育児の時間
知育・遊び

運動会のかけっこが速くなるコツ|幼児が家でできる練習と親の声かけ

対象の目安: 3〜6歳(年少〜年長)

カナデ発達・おでかけ担当
・ 約11分で読めます
運動会のかけっこが速くなるコツ|幼児が家でできる練習と親の声かけ

「うちの子だけ遅い気がする」「かけっこで転んでしまう」「負けると泣いてしまう」。秋の運動会が近づくと、こんな心配が出てくる保護者は少なくありません。幼児期の走る力は発達の途中で、個人差もとても大きい時期です。この記事では、3〜6歳の子どものかけっこが少し楽になる基本のコツと、家庭で遊びながらできる練習、安全面の注意、そして「勝ち負け」より大切にしたい声かけまでをまとめました。

まず知っておきたい「走る力は発達の途中」

幼児期は、走る・跳ぶ・投げるといった基本的な動きを、遊びの中で少しずつ獲得していく時期です。文部科学省の「幼児期運動指針」では、幼児は様々な遊びを中心に、毎日合計60分以上、楽しく体を動かすことが望ましいとされています。速く走るためのフォームを教え込むより、体を動かす経験そのものを増やすことが、結果的に走る力の土台になります。

文部科学省「幼児期運動指針」より。同指針では「動きの多様化」と「動きの洗練化」という2つの方向で発達が進むとされ、一人一人の発達に応じた援助が大切だと示されています。走り方には個人差が大きく、ここで紹介するのは断定的な「正解」ではなく一般的な工夫です。

同じ年齢でも、生まれ月や体格、運動経験によって走る様子はかなり違います。「まわりの子より遅い」と感じても、多くは発達のペースの差です。まず前提として、走る速さで焦らないことが、子どもが運動を好きでいられる何よりのサポートになります。

年齢の目安走りの様子(個人差あり)家庭で意識したいこと
3〜4歳(年少)走ると全身が上下しやすく、方向転換や急な停止はまだ苦手転ばず「走るのは楽しい」を優先。追いかけっこ中心
4〜5歳(年中)腕と足の連動が出てきて、まっすぐ走れる時間が伸びるゴールまで走り抜ける・前を見る感覚を遊びで体験
5〜6歳(年長)スピードやリズムの調整ができ始め、フォームの意識も少しできる腕を振る・地面を押す動きを遊びに取り入れる

かけっこが少し速くなる4つのコツ

幼児に細かいフォームを教え込むのは難しく、逆に動きが固くなることもあります。次の4つを「合言葉」のように短く伝えるくらいがちょうどよい目安です。

  1. 1

    ゴール(前)をまっすぐ見る

    走っている途中で横の友だちや保護者を見ると、体が横を向いて減速したり、バランスを崩して転びやすくなります。「ゴールのコーンだけ見てね」と、見る場所を1つに決めてあげると走りやすくなります。
  2. 2

    腕を前後に大きく振る

    手をグーかパーで軽く握り、ひじを曲げて前後にまっすぐ振ります。腕を振ると自然に足も動きやすくなります。「トントン」とリズムを声に出して一緒に振ると、幼児でも感覚をつかみやすいです。
  3. 3

    足で地面を「ポン」と押す

    かかとから重たく着地するより、足の裏で地面を軽く押して前に進むイメージです。その場での両足ジャンプやスキップなど、地面を弾む遊びで自然と身につきます。難しい言葉より「ポンポン跳ねよう」で十分です。
  4. 4

    ゴールの先まで走り抜ける

    ゴールで急に止まろうとすると失速し、転倒の原因にもなります。「ゴールの向こうのあの木まで走ろう」と目標を先に置くと、最後まで勢いを保ったまま走り切れます。

メモ

すべてを一度に伝えると子どもは混乱します。今日は「前を見る」だけ、次は「腕を振る」だけ、と1回に1つずつ。できたら「今の走り、かっこよかったね」と具体的に声をかけると定着しやすくなります。

家庭でできる遊び感覚の練習

練習というより「一緒に遊ぶ」感覚が続けるコツです。特別な道具はいらず、公園や広い場所があればできるものばかりです。走ることだけでなく、いろいろな動きを混ぜると、体の使い方が豊かになります。

  • 追いかけっこ・鬼ごっこ:スピードと方向転換、止まる・避けるが自然に育ちます
  • 線(ライン)までダッシュ:地面の線や目印を決めて「よーいドン」。短い距離を全力で走る楽しさを体験
  • だるまさんがころんだ:走る・急に止まるのコントロール練習になり、ルールのある遊びの入り口にも
  • スキップ・ケンケン(片足跳び)・両足ジャンプ:リズムやバランス、地面を押す感覚が身につきます
  • 手つなぎ走・親子競走:勝ち負けにこだわらず「一緒に走ると楽しい」を味わえます

ヒント

「よーいドン」の合図を子どもに出してもらう役に回ると、走らせられる感がなくなり、遊びとして盛り上がります。スタートの「よーい」で軽く前かがみに構える姿勢も、遊びの中で自然に覚えられます。

スポーツ庁Web広報マガジンでも、幼児期は特定の運動に絞り込むより、多様な動きを経験することの大切さが紹介されています。かけっこだけを反復させるより、跳ぶ・くぐる・登るなど色々な遊びを混ぜるほうが、体の使い方の幅が広がります。

安全に走るための注意

速さより大切なのが、けがなく楽しく終えることです。次の点を確認しておきましょう。

転倒への備え

  • 走る場所の地面(石・段差・濡れ)を事前に確認する
  • 靴のサイズが合っているか、かかとが浮いていないかを見る
  • サンダルやぶかぶかの靴は避け、かかとの止まる運動靴を選ぶ
  • 転んだときは大げさに反応しすぎず、「立てたね」と気持ちを立て直す

暑さ・気温への配慮

秋の運動会シーズンでも、9〜10月は日中に気温が上がる日があります。幼児は体温調節が発達の途中で、大人より暑さの影響を受けやすいとされています。

注意

練習でも本番でも、こまめな水分補給・帽子・日陰での休憩を用意してください。「暑い」と自分から言えない子もいるため、顔が赤い・汗が急に止まる・元気がないなどのサインに大人が気づくことが大切です。気温や暑さ指数(WBGT)が高い日は、練習の時間帯を朝夕にずらす、量を減らすなど無理をさせない判断を優先しましょう。

暑さ指数(WBGT)は環境省「熱中症予防情報サイト」で地域別に確認できます。数値が高い日の屋外での運動は、休憩と水分補給をより頻繁にし、体調のサインを見ながら調整してください。

勝ち負けより「楽しかった」を大事にする声かけ

かけっこは順位がはっきり出るぶん、負けて泣いたり、勝ち負けにこだわったりする姿はよく見られます。4〜5歳ごろは勝ち負けを強く意識し始める時期でもあり、悔しくて泣くのは一生懸命だった証拠です。まずは気持ちを受け止めることから始めましょう。

「一番になれなくて号泣してしまい、どう声をかければいいか分からなかった」という相談はとても多いです。結果を励まそうと焦るより、まず『悔しかったね』と気持ちに名前をつけてあげると、子どもは落ち着きやすくなります。
年中・年長の保護者

順位という結果はその日で変わりますが、最後まで走り切った・練習を頑張ったという過程は、子どもの自信として残ります。声かけは、勝敗そのものより「取り組んだ姿」に向けるのがおすすめです。

場面避けたい声かけおすすめの声かけ
負けて泣いている「泣かないの」「そんなことで」「悔しかったね」「勝ちたかったんだね」とまず共感
結果を振り返るとき「なんで抜かされたの」「練習したのに」「最後まで走り切ったね」「腕、しっかり振れてたね」
他の子と比べそうなとき「◯◯くんは速かったね」「この前より前を見て走れてたよ」と本人の変化に注目
走るのを嫌がるとき「みんなやってるでしょ」「見ているだけでもいいよ」「一緒に走ってみる?」

ヒント

「速かった」だけでなく、「スタートの構えが上手だった」「転んでもすぐ立てた」など、勝敗以外の頑張りを見つけて言葉にすると、子どもは走ること自体を前向きにとらえやすくなります。

当日の親のサポート

本番当日は、子どもが安心して力を出せるよう、環境と気持ちの両面を整えます。

運動会当日のサポート

  • 前日は早めに就寝し、当日は余裕をもって朝食をとる
  • かかとの止まる履き慣れた運動靴で参加する(新しい靴は避ける)
  • 水分・帽子・タオルを用意し、待ち時間の暑さ対策をする
  • 出番の前は「楽しんでおいで」と送り出し、結果を約束させない
  • 走っている間は名前を呼びすぎず、ゴール方向で見守る
  • 終わったら順位に関係なく「頑張ったね」とまず受け止める

保護者が結果に一喜一憂しすぎると、子どもも「勝たなきゃ」と力んでしまいます。うまく走れても転んでも、「一緒に楽しめたね」という空気で迎えることが、来年も運動を楽しみにできる一番のサポートになります。

よくある質問

うちの子だけ足が遅い気がして心配です。
同じ年齢でも生まれ月・体格・運動経験で走る様子はかなり違い、多くは発達のペースの差です。まわりと比べて焦るより、本人が『走るのは楽しい』と思えることを優先してください。走り方や体の動きに強い偏り・左右差が気になるなど心配が続く場合は、園の先生やかかりつけ医、自治体の相談窓口に相談すると安心です。
運動会まであと数週間。今から速くできますか?
短期間でタイムを大きく変えるのは難しいですが、『前を見る』『ゴールの先まで走り抜ける』を遊びの中で意識するだけでも、転倒が減って走りやすくなることはあります。詰め込みすぎず、親子で楽しく体を動かすことを目標にしましょう。
走ると転んでしまいます。どうすれば?
地面の状態や靴のフィット(かかとが浮いていないか)を確認し、その場ジャンプやスキップなど地面を弾む遊びでバランス感覚を育てましょう。急に止まろうとして転ぶ子には『ゴールの向こうまで走ろう』と目標を先に置くと減速による転倒が減ります。無理をさせないことが第一です。
負けると泣いてしまい、走るのを嫌がります。
勝ち負けを意識し始めた証拠でもあります。まず『悔しかったね』と気持ちを受け止め、勝敗より『最後まで走れた』過程を認めてあげてください。嫌がるときは『見ているだけでもいい』と選択肢を残し、手つなぎ走など勝敗のない遊びから少しずつ楽しさを取り戻すのがおすすめです。
腕を振ると言っても、うまく伝わりません。
言葉で細かく説明するより、大人が正面や隣で一緒に振って見せるのが伝わりやすいです。『トントン』と声のリズムに合わせたり、その場で足踏みしながら腕を振る遊びにすると、幼児でも感覚をつかみやすくなります。一度に多くを求めず1つずつ伝えましょう。
家に広い場所がなくても練習できますか?
近くの公園や広場で、線までダッシュ・だるまさんがころんだ・追いかけっこなどが十分な練習になります。室内でも、その場ジャンプやスキップ、ケンケンで地面を押す・バランスをとる動きは育てられます。走る距離より、いろいろな動きを楽しむことを大切にしてください。

まとめ

幼児のかけっこは、発達の途中で個人差が大きいもの。速さを求めて教え込むより、「前を見る」「腕を振る」「地面を押す」「走り抜ける」を遊びの中で少しずつ体験し、体を動かす楽しさを積み重ねることが土台になります。安全に配慮し、勝ち負けより走り切った過程を認める声かけを続ければ、運動会は子どもにとって「また来年も楽しみ」と思える一日になります。

あわせて読みたい

3〜6歳の子どもと楽しむ自然体験スポット選び方と当日の声かけ

あわせて読みたい

3歳からのルールのある遊び|社会性を育てるゲーム入門

出典・参考

この記事をシェア

関連する記事