子どもの鼻血の正しい止め方|小鼻を10分つまむ手順とやってはいけないこと・受診の目安
対象の目安: 1〜6歳ごろ

遊んでいたと思ったら、急にポタポタと赤いものが。子どもの鼻血は、見た目の勢いに親のほうが動転してしまいます。とっさに上を向かせたり、首の後ろをトントンたたいたり——実は、どちらも止血としては役に立たない対応です。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の解説でも、首の後ろをたたくことや鼻の付け根をつまむことは「おまじない」として紹介されています。一方で、頭を強くぶつけたあとの鼻血のように、止血よりも先に119番通報が必要な場面もあります。この記事では、公的機関・学会の情報をもとに、家庭でできる正しい止め方と、やってはいけないこと、救急と受診の目安を整理します。ここで診断はできません。気になるときはかかりつけ医に相談してください。
子どもに鼻血が多いのはなぜ
鼻血は主に、左右の鼻をわけているしきり(鼻中隔)の粘膜から出ます。とくに鼻の入り口から約1cm入ったところは、血管が網の目状に表面へ浮き出ていて、くり返し出血しやすい場所です。この部位は一般にキーゼルバッハ部位と呼ばれます。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、鼻出血が幼児期から小学校低学年にかけてよくみられると説明しています。子どもは鼻の入り口が近く、指も届きやすい——これが「よく出る」理由の中心です。
きっかけになりやすいのは、次のような要因です。
- 鼻がかゆくて指でいじる、こする
- 上気道炎(かぜ)による鼻炎やアレルギー性鼻炎
- 鼻の中にできた傷
- 副鼻腔炎による粘膜の炎症、鼻中隔弯曲症
- 転んだりぶつけたりといった外傷・打撲
東京都こども医療ガイドは、鼻血について「原因不明のことが一番多い」としたうえで、アレルギー性鼻炎や鼻炎、外傷・打撲でも起こると説明しています。はっきりした原因が見つからないこと自体は珍しくありません。学会も「ほとんどの鼻出血は悪い病気ではありませんので、まず落ちつくことが大切です」と述べています。
正しい止め方の早見表
まずは全体像です。細かい手順は次の節で説明します。
| 項目 | 正しい対応 | ポイント |
|---|---|---|
| 姿勢 | 座らせて顔をやや下向きに | 背もたれのあるイスが安定する |
| 押さえる場所 | 小鼻を中心に鼻全体(鼻翼全体) | 骨の部分ではなくやわらかい部分 |
| 押さえ方 | 親指と人差し指で左右からしっかり | 指先で軽く触れる程度では効かない |
| 時間 | 10分を1セット(こどもの救急は約15分と案内) | 途中でゆるめて確認しない |
| 呼吸 | 口で息をする | 鼻をふさぐので口呼吸になる |
| のどに流れた血 | 飲みこまずに外に出す | 飲みこむと吐くことがある |
圧迫止血の手順
- 1
まず大人が落ち着く
子どもは大人の表情をよく見ています。「大丈夫、すぐ止まるよ」と声をかけてから始めます。服の汚れが気になるなら、タオルを一枚かけておくと安心です。 - 2
座らせて、顔をやや下向きにする
背もたれのあるイスに座らせるのが安定します。顔を上向きにすると血がのどに流れ、せきこんだり、飲みこんで気持ちが悪くなって吐いてしまうことがあります。横になる場合でも、あお向けにはならないようにします。 - 3
小鼻をしっかりつまむ
鼻の中には何も入れず、小鼻を中心に鼻全体(鼻翼全体)を親指と人差し指ではさみ、左右から圧迫します。子どもが自分でできる年齢なら自分で押さえてもらってもかまいませんが、力が弱いことが多いので、最初は大人がやってあげるほうが確実です。 - 4
そのまま10分待つ
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は約10分間しっかり押さえるとしています。こどもの救急(ONLINE-QQ)では約15分の持続圧迫が案内されています。どちらにしても、途中で何度もゆるめて確認すると、固まりかけたところがはがれてやり直しになります。時計やタイマーで測り、絵本や動画で気をそらしながら待つのが現実的です。 - 5
口で息をさせ、のどに来た血は出させる
鼻をつまんでいる間は口呼吸です。のどにまわった血は飲みこまず、洗面器やティッシュに出させます。飲みこむと気持ちが悪くなり、あとで吐いて驚くことがあります。 - 6
そっと手をはなして確認する
10分たったら、ゆっくり指をはなして確認します。まだ出ていれば、同じ場所をもう一度10分。目安は「10分を1セットに2〜3回、合計20〜30分まで」で、それを超えても止まらなければ受診します(学会は30分押さえても止まらない場合を受診の目安にしています)。
やってはいけないこと
注意
次の対応は、昔からよく行われていますが止血の効果は確認されていません。かえって長引かせることもあります。
- 上を向かせる、あお向けに寝かせる…血がのどに流れ、飲みこんで気持ちが悪くなったり吐いたりする原因になります
- 首の後ろをトントンたたく…東京都こども医療ガイドは「首の後ろをたたくのも効果はありません」と明記しています
- 鼻の付け根(骨の高い部分)をつまむ…出血しているのはもっと手前の粘膜です。ここをつまんでも押さえたことになりません
- 鼻の奥にティッシュを詰め込む…東京都こども医療ガイドは「鼻の中にティッシュなどを入れないようにしましょう」としています
- 30秒おきに指をはなして確認する…固まりかけたかさぶたがはがれ、出血が再開します
日本小児科学会のこどもの救急では、血がたれて困るときに丸めたティッシュを鼻に入れる方法にも触れていますが、その際も「いつでも取り出せるよう長めにしておく」「こすれて再出血するので入れ替えはできるだけ避ける」という条件つきです。奥に押し込む・小さくちぎって詰めるのは避けてください。
止まったあとの過ごし方
止まった直後の粘膜は、かさぶたができかけているだけの不安定な状態です。日本赤十字社の応急手当の解説でも、出血が止まってもすぐに鼻をかんではいけないとされています。その日は次のように過ごすと、再出血を減らせます。
- 鼻をかまない、こすらない、いじらない
- 走り回る・跳ねるといった激しい遊びを控える
- 長い入浴や熱いお湯は避け、その日はシャワーで軽く済ませる
- 鼻の穴に指を入れて「かさぶたを取る」のを止める(気になって触りがちです)
かさぶたが取れると同じ場所からまた出血し、「治りかけては出る」をくり返す原因になります。数日は同じ場所が弱いままだと考えて、そっとしておくのがいちばんの近道です。
ヒント
ティッシュに広がると赤は面積を大きく見せるため、実際より多く出ているように感じがちです。慌てて対応を変えるより、「座らせて・下向き・10分」を淡々と守るほうが早く止まります。
すぐ119番を呼ぶ場面
止血より先に、救急要請の判断が必要な場面があります。
注意
次のときは、鼻血を止めることにこだわらず、ただちに119番通報します。
- 頭や顔を強くぶつけたあとの鼻血…日本赤十字社は「頭を打って鼻出血のある場合は、止めようとむやみに時間をかけるのではなく、手当とあわせて直ちに119番通報します」としています
- ぐったりしている、意識がはっきりしない、呼びかけへの反応が鈍い、けいれんしている
- 下を向いて小鼻を押さえていても、口から吐き出さなければならないほどの勢いでのどに血が流れてくる…学会は危険な鼻血を見分ける指標として挙げています
- 明らかに出血量が多く、顔色が青ざめている
救急車を呼ぶか迷うときは、実施地域であれば#7119(救急安心センター事業)でも相談できます。
頭を強くぶつけたあとの鼻血では、鼻の状態よりも頭部の状態のほうが優先です。判断のポイントは別記事にまとめています。
頭をぶつけたあとの見きわめはこちら
子どもが頭をぶつけた・頭を打ったとき|様子を見てよい場合と受診・救急車のサイン
早めに受診する目安
注意
救急要請には当たらなくても、次のようなときは早めに耳鼻咽喉科か救急病院の受診を検討します。
- 10分ずつの圧迫を2〜3回くり返しても止まらない(押さえ始めてから20〜30分が目安)
- ふらふらする、顔色が悪い
- 出血の勢いが強い、量が多い
- 顔面の外傷を伴う鼻出血(ぶつけたあとで鼻が変形している場合を含む)
- 鼻血に加えて発熱がある(学会は活発な血液疾患の可能性があるとして、ただちに医療機関の受診をとしています)
東京都こども医療ガイドのチャートでは、鼻をぶつけて鼻が変形しているとき、鼻血が大量に出て15分間の圧迫でも止まらないときは「明日まで待たないでお医者さんへ」とされています。
そのほか、次のような様子があるときは、診療時間内に相談しておきたい場面です。
- 激しい鼻出血をくり返す。歯茎からも出血する。少しのことで皮膚に青あざができる(鼻の腫瘍や血液の病気が疑われ、詳しい検査が必要とされています)
- 1週間に3回ほど出るなど、頻度が高い
- 黄色くどろっとした鼻水(膿性鼻漏)が続く(幼児では鼻に異物を入れて膿性鼻漏が続くことがあります)
- 片側だけ鼻づまりが強い(鼻中隔弯曲症のほか、ときに腫瘍が見つかることもあります)
- 何らかの薬を飲んでいて、出血が止まりにくい
夜間や休日で判断に迷うときは、子ども医療電話相談♯8000でも相談できます。
何科にかかる? 受診時に伝えること
鼻血そのものを診るのは耳鼻咽喉科です。学会も「早めに耳鼻咽喉科か救急病院を受診してください」としています。ふだんから通っている小児科があり、鼻血以外の症状(発熱、あざ、だるさなど)も気になるなら、まず小児科に相談して必要に応じて紹介してもらう流れでもかまいません。
東京都こども医療ガイドは、受診前に次のことをメモしておくとよいとしています。
受診前にメモしておくこと
- 鼻をぶつけたり打ったりしたか
- 普段から鼻血が出やすいか
- 鼻をほじるくせがあるか
- 今飲んでいる薬があるか
- 鼻炎があるか、かぜをひいているか
- 出血は続いているか。どれくらいの時間で止まったか
- 身内に血液の病気の人がいるか
繰り返すときの予防とアレルギーとの関係
一度出た場所は弱くなっているので、しばらくは同じ場所から出やすくなります。「うちの子は鼻血がよく出る」というときは、出血そのものより、その手前にある「鼻をいじる理由」に目を向けると変わりやすくなります。
- 爪を短く切っておく。指が入っても傷つきにくくなります
- 「触っちゃだめ」と叱るより、かゆみ・鼻づまりの原因のほうを減らす
- 鼻水・鼻づまりが続くならアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の治療を相談する
- 空気が乾く季節は加湿を意識する。寝室の乾燥は鼻の粘膜にこたえます
- 鼻のかみ方が強すぎないか見直す。片方ずつ、静かに
学会は、上気道炎による鼻炎やアレルギー性鼻炎、鼻の中に傷がある子どもについて「鼻がかゆくていじるために鼻血が出やすくなります」と説明しています。鼻をいじる行為はしばしば結果であって、原因はかゆみや鼻づまりのほうにあります。秋はブタクサ・ヨモギなどの草花粉が飛ぶ時期。鼻血が増えたタイミングが花粉やハウスダストの時期と重なるなら、鼻炎の治療を相談する価値があります。
秋の草花粉と鼻の症状はこちら
子どもの秋の花粉症|ブタクサ・ヨモギ・カナムグラの時期と夏風邪との見分け方
こんな場面、よく聞きます
くり返す鼻血は、多くが「同じ弱い場所が治りきる前にまた刺激を受けている」状態です。頻度や量が気になる、あざや歯茎の出血も伴うといった場合は、様子を見続けずに耳鼻咽喉科や小児科でみてもらうと安心です。
よくある質問
鼻血が出たら上を向かせたほうがいいのでは?
朝起きたら枕に鼻血がついていました。寝ている間に出るのはなぜ?
片方の鼻からばかり出ます。心配ですか?
固まった血の塊やかさぶたは取っていいですか?
鼻血が出やすい季節はありますか?
保育園で鼻血が出たと連絡がありました。家で確認することは?
夜中に止まらないときはどうすれば?
まとめ
子どもの鼻血は、幼児期にはよくあることです。あわてて上を向かせたり首の後ろをたたいたりせず、「座らせて・やや下向き・小鼻をしっかり10分」を落ち着いて行うのがいちばんの近道です。止まったあとは鼻をいじらせず、その日は激しい運動と長い入浴を控えます。ただし、頭を強くぶつけたあとの鼻血や、ぐったりして意識がはっきりしないときは、止血より先に119番通報です。
鼻血が出たときの流れ
- 背もたれのあるイスに座らせ、顔をやや下向きにする
- 鼻の中には何も入れず、小鼻を中心に鼻全体を左右からつまむ
- 10分を1セットに、途中でゆるめずに圧迫する。口で息をさせる
- のどに流れた血は飲みこませず、外に出させる
- 頭を強くぶつけたあと、意識がはっきりしないときは119番通報する
- 止まったら、その日は鼻かみ・激しい運動・長風呂を控える
- 20〜30分押さえても止まらない・顔色が悪い・勢いが強い・顔面の外傷があるときは受診する
鼻血が増えている背景に鼻炎やかゆみがあることも多く、そちらを整えると回数が落ち着くことがあります。回数や量が気になるとき、ほかの出血やあざを伴うときは、様子を見続けずにかかりつけ医に相談してください。
鼻のかみ方の練習はこちら
子どもの鼻のかみ方の練習|いつから・遊びで覚える教え方ステップと注意点
出典・参考
- 鼻出血(子どものみみ・はな・のどの病気Q&A)/一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
- 鼻血が出た-解説-/東京都こども医療ガイド(東京都保健医療局)
- 鼻血が出た-チャート-/東京都こども医療ガイド(東京都保健医療局)
- 鼻血/こどもの救急(ONLINE-QQ)・日本小児科学会
- 白クマ先生の子ども診療所「鼻血」/日本医師会
- 多量の出血(鼻出血の手当)/日本赤十字社
- 鼻の症状/一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
- アレルギー性鼻炎(子どものみみ・はな・のどの病気Q&A)/一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
- 子どもの症状は♯8000/厚生労働省
- 鼻出血(鼻血)〜原因・止め方・こんな鼻血は要注意!〜/一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
- 救急安心センター事業(♯7119)をもっと詳しく!/総務省消防庁
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