育児の時間
発達・健康

赤ちゃんの吐き戻しは大丈夫?心配いらない吐き方と受診の目安(噴水状・緑色・ぐったり)、減らすコツ

対象の目安: 0〜1歳(新生児〜生後12か月ごろ)

カナデ・発達・おでかけ担当
・ 約15分で読めます
赤ちゃんの吐き戻しは大丈夫?心配いらない吐き方と受診の目安(噴水状・緑色・ぐったり)、減らすコツ

「さっき飲んだミルクを、口からだらっと戻してしまった」「げっぷと一緒にたくさん吐いて、服までびっしょり」「こんなに吐いて、ちゃんと栄養はとれているの?」——赤ちゃんの吐き戻しは、生後まもない時期にほとんどの家庭が経験する悩みです。多くは成長とともに落ち着く自然な現象ですが、なかには早めに受診したほうがよい吐き方もあります。この記事では、MSDマニュアル家庭版や日本小児科学会「こどもの救急」などの情報をもとに、心配いらない吐き戻しと受診の目安の見分け方、吐いた直後の対応、吐き戻しを減らすコツをまとめます。判断に迷うときは、自己判断せずかかりつけの小児科や#8000に相談してください。

赤ちゃんはなぜ吐き戻しやすい?

食道と胃のつなぎ目には、胃の中身が食道へ戻らないようにする輪の形の筋肉(下部食道括約筋)があります。赤ちゃんはこの筋肉がまだ未発達で、ゆるみやすいため、飲んだ母乳やミルクが食道や口へ戻りやすくなっています。MSDマニュアル家庭版は、ほぼすべての乳児で胃食道逆流がみられ、飲んだ直後やげっぷのときに吐き出すのが特徴だとしています。

ほかにも、次のようなことが吐き戻しのきっかけになります。

  • 一度にたくさん飲む、勢いよく飲む(満腹のしくみも未熟で、飲みすぎてしまうことがある)
  • 泣いたあとや急いで飲んだときに、空気をたくさん飲み込む
  • 寝かせた姿勢で飲む、飲んだあとすぐに横にする
  • 哺乳瓶の乳首の穴が赤ちゃんに合っていない(大きすぎると勢いよく出すぎ、小さすぎると空気を飲み込みやすい)

口の端から少しこぼれる程度のものは「溢乳(いつにゅう)」と呼ばれ、赤ちゃんへの負担はほとんどありません。

逆流のしくみ(下部食道括約筋の未発達)、ほぼすべての乳児にみられること、姿勢や授乳量が影響することは、MSDマニュアル家庭版「乳児の胃食道逆流」(2025年7月更新)によります。溢乳の説明や空気の飲み込み・哺乳瓶の乳首の影響は、明治 ほほえみクラブ「赤ちゃん(新生児)の吐き戻しの原因とは?」(助産師監修)によります。

吐き戻しはいつまで続く?

MSDマニュアル家庭版によると、逆流は生後数か月の間に増え、最も多くみられるのは生後6〜7か月ごろで、それ以降は次第に減っていきます。生後18か月ごろまでには、成長とともにほぼ全員で逆流がみられなくなるとされています。明治 ほほえみクラブ(助産師監修)では、多くは生後4〜5か月ごろから徐々に減り、1歳ごろにはほとんど見られなくなると説明しています。離乳食が進んでミルクの量が減ることも、吐き戻しが減る理由のひとつです。

時期の目安には幅があります。「〇か月なのにまだ吐く」と焦るより、次の章の「心配いらない吐き戻し」に当てはまっているかを見るほうが大切です。

あわせて読みたい

赤ちゃんのミルクの量と回数の目安|月齢別早見表(1回量・1日の回数)と「足りている?」の見分け方

心配いらない吐き戻しと、受診したほうがいい吐き方

まずは、吐いたあとの赤ちゃんの様子を見ます。吐く量や回数そのものより、「元気か」「飲めているか」「体重が増えているか」が判断の柱です。

様子考え方
吐いたあとも機嫌がよく、すぐにまた飲みたがる心配いらない吐き戻しのことが多い
おしっこがいつもどおり出て、おむつがぬれている水分はとれている目安
体重が成長曲線のカーブに沿って増えている栄養はとれている目安
飲んだ直後に噴水のように勢いよく吐くことが続く早めに小児科へ(肥厚性幽門狭窄症などの可能性)
緑色や黄色(胆汁)、血、コーヒーのかすのようなものを吐いた急いで受診
元気がなくぐったりしている、うとうとして反応が鈍い、顔色が悪い急いで受診
呼吸があらく苦しそう急いで受診
何度もくり返し吐く、水分がとれない、おしっこが少ない早めに受診(脱水に注意)
発熱や下痢をともなう感染症の可能性。早めに受診
吐き戻しが多く、体重が増えない・減っている小児科で相談

日本小児科学会のウェブサイト「こどもの救急(ONLINE-QQ)」の「吐き気」のページでは、当てはまる症状を選ぶと、受診を急ぐべきかの目安が表示されます。生後3か月未満かどうかも判断材料のひとつです。夜間や休日に迷ったら、ここで確認するか、#8000(子ども医療電話相談)に電話しましょう。

受診の判断に使う症状の項目(ぐったりしている、呼吸があらい、顔色が悪い、何度も吐く、血や胆汁(黄色または緑色)を吐いた、コーヒーの残りかすのようなものを吐いた、生後3か月未満、水分がとれているか、おしっこが出ているか等)は、日本小児科学会「こどもの救急(ONLINE-QQ)」の「吐き気」によります。体重が増えない場合や発熱・下痢をともなう場合の受診の考え方は、明治 ほほえみクラブ(助産師監修)の「注意すべき吐き戻しの特徴と病院受診の目安」によります。

噴水のように吐くときは「肥厚性幽門狭窄症」に注意

胃の出口(幽門)の筋肉が厚くなり、ミルクが腸へ流れにくくなる病気を肥厚性幽門狭窄症といいます。MSDマニュアル家庭版によると、症状は典型的には生後3〜6週ごろに出始め、食欲は旺盛なのに、飲んだ直後に激しく吐く(噴出性嘔吐)のが特徴です。男の子、特に第1子の男の子に多いとされています。

やっかいなのは、重い脱水や低栄養になるまでは、赤ちゃんが元気そうに見えることです。「吐いてもすぐまた飲みたがるから大丈夫」と思っているうちに、数日から数週間で脱水や体重減少が進むことがあります。噴水のような吐き方が何度か続くときは、機嫌がよくても早めに小児科を受診してください。診断は主に腹部の超音波検査で行われ、点滴で脱水を整えたうえで、小さな手術で治療するのが一般的です。

肥厚性幽門狭窄症の症状が出る時期(典型的には生後3〜6週)、噴出性嘔吐、危険因子、重度の脱水まで元気そうに見えること、超音波検査による診断と輸液・手術による治療は、MSDマニュアル家庭版「肥厚性幽門狭窄」(2025年7月更新)によります。

吐き戻しが多くて体重が増えないとき

吐き戻しが多く、飲む量が減ったり体重が増えなかったりする場合は、単なる吐き戻しではなく「胃食道逆流症」として治療が必要なこともあります。MSDマニュアル家庭版は、哺乳や成長に悪影響がある、せきやゼーゼーなど呼吸の症状が出る、乳児期を過ぎても続く、といった場合を挙げています。また、牛乳アレルギーなどの食物アレルギーが逆流の原因になることもあるとしています。ミルクの種類を変える、とろみのついたミルクを使う、薬を使うといった対応は、自己判断せず医師と相談して決めましょう。

メモ

体重の増え方は、母子健康手帳の成長曲線に書き込むとわかりやすくなります。曲線のカーブに沿って増えていれば、多少吐き戻しがあっても栄養はとれていると考えられます。健診のときに、吐き戻しの回数や量も一緒に伝えておくと相談しやすくなります。

吐いた直後にすること

  1. 1

    顔を横に向け、口のまわりを拭く

    吐いたものがのどに詰まらないよう、顔や体を横に向けて、口から自然に流れ出るようにします。ガーゼなどで口のまわりを押さえるように拭き、口の中に残っていれば、見える範囲だけをそっとぬぐいます。指を奥まで入れないようにしましょう。

  2. 2

    落ち着くまでそばで様子を見る

    横向きのまま、または縦抱きにして、落ち着くまで見守ります。顔色、呼吸、機嫌がいつもどおりかを確認します。

  3. 3

    着替えは少し落ち着いてから

    吐いた直後に体を大きく動かすと、また吐くことがあります。少し様子を見てから、頭を支えてゆっくり着替えさせます。

  4. 4

    すぐに飲ませ直さない

    明治 ほほえみクラブ(助産師監修)では、吐いた直後に母乳やミルクをあげるのは避け、1〜2時間ほど様子を見てから、少しずつ飲ませる方法を紹介しています。欲しがる様子や吐いた量によって変わるので、迷うときは小児科に相談しましょう。

  5. 5

    寝かせるときはあおむけに戻す

    落ち着いて眠るときは、あおむけに寝かせます。こども家庭庁は、医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合以外は、1歳になるまではあおむけに寝かせるよう呼びかけています。

1歳になるまでは、医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合以外はあおむけに寝かせること、あおむけ寝が睡眠中の窒息事故を防ぐうえでも有効であることは、こども家庭庁「赤ちゃんが安全に眠れるように」によります。吐いた直後の拭き方・横向き・着替え・飲ませ直すタイミングは、明治 ほほえみクラブ(助産師監修)によります。

注意

吐き戻しが心配でも、寝ている間のうつぶせ寝や横向き寝、まくらやクッションで頭を高くする寝かせ方はしないでください。MSDマニュアル家庭版も、安全性の問題から、ベビーベッドの頭側を高くすることは現在は推奨されておらず、あおむけに寝かせることが推奨されるとしています。吐いた直後に横向きにするのは、起きていて大人が見守っている間だけにしましょう。

あわせて読みたい

11月はSIDS対策強化月間|赤ちゃんの安全な睡眠環境の作り方

吐き戻しを減らすコツ

吐き戻しを完全になくすことはできませんが、飲ませ方の工夫で減らせることがあります。

  • 途中と飲み終わりにげっぷをさせる:MSDマニュアル家庭版は、30〜60mlほど飲むごとにげっぷをさせて、飲み込んだ空気を出すと胃の中の圧力を下げるのに役立つとしています。背中をやさしくトントンしたり、下から上にさすったりします
  • 飲んだあとは縦抱きでしばらく過ごす:MSDマニュアル家庭版は、飲んだあと20〜30分ほど上半身を起こした姿勢にすることを挙げています。首がすわる前は、首と頭をしっかり支えて抱っこします。なお、乳児用の椅子などに座らせる姿勢はおなかの圧が高くなり、助けにならないとされています
  • 頭を少し高くして飲ませる:横抱きで飲ませるときは、頭がお尻より高くなるように角度をつけます。吐き戻しが多い場合は、縦抱きに近い姿勢での授乳も試してみましょう
  • 飲む量とペースを見直す:ミルクの場合は1回の量が多すぎないか、勢いよく飲みすぎていないかを確認します。苦しそうにしたりむせたりしたら、いったん中断してげっぷをさせます
  • 哺乳瓶の乳首を月齢に合わせる:穴の大きさが合っていないと、勢いよく出すぎたり空気を飲み込みやすくなったりします
  • たばこの煙を避ける:MSDマニュアル家庭版は、受動喫煙やカフェインが逆流を起こしやすくするとしています

げっぷは毎回すぐ出るとは限りません。明治 ほほえみクラブでは、5分ほど試しても出ないときは縦抱きで様子を見る方法を紹介しています。

30〜60mLごとのげっぷ、飲んだあと20〜30分の姿勢、乳児用椅子の姿勢、受動喫煙・カフェインの影響、ベッドの頭側を高くすることが推奨されないことは、MSDマニュアル家庭版「乳児の胃食道逆流」の「胃食道逆流症の治療」によります。授乳時の角度、げっぷが出ないときの対応、哺乳瓶の乳首の合わせ方は、明治 ほほえみクラブ(助産師監修)によります。

毎回のように吐くので心配で、1か月健診で相談しました。体重はしっかり増えているから大丈夫と言われ、げっぷを途中でもさせるようにしたら、服を替える回数が少し減りました。
生後2か月の子を持つ保護者

あわせて読みたい

哺乳瓶の選び方|本数・容量・素材と乳首・消毒・洗浄グッズの基本

よくある質問

赤ちゃんの吐き戻しは毎回でも大丈夫ですか?
吐いたあとも機嫌がよく、母乳やミルクを飲めていて、体重が成長曲線に沿って増えていれば、心配いらないことがほとんどです。赤ちゃんは胃の入口の筋肉が未熟で、ほぼすべての赤ちゃんに逆流がみられます。体重が増えない、ぐったりしているなどがあれば小児科に相談してください。
吐き戻しはいつまで続きますか?
MSDマニュアル家庭版では、逆流は生後6〜7か月ごろが最も多く、その後は減っていき、生後18か月ごろまでにはほぼ全員でみられなくなるとされています。明治 ほほえみクラブ(助産師監修)では、多くは生後4〜5か月ごろから減り、1歳ごろにはほとんど見られなくなると説明しています。
鼻からミルクが出てきました。大丈夫ですか?
吐き戻しの勢いで、鼻からミルクが出てくることがあります。顔を横に向けて拭き取り、呼吸が楽にできているか、顔色がいつもどおりかを確認しましょう。呼吸が苦しそう、顔色が悪いときはすぐに受診してください。
吐いたあと、すぐにミルクを足してもいいですか?
吐いた直後は胃が落ち着いておらず、また吐くことがあります。明治 ほほえみクラブ(助産師監修)では、1〜2時間ほど様子を見てから少しずつ飲ませる方法を紹介しています。くり返し吐く、水分がとれないときは受診してください。
噴水のように吐いたら、すぐ病院に行くべきですか?
1回だけで、その後は機嫌よく飲めているなら様子を見ることもありますが、飲むたびに噴水のように勢いよく吐くことが続くときは、肥厚性幽門狭窄症などの可能性があるため、早めに小児科を受診してください。機嫌がよく見えても脱水が進むことがあります。
吐き戻しが心配なので、横向きに寝かせてもいいですか?
眠るときは、医学上の理由で指示がある場合を除き、あおむけに寝かせます。こども家庭庁は1歳になるまではあおむけ寝を呼びかけています。吐いた直後に横向きにするのは、大人が起きて見守っている間だけにしましょう。

まとめ

赤ちゃんの吐き戻しで確認したいこと

  • 吐いたあとも機嫌がよく、すぐにまた飲みたがる
  • おしっこがいつもどおり出ている
  • 体重が成長曲線のカーブに沿って増えている
  • 噴水のような吐き方が続いていない
  • 緑色・黄色や血が混じっていない、ぐったりしていない
  • 途中と飲み終わりにげっぷをさせ、飲んだあとはしばらく縦抱き
  • 寝かせるときはあおむけ。迷ったらこどもの救急や#8000へ

吐き戻しは、赤ちゃんの体がまだ発達の途中だからこそ起きるものです。服やシーツの洗濯が続くと大変ですが、ガーゼや着替えを手の届く場所に多めに置いておくと、少し気持ちが楽になります。気になることは、健診やかかりつけの小児科で遠慮なく相談してください。

夜間・休日に子どもの急な症状で迷ったときの相談先(#8000)は、厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)について」によります。

出典・参考

この記事をシェア

関連する記事

食事・離乳食

赤ちゃんのミルクの量と回数の目安|月齢別早見表(1回量・1日の回数)と「足りている?」の見分け方

ミルクの量の目安は、生後半月までは1回80mlを1日7回、1〜3か月は120〜160mlを6回、3か月以降は200mlを5回(明治ほほえみの調乳量の目安)。ただし個人差が大きく、体重が成長曲線に沿って増えているかが一番の判断材料です。離乳食期の回数、飲まない・飲みすぎの対処も解説。