運動会のかけっこが速くなるコツ|幼児が家でできる練習と親の声かけ
対象の目安: 3〜6歳(年少〜年長)

「うちの子だけ遅い気がする」「かけっこで転んでしまう」「負けると泣いてしまう」。秋の運動会が近づくと、こんな心配が出てくる保護者は少なくありません。幼児期の走る力は発達の途中で、個人差もとても大きい時期です。この記事では、3〜6歳の子どものかけっこが少し楽になる基本のコツと、家庭で遊びながらできる練習、安全面の注意、そして「勝ち負け」より大切にしたい声かけまでをまとめました。
まず知っておきたい「走る力は発達の途中」
幼児期は、走る・跳ぶ・投げるといった基本的な動きを、遊びの中で少しずつ獲得していく時期です。文部科学省の「幼児期運動指針」では、幼児は様々な遊びを中心に、毎日合計60分以上、楽しく体を動かすことが望ましいとされています。速く走るためのフォームを教え込むより、体を動かす経験そのものを増やすことが、結果的に走る力の土台になります。
同じ年齢でも、生まれ月や体格、運動経験によって走る様子はかなり違います。「まわりの子より遅い」と感じても、多くは発達のペースの差です。まず前提として、走る速さで焦らないことが、子どもが運動を好きでいられる何よりのサポートになります。
| 年齢の目安 | 走りの様子(個人差あり) | 家庭で意識したいこと |
|---|---|---|
| 3〜4歳(年少) | 走ると全身が上下しやすく、方向転換や急な停止はまだ苦手 | 転ばず「走るのは楽しい」を優先。追いかけっこ中心 |
| 4〜5歳(年中) | 腕と足の連動が出てきて、まっすぐ走れる時間が伸びる | ゴールまで走り抜ける・前を見る感覚を遊びで体験 |
| 5〜6歳(年長) | スピードやリズムの調整ができ始め、フォームの意識も少しできる | 腕を振る・地面を押す動きを遊びに取り入れる |
かけっこが少し速くなる4つのコツ
幼児に細かいフォームを教え込むのは難しく、逆に動きが固くなることもあります。次の4つを「合言葉」のように短く伝えるくらいがちょうどよい目安です。
- 1
ゴール(前)をまっすぐ見る
走っている途中で横の友だちや保護者を見ると、体が横を向いて減速したり、バランスを崩して転びやすくなります。「ゴールのコーンだけ見てね」と、見る場所を1つに決めてあげると走りやすくなります。 - 2
腕を前後に大きく振る
手をグーかパーで軽く握り、ひじを曲げて前後にまっすぐ振ります。腕を振ると自然に足も動きやすくなります。「トントン」とリズムを声に出して一緒に振ると、幼児でも感覚をつかみやすいです。 - 3
足で地面を「ポン」と押す
かかとから重たく着地するより、足の裏で地面を軽く押して前に進むイメージです。その場での両足ジャンプやスキップなど、地面を弾む遊びで自然と身につきます。難しい言葉より「ポンポン跳ねよう」で十分です。 - 4
ゴールの先まで走り抜ける
ゴールで急に止まろうとすると失速し、転倒の原因にもなります。「ゴールの向こうのあの木まで走ろう」と目標を先に置くと、最後まで勢いを保ったまま走り切れます。
メモ
すべてを一度に伝えると子どもは混乱します。今日は「前を見る」だけ、次は「腕を振る」だけ、と1回に1つずつ。できたら「今の走り、かっこよかったね」と具体的に声をかけると定着しやすくなります。
家庭でできる遊び感覚の練習
練習というより「一緒に遊ぶ」感覚が続けるコツです。特別な道具はいらず、公園や広い場所があればできるものばかりです。走ることだけでなく、いろいろな動きを混ぜると、体の使い方が豊かになります。
- 追いかけっこ・鬼ごっこ:スピードと方向転換、止まる・避けるが自然に育ちます
- 線(ライン)までダッシュ:地面の線や目印を決めて「よーいドン」。短い距離を全力で走る楽しさを体験
- だるまさんがころんだ:走る・急に止まるのコントロール練習になり、ルールのある遊びの入り口にも
- スキップ・ケンケン(片足跳び)・両足ジャンプ:リズムやバランス、地面を押す感覚が身につきます
- 手つなぎ走・親子競走:勝ち負けにこだわらず「一緒に走ると楽しい」を味わえます
ヒント
「よーいドン」の合図を子どもに出してもらう役に回ると、走らせられる感がなくなり、遊びとして盛り上がります。スタートの「よーい」で軽く前かがみに構える姿勢も、遊びの中で自然に覚えられます。
安全に走るための注意
速さより大切なのが、けがなく楽しく終えることです。次の点を確認しておきましょう。
転倒への備え
- 走る場所の地面(石・段差・濡れ)を事前に確認する
- 靴のサイズが合っているか、かかとが浮いていないかを見る
- サンダルやぶかぶかの靴は避け、かかとの止まる運動靴を選ぶ
- 転んだときは大げさに反応しすぎず、「立てたね」と気持ちを立て直す
暑さ・気温への配慮
秋の運動会シーズンでも、9〜10月は日中に気温が上がる日があります。幼児は体温調節が発達の途中で、大人より暑さの影響を受けやすいとされています。
注意
練習でも本番でも、こまめな水分補給・帽子・日陰での休憩を用意してください。「暑い」と自分から言えない子もいるため、顔が赤い・汗が急に止まる・元気がないなどのサインに大人が気づくことが大切です。気温や暑さ指数(WBGT)が高い日は、練習の時間帯を朝夕にずらす、量を減らすなど無理をさせない判断を優先しましょう。
暑さ指数(WBGT)は環境省「熱中症予防情報サイト」で地域別に確認できます。数値が高い日の屋外での運動は、休憩と水分補給をより頻繁にし、体調のサインを見ながら調整してください。
勝ち負けより「楽しかった」を大事にする声かけ
かけっこは順位がはっきり出るぶん、負けて泣いたり、勝ち負けにこだわったりする姿はよく見られます。4〜5歳ごろは勝ち負けを強く意識し始める時期でもあり、悔しくて泣くのは一生懸命だった証拠です。まずは気持ちを受け止めることから始めましょう。
順位という結果はその日で変わりますが、最後まで走り切った・練習を頑張ったという過程は、子どもの自信として残ります。声かけは、勝敗そのものより「取り組んだ姿」に向けるのがおすすめです。
| 場面 | 避けたい声かけ | おすすめの声かけ |
|---|---|---|
| 負けて泣いている | 「泣かないの」「そんなことで」 | 「悔しかったね」「勝ちたかったんだね」とまず共感 |
| 結果を振り返るとき | 「なんで抜かされたの」「練習したのに」 | 「最後まで走り切ったね」「腕、しっかり振れてたね」 |
| 他の子と比べそうなとき | 「◯◯くんは速かったね」 | 「この前より前を見て走れてたよ」と本人の変化に注目 |
| 走るのを嫌がるとき | 「みんなやってるでしょ」 | 「見ているだけでもいいよ」「一緒に走ってみる?」 |
ヒント
「速かった」だけでなく、「スタートの構えが上手だった」「転んでもすぐ立てた」など、勝敗以外の頑張りを見つけて言葉にすると、子どもは走ること自体を前向きにとらえやすくなります。
当日の親のサポート
本番当日は、子どもが安心して力を出せるよう、環境と気持ちの両面を整えます。
運動会当日のサポート
- 前日は早めに就寝し、当日は余裕をもって朝食をとる
- かかとの止まる履き慣れた運動靴で参加する(新しい靴は避ける)
- 水分・帽子・タオルを用意し、待ち時間の暑さ対策をする
- 出番の前は「楽しんでおいで」と送り出し、結果を約束させない
- 走っている間は名前を呼びすぎず、ゴール方向で見守る
- 終わったら順位に関係なく「頑張ったね」とまず受け止める
保護者が結果に一喜一憂しすぎると、子どもも「勝たなきゃ」と力んでしまいます。うまく走れても転んでも、「一緒に楽しめたね」という空気で迎えることが、来年も運動を楽しみにできる一番のサポートになります。
よくある質問
うちの子だけ足が遅い気がして心配です。
運動会まであと数週間。今から速くできますか?
走ると転んでしまいます。どうすれば?
負けると泣いてしまい、走るのを嫌がります。
腕を振ると言っても、うまく伝わりません。
家に広い場所がなくても練習できますか?
まとめ
幼児のかけっこは、発達の途中で個人差が大きいもの。速さを求めて教え込むより、「前を見る」「腕を振る」「地面を押す」「走り抜ける」を遊びの中で少しずつ体験し、体を動かす楽しさを積み重ねることが土台になります。安全に配慮し、勝ち負けより走り切った過程を認める声かけを続ければ、運動会は子どもにとって「また来年も楽しみ」と思える一日になります。
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