子どもの便秘|原因・食事と生活の対策・受診の目安をやさしく解説
対象の目安: 乳児〜未就学児ごろ

「もう4日もうんちが出ていない」「出るときに痛がって泣く」。子どもの便秘は、ある時期になると多くの家庭がぶつかる悩みです。子どもの便秘は決して珍しいものではなく、10人に1人かそれ以上にみられるともいわれています。この記事では、便秘が起こりやすい時期と気づきのサイン、家庭でできる食事・生活の工夫、そして「これは小児科へ」という受診の目安を、公的・学会の情報をもとに整理しました。
便秘が起こりやすい時期(早見表)
子どもの便秘は、生活リズムや食事内容が変わるタイミングで起こりやすいとされています。次の時期は特に気にかけてあげたい場面です。
| 起こりやすい時期 | 背景にある変化 | 気にかけたいこと |
|---|---|---|
| 母乳からミルク・離乳食への移行 | 水分や食事内容が変わり便の性状が変わる | 水分・食物繊維のとり方、便の硬さの変化 |
| トイレトレーニング期 | 「失敗したくない」等で便を我慢しやすい | トイレを嫌な場所にしない、焦らない |
| 入園・進級など環境の変化 | 園のトイレで出しづらく我慢しがち | 朝の排便習慣、家での安心できる時間 |
| 食欲が落ちる体調不良の後 | 食事量・水分量が一時的に減る | 回復後の水分・食事の立て直し |
日本小児栄養消化器肝臓学会「こどもの便秘 正しい知識で正しい治療を」。母乳からミルクへの切り替え・離乳食の開始・トイレトレーニング・入園入学など生活が変わる時期に便秘が起こりやすいとされる点を参照
見逃したくない便秘のサイン
毎日出ていなくても、本人がつらくなく、すっきり出せていれば必ずしも便秘とは限りません。一方で、回数だけでなく「出すときのつらさ」や「便の状態」に次のような様子があれば、便秘として気にかけたいサインです。
- 数日(目安として3〜5日以上)うんちが出ない日が続く
- 便が硬く、コロコロしている/太くて出すのに苦労する
- 排便のときに痛がって泣く、肛門が切れて便に血がつく
- お腹が張って苦しそう、食欲が落ちる
- うんちを我慢する姿勢(足を交差させる・力む・隠れる・うずくまる)が見られる
メモ
我慢する姿勢は「出そうとしている」ように見えて、実は「出すのが怖くて我慢している」ことがあります。叱らず、出やすくする工夫に切り替えるサインととらえましょう。
「痛い→我慢」の悪循環に注意
便秘で気をつけたいのが悪循環です。硬い便で排便が痛かった経験があると、子どもは痛みを避けようと便を我慢します。すると便はさらに腸内にとどまって水分が抜け、もっと硬く大きくなり、次の排便がさらに痛くなる…という繰り返しに入りやすくなります。直腸に便がたまった状態に体が慣れて、便意そのものを感じにくくなることもあるとされています。だからこそ、ひどくなる前の早めの対応が大切です。
日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン 2025年版」。便を我慢することで便が硬くなり排便時痛が増す悪循環や、適切な対応・治療の重要性が示されている
家庭でできる対策
便秘の改善は、食事だけでなく、水分のとり方・トイレ習慣・体を動かすことなど、生活全体で整えていくことが基本です。できそうなところから取り入れてみてください。
- 1
水分をこまめにとる
起床後や食事のとき、外遊びの前後などに、水や麦茶でこまめに水分をとれるようにします。ただし水分を多くとるだけで便秘が解消するわけではなく、ほかの工夫と組み合わせることが大切です。 - 2
食物繊維を含む食材をバランスよく
野菜・海藻(わかめ・ひじきなど)・果物・芋類・豆類・きのこなどをふだんの食事に少しずつ。特定の食品に偏らず、バランスよく食べることを意識します。 - 3
体を動かす習慣を
外遊びや散歩など体を動かすことは、腸の動きを活発にする助けになるとされています。乳児ではあおむけで足を自転車こぎのように動かす遊びやお腹のマッサージも。 - 4
決まった時間にトイレに座る
朝食後など、腸が動きやすいタイミングでトイレに座る時間をつくります。座るのは長くても3分程度を目安に。出なくても責めず、座れたことを認めてあげます。 - 5
足台で踏ん張りやすく
洋式トイレや補助便座では足が浮きがちです。足台を置いて足の裏がしっかりつく姿勢にすると、お腹に力が入りやすくなり、踏ん張りやすくなります。 - 6
十分な睡眠と規則正しい生活
早寝早起きで生活リズムを整え、十分な睡眠をとることも、毎日の排便リズムづくりを支えます。
EAファーマ「イーベンnavi」(専門医監修)。規則正しい生活・朝食後にトイレに座る習慣(長くても3分程度)・食物繊維(雑穀・野菜・海藻・果物)・運動・こまめな水分補給など、家庭でできる工夫を参照
ヒント
トイレで出せたら、結果(出た量)よりも「座れた」「がんばった」ことをしっかり褒めるのがコツです。トイレを「怖い・嫌な場所」にしないことが、我慢ぐせを防ぎます。
注意したいこと・やってはいけないこと
注意
浣腸や市販の便秘薬を、自己判断で繰り返し使う(常用する)のは避けましょう。一時的に出ても、根本の悪循環が続いていると繰り返しやすく、量や使い方も子どもの状態によって異なります。薬を使ったほうがよい状態かどうかも含めて、まずは小児科で相談するのが安心です。
便秘は「そのうち治る」と様子を見すぎてしまうと、悪循環でかえって長引くことがあります。一方で、食事や生活の工夫を始めても数日で劇的に変わるとは限りません。焦らず続けつつ、後述の受診の目安に当てはまるときは早めに専門家へつなぎましょう。家庭でのケアと、必要に応じた医療のサポートは、どちらも大切な両輪です。
困ったとき・よくある場面
トイレでの排便を怖がる時期は珍しくありません。無理にトイレで出させようとせず、まずは「出すこと自体を我慢しない」ことを優先する考え方もあります。便が硬くて痛い経験が続いているようなら、便をやわらかく保つ手助けが必要なこともあるため、小児科で相談してみてください。
園のトイレで出しづらく、我慢してしまう子もいます。朝、家で落ち着いて排便できる時間をつくる、家でのトイレ時間をリラックスできるものにするなど、環境を整えてあげる工夫が役立ちます。長引くようなら園とも様子を共有しつつ、受診も検討しましょう。
よくある質問
毎日うんちが出ないと便秘ですか?
何日出なかったら受診したほうがよいですか?
市販の便秘薬や浣腸を使ってもよいですか?
食物繊維をとれば便秘は治りますか?
離乳食が始まってから便秘ぎみです。どうすれば?
便秘はくせになって治らなくなりますか?
まとめ・次の一歩
子どもの便秘は多くの家庭が通る道で、生活が変わる時期に起こりやすいものです。大切なのは、悪循環がひどくなる前に、食事・水分・運動・トイレ習慣・睡眠といった生活の基本を整えること。そして「長引く」「強く痛がる」「出血する」などのサインがあれば、ためらわず小児科に相談することです。
今日からできる便秘ケア
- 起床後や食事時にこまめに水分をとる
- 野菜・海藻・果物・芋・豆など食物繊維をバランスよく
- 外遊び・散歩など体を動かす時間をつくる
- 朝食後など決まった時間にトイレに座る(長くても3分程度)
- 足台で足の裏をつけ、踏ん張りやすい姿勢に
- 出せたら結果より「がんばり」を褒める
不安なときや、工夫を続けても改善しないと感じるときは、気軽に小児科で相談してください。体調不良に伴う様子が気になるときは、受診の目安もあわせて確認しておくと安心です。
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