子どもの秋の花粉症|ブタクサ・ヨモギ・カナムグラの時期と夏風邪との見分け方
対象の目安: 1〜6歳ごろ

熱はないのに、くしゃみと透明な鼻水が止まらない。「夏風邪が長引いているのかな」と様子を見ていたら9月になっても治らない——そんなときに候補として挙がってくるのが、秋の草花粉によるアレルギーです。ブタクサ・ヨモギ・カナムグラといった草の花粉は、8月ごろから10月ごろにかけて飛んでいます。この記事は、夏の感染症や発熱時の対応とは切り口を分け、「秋の草花粉によるアレルギー」に絞って整理します。飛散花粉数が増えてくる9月から10月を前に、備えを整えておきたい時期です。
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秋に飛ぶ主な花粉 早見表
環境省の花粉症環境保健マニュアルでは、草本(草)の花粉症の原因としてキク科のブタクサ・オオブタクサ・ヨモギ、アサ科のカナムグラなどが挙げられ、「ブタクサやヨモギなどのキク科とカナムグラの花粉は夏の終わりから秋にかけて飛散しています」と説明されています。
| 花粉の種類 | 花期(飛散時期の目安) | よく生えている場所 |
|---|---|---|
| ブタクサ(キク科) | 8〜10月ごろ | 道端や河原 |
| ヨモギ(キク科) | 8〜10月ごろ | 市街地、道、堤防など |
| カナムグラ(アサ科) | 8〜10月ごろ | 道端や荒れ地など |
| ススキ(イネ科) | 8〜10月ごろ | 山野 |
| カモガヤ(イネ科) | 5〜7月ごろ(参考:春から初夏のイネ科) | 道端や草地 |
飛散時期には地域差があります。環境省のマニュアルでも「主な花粉の飛散する時期は、地域によって多少違いがあります」とされ、北海道ではシラカンバが中心になるなど主役の花粉も異なります。お住まいの自治体が出す花粉情報を一度確認しておくと安心です。
なぜ「近づかない」が最大の対策になるのか
スギやヒノキの花粉は遠くまで飛ぶことが知られていますが、秋の草花粉は性質が違います。東京都アレルギー情報navi.は「夏から秋に飛散して花粉症の主原因となる草木花粉は、飛散距離が短く、その植物がはえている周辺でのみ飛散するのが特徴です」と説明しています。原因の草が生えている場所さえ避けられれば、吸い込む量をかなり減らせるということです。環境省のマニュアルにも、市街地の観測ではイネ科やブタクサの花粉はそれほど多くないものの、河川敷や手入れのされていない広場・野原ではかなり多いと報告されており注意が必要、と記載されています。
環境省「花粉症環境保健マニュアル2022」(2022年3月改訂版)より。
子どもならではの注意点
ここからは出典に直接書かれている内容ではなく、上の性質から考えられる子ども特有の事情です。秋花粉の原因になるのは背丈の低い草で、花粉は主にその周囲を漂います。子どもは大人より背が低く、しゃがんで虫を探したり草をつかんで遊んだりする時間も長い。同じ公園にいても、子どものほうが草花粉に近い高さで過ごしていることになります。
ヒント
散歩コースや公園の「どこに背の高い雑草が茂っているか」を、この時期に一度見ておくと役立ちます。伸びっぱなしの草地や河川敷の土手を避けて歩くだけでもばく露を減らせます。草むらでの虫とりが好きな子は、整備された芝生や広場へ遊び場を切り替えるのもひとつです。
夏風邪・夏の感染症との見分け方
秋花粉の症状はくしゃみ・鼻水・鼻づまりが中心で、風邪の初期とよく似ています。決め手になる万能のサインはありませんが、手がかりはあります。環境省のマニュアルは、花粉症の季節は風邪が流行する時期と重なり症状が似ているとしたうえで、「花粉症では眼のかゆみを伴うことが多く、風邪と違って熱が高くなることはありません」と説明しています。
| 手がかり | 秋花粉によるアレルギーで多い | 風邪・夏の感染症で多い |
|---|---|---|
| 発熱 | 高い熱は出ない | 発熱を伴うことが多い |
| 鼻水の性状 | 水のようにさらさら | 途中から粘り気が出て色がつくことがある |
| 目の症状 | かゆみ・充血を伴うことが多い | 目のかゆみは伴わないことが多い |
| 経過 | 数週間にわたって続く | 数日から1週間程度で軽快することが多い |
| 出る場面 | 屋外や特定の場所で強まるなど、状況と結びつくことがある | 場所とはあまり関係しない |
家庭でできるのは「気づくこと」まで。原因を確定するのは検査と診察です。環境省のマニュアルも、症状の出る季節から原因花粉を推定できるとしつつ、耳鼻咽喉科・眼科・アレルギー科などの専門医療機関で、どんな花粉に感作されているか検査を受けることをすすめています(地域によっては内科や小児科でも検査や治療を受けられるとされています)。
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家庭でできる秋花粉対策
環境省のマニュアルが挙げるばく露を防ぐ方法は、マスク・メガネ・服装・手洗いと洗顔・室内の掃除と換気・花粉の多い時間帯の外出を避けること。これらは主にスギ花粉を念頭に説明されていますが、持ち込まない・室内にためないという考え方は秋の草花粉にも応用できます。
- 1
外遊びから帰ったら玄関で払う
上着や帽子についた花粉を、家に入る前に払い落とします。ウール素材は木綿や化繊より花粉が付着しやすいとされています。 - 2
うがいと洗顔、そしてお風呂
帰宅後のうがいと洗顔、頭髪にも花粉が付くため毎日のシャンプーも効果的とされています。自分で顔を洗えない年齢なら、ぬれタオルで拭いてから入浴へ。 - 3
洗濯物と布団は室内干しに
花粉を家に持ち込まないため、洗濯物や布団を外に干さないようにするとされています。飛散の多い時期だけでも切り替えを。 - 4
換気は窓を全開にしない
窓を開ける幅を10cm程度にし、レースのカーテンをすることで、屋内への流入花粉をおよそ4分の1に減らせるとされています。 - 5
床とカーテンの掃除をこまめに
入り込んだ花粉は床やカーテンに多数残るため、掃除の励行とカーテンの定期的な洗濯がすすめられています。床に近い場所で過ごす子どもには特に意味があります。
服装・うがいと洗顔・洗濯物・換気・掃除の具体策と「およそ4分の1」の数値は環境省「花粉症環境保健マニュアル2022」より(主にスギ花粉を想定した記述)。子ども向けの補足は編集部によるものです。
マスクは年齢に応じて慎重に
マスクの装用は吸い込む花粉を減らす効果があるとされ、環境省のマニュアルでは顔にフィットするものを選ぶこと、横に隙間ができるとそこから花粉が入ることが挙げられています。ただし乳幼児では話が別です。
注意
日本小児科学会は「乳幼児のマスク着用の考え方」で、2歳未満の子どもにはマスク着用は奨められていないとしています。呼吸が苦しくなり窒息の危険があること、嘔吐した場合にも窒息する可能性があること、熱がこもり熱中症のリスクが高まること、顔色や呼吸の状態など体調の異変の発見が遅れることが理由です。また、子どもがマスクを着用する場合は、いかなる年齢であっても保護者や周りの大人が注意することが必要とされています。
暑さの残る8月・9月は熱がこもるリスクも重なります。2歳以上でも屋外で長時間つけっぱなしにせず、草の多い場所を通るときだけ、といった使い方に留め、様子を必ず見ながら使いましょう。
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「乳幼児のマスク着用の考え方」より。
受診の目安と、薬について
注意
市販の点鼻薬を自己判断で使い続けるのは避けてください。アレルギーポータル(日本アレルギー学会)では、薬局などで購入できる市販の点鼻薬の多くは血管を収縮させる成分を含み、長く使い続けると薬剤性鼻炎を引き起こすこと、特に2歳未満の幼児では呼吸抑制などの副作用の危険性があるため血管収縮薬は禁忌であることが示されています。市販薬全般についても、同サイトは「成分と対象年齢をよく確認し、なんとなく使い続けることがないように」としています。
相談を考えたい様子
- 熱がないのに、くしゃみ・鼻水が2週間以上続いている
- 毎年、同じ時期に同じような症状が出ている
- 鼻づまりで口を開けて呼吸している・夜よく眠れていない
- 目をこすり続けて、まぶたが赤くはれている
- せきやゼーゼーが一緒に出ている
鼻づまりの影響は鼻だけにとどまりません。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の解説(小学校高学年の子どもの事例をもとにした説明)では、鼻がつまると口で呼吸するためのどの渇きや痛みが生じること、不眠や授業中の居眠り、イライラ感、全身倦怠感や集中力の低下など学業への影響が出ることもあると挙げられています。これは学齢期の子どもについての説明で、就学前の年齢に同じことが当てはまるかは示されていません。それでも「たかが鼻水」と放置せず、生活に支障が出ていれば相談してよい症状です。
ぜん息やアトピー性皮膚炎との関係
厚生労働省の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」(現在はこども家庭庁が所管し、同庁サイトに掲載)では、遺伝的にアレルギーになりやすい素質のある人が年齢を経るごとにアレルギー疾患を次から次へと発症してくる様子を「アレルギーマーチ」と呼ぶこと、小児ではどれか一つだけを発症するケースは少なく複数の疾患を合併していることが多いことが説明されています。ただし同ガイドラインは「もちろん全員がそうなるわけではなく、一つの疾患だけの人もいます」とも記しています。
メモ
アトピー性皮膚炎やぜん息の経過があるからといって、必ず花粉症になるわけではありません。先回りして心配するよりも、いま出ている症状を主治医に伝え、その子に合った対応を一緒に考えていくことが役に立ちます。
園と共有しておきたいこと
同ガイドラインでは、アレルギー性鼻炎(特に季節性アレルギー性鼻炎)の乳幼児は原因花粉の飛散時期の屋外活動により症状が悪化することがあるとしつつ、それによって屋外活動ができないということはまれと整理されています。配慮が必要な場合は、医師が記入する生活管理指導表にもとづき保護者と園が相談して決める仕組みです。外遊びをやめさせる方向ではなく、現実的な調整が中心になります。
厚生労働省「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」(2019年4月)より。同ガイドラインは2023年の移管後、こども家庭庁が所管し同庁サイトに掲載されています。
よくある質問
何歳から花粉症になりますか?
検査は何歳から受けられますか?
秋の花粉症は春のスギ花粉症より軽いのですか?
花粉対策グッズは効きますか?
ブタクサの花粉症だと食べ物で口がかゆくなることがあると聞きました
まとめ
秋の草花粉は8月ごろから飛び始め、9月から10月にかけて増えていきます。「夏風邪が長引いている」と感じていた症状が、実は毎年この時期に繰り返すアレルギーだった、というケースは珍しくありません。熱が高くならない、目のかゆみを伴う、数週間続く——こうした手がかりがそろったら、一度相談してみるほうが子どもも大人も楽になります。
対策は身近な場所の見直しから始められます。飛散距離が短いという性質は、裏を返せば「避けやすい」ということ。散歩コースを少し変える、帰宅後に顔を拭く、洗濯物を室内に干す。そのくらいの小さな調整で、この秋の過ごしやすさは変わってきます。
鼻をかむ練習のしかたはこちら
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出典・参考
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