあれば登園・登校は可能で、広範囲に及ぶときや全身症状があるときは休む必要がある、と説明しています。

メモ

ただし、保育園・幼稚園・学校ごとに独自の登園ルール(治るまで・覆ってあればOKなど)を設けている場合があります。最終的な登園の可否は、こども家庭庁の保育所における感染症対策ガイドラインや、お子さんの通う園・自治体・医師の指示に従ってください。「いつから通えるか」は受診時に医師に確認しておくとスムーズです。

保育所での感染症の取り扱いは、こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」が基準となります。園や自治体の判断もこれに基づいています。

よくある質問

とびひと夏かぜ(手足口病など)はどう違いますか?
とびひは黄色ブドウ球菌や溶連菌などの『細菌』による皮膚感染で、治療は抗菌薬が中心です。手足口病やヘルパンギーナは『ウイルス』による感染で、別物です。発疹の出方や全身症状の有無が見分けの手がかりですが、確実な区別は受診で行いましょう。
市販薬で治せますか?
とびひは広がりやすく、抗菌薬による治療が必要なことが多い感染症です。市販薬で様子を見るうちに広がることもあるため、とびひが疑わしいときは皮膚科・小児科の受診をおすすめします。
お風呂に入ってもいいですか?
医師の指示に従い、患部を清潔にすることが大切です。湯船につかるよりシャワーで流すほうがすすめられ、きょうだいがいる場合は本人を最後に入れます。タオルは共用しないでください。
プールはいつから入れますか?
日本小児皮膚科学会は治るまでプールを控えるよう説明しています。肌の接触やビート板・タオルの共用でうつるおそれがあるためです。再開の時期は主治医に確認してください。
きょうだいにうつりますか?
接触でうつるため、同じ家庭内でうつることがあります。患部を覆う、タオル・寝具を分ける、手洗いを徹底することで広がりを抑えられます。
保育園は休ませるべきですか?
一律の出席停止期間はありませんが、範囲が広い・全身症状があるときは休む必要があります。覆ってあれば登園可とする園もあります。受診したうえで、医師と園・自治体の指示に従ってください。

まとめ|「かかない・清潔・覆う」で広げない

とびひは夏に多い細菌性の皮膚感染で、あせも・虫刺され・湿疹のかきこわしが入り口になります。広がりやすいぶん、早めの受診と「かかない・清潔・覆う」家庭ケアで進行とうつしを抑えることが大切です。

とびひ対策チェックリスト

  • あせも・虫刺され・湿疹は早めにケアし、かきこわさせない
  • とびひが疑わしいときは皮膚科・小児科を受診する
  • 爪を短く切り、手洗いを徹底する
  • 患部は処方薬を塗ってガーゼなどで覆う
  • 湯船よりシャワー。きょうだいは本人を最後に入れる
  • タオル・寝具・衣類は共用せず、こまめに洗濯する
  • プール・登園の再開は医師と園の指示に従う

肌の状態や広がり方には個人差があります。気になる症状があるときや判断に迷うときは、早めに皮膚科・小児科、または自治体の相談窓口に相談してください。

出典・参考

この記事をシェア

関連する記事